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「袋入ってないぞ、店長を呼べよ」1つの弁当で大声を上げた客。だが、パッケージの表示を見て黙り込んだワケ

  • 2026.7.30
「袋入ってないぞ、店長を呼べよ」1つの弁当で大声を上げた客。だが、パッケージの表示を見て黙り込んだワケ

レジから響いてきた声

夜のコンビニで雑誌を立ち読みしていると、レジのほうから大きな声が聞こえてきました。

何ごとかと思って、そちらへ数歩近づきました。

カウンターの前に立った男性客が、弁当の容器を店員の顔の高さまで持ち上げています。

「袋入ってないぞ、店長を呼べよ」

チキン南蛮の弁当のふたを開けて、小袋が入っていないと言い張っているのです。

レジには店員が二人いて、若いほうが応対していました。

「申し訳ございません。マヨネーズでしたらございますので、よろしければ」

「マヨネーズだと?チキン南蛮にマヨネーズを塗って食えってことか」

声はどんどん大きくなっていきます。

もう一人の店員が別のレジをすぐ開けたので、行列にはなりませんでした。

それでも、店内にいた全員がその声を聞いていました。

たった1つの弁当で、ここまで声を張ることだろうか。

気に入らないのなら、レジを通す前に別のものを選べばよかったはずです。

ふたの隅に貼られたシール

奥から出てきた店長は、落ち着いた足取りでした。

まず、深く頭を下げます。

「お待たせして申し訳ございません。ご不快な思いをさせてしまいました」

「入ってないんだよ、タルタルが」

店長は弁当を両手で受け取ると、ふたの隅に貼られた小さなシールへ指を添えました。

「こちらのお弁当は、タルタルソースが別売りのタイプでございます。100円でお付けできますので、よろしければお持ちしますね」

責める調子は、少しもありませんでした。ただの案内でした。

男性客の目が、その指先を追いました。

白いシールには、確かにそう書かれていました。字は小さいけれど、隠されてはいません。

「……いや、それは」

言葉が続きませんでした。もう一度シールに目を落とし、口を開いて、また閉じます。

カウンターに置いていた手が、ゆっくり下ろされました。

「表示が分かりにくいとのお声は、こちらでも伺っております。申し訳ございません」

店長は勝ち誇りません。声の調子も変えないまま、そう付け加えただけでした。

男性客はしばらく黙っていました。それから弁当をつかんで、小さく言ったのです。

「……マヨネーズでいい」

差し出された小袋を受け取ると、こちらを見ないまま自動ドアを抜けていきました。

あれだけ響いていた声は、最後まで戻ってきませんでした。

店内の空気がゆるみ、店長は若い店員のほうへ向き直りました。

「最後まで丁寧にやってくれましたね。助かりました」

店員が、そこで初めて息をついたのが見えました。

私が缶コーヒーを持ってレジへ行くと、その店員はいつもの声で迎えてくれました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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