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「人の足を傘で叩くなよ」私に向けられた怒鳴り声。だが、駅員室の映像で誤解が解けた瞬間

  • 2026.7.30

急いでいた朝の、歩く側

その朝は会議の時間が迫っていて、改札までの一分が惜しい状態でした。

電車を降りて、上りのエスカレーターに乗ります。

片側は立ち止まる人、もう片側は歩いて上る人。そんな時間帯でした。

私は歩く側を選んで、一段ずつ上がっていきます。

ところが半分ほど来たところで、前を歩いていた人が急に足を止めたのです。

スーツ姿の男性が、手すりに手を置いたまま動かなくなりました。

私も止まるしかありません。すぐ後ろに人がいるので、下がることもできませんでした。

その後ろにいたのは、折り畳んだ傘を持った男性です。

「止まらないでください、急いでるんです」

そう言いながら、私の脇から傘の先を伸ばして、前の男性の膝のあたりを軽く突きました。

前の男性が、勢いよく振り返りました。

「人の足を傘で叩くなよ、痛いだろ」

その目は、まっすぐ私を見ていました。

怒鳴り声は、私に向いた

「私じゃありません」

そう言うのが精一杯でした。

「今、後ろから突いただろ」

「だから、私は傘なんて持っていません」

両手を広げて見せても、男性は聞く様子がありません。

エスカレーターを降りたところで、3人ともその場から動けなくなりました。

周りの人が振り返りながら、回り込むようにして通っていきます。

声を聞きつけた駅員さんが、小走りで近づいてきました。

「お怪我はありませんか。よろしければ、あちらでお話を伺います」

穏やかな声でした。誰が悪いという顔は、いっさいしていません。

3人並んで、駅員室へ入ることになりました。

モニターに映っていたもの

駅員室の壁際には、小さなモニターがいくつも並んでいました。

駅員さんは私たちを椅子に座らせてから、映像を巻き戻して画面を見ています。

やがて、こちらを向きました。

「確認しました。傘をお持ちだったのは、いちばん後ろの方ですね」

怒鳴った男性の顔から、さっと赤みが引きました。

口を開きかけて、そのまま閉じます。

「……いや、てっきり」

言葉はそこで途切れました。

傘を持っていた男性が、先に頭を下げます。

「突いたのは私です。急かしてしまって、すみませんでした」

怒鳴った男性はしばらく床を見たあと、私のほうへ体ごと向き直りました。

「勘違いでした。申し訳ない」

「はっきりして、よかったです」

駅員さんは最後に、3人に同じことを言いました。

「エスカレーターは歩かないでいただくのが決まりです。3人ともお怪我がなくて何よりでした」

誰も言い返しませんでした。みんな少しずつ焦っていたのだと思います。

会社にはしっかり遅刻しました。それでもあの朝から、私はエスカレーターを歩かなくなりました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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