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「貯金はいくらあるの?」叔父から飛んできた不躾な質問。だが、義姉の一言で笑いに包まれたワケ

  • 2026.7.31

そうめんの湯気の向こうで

お盆に妻の実家へ帰ると、座敷にはもう親戚が集まっていました。

仏壇の線香と、台所から流れてくる出汁の匂いが混ざっています。

「久しぶりだね、元気にしてた?」

妻の叔父がビールの瓶を傾けてきます。誰にでも同じように声をかける、昔からそういう人でした。

そうめんの大皿が回って、笑い声が続いたのは最初の三十分ほどだったと思います。

「今はどのへんに住んでるんだったかな」

「駅の南の、二階建てのところです」

「家賃、いくら?」

「10万です」

「貯金はいくらあるの?」

箸の音が止まりました。伯母が急須へ手を伸ばしたまま、こちらを見ています。

「え、っと……」

「貯めておかないと。子どもの学費、いくらかかると思ってるの」

面接みたいに続いた質問

そこからは、ひとつ答えるたびに次が来ました。ボーナスは何ヶ月分か、上の子は私立に行かせるのか、会社での評価はどうなのか。

「今の会社で、上からはどう言われてるの」

「まあ、ぼちぼちです」

笑ってごまかす以外に、手がありませんでした。悪気がないのは分かります。叔父は質問のたびに「心配してるだけだから」と付け足すのです。

「奥さんは働いてないんだろう。もったいないなあ」

妻が湯呑みを置く音がしました。

「うちは、二人で決めてますので」

私がそう返しても、叔父は「そりゃそうだけどな」と笑って、次の質問に移ります。座敷の空気は、とっくに重くなっていました。

義姉が置いた湯呑み

台所から義姉が戻ってきたのは、貯金の話が二周目に入ったころです。盆から湯呑みを並べながら、叔父の前にひとつ置きました。

「叔父さん。次は叔父さんの番でいいですか」

叔父の手が止まりました。

「いや、私は別に」

「家賃と、貯金と、会社の評価です。全部答えてもらえますか」

伯母が吹き出しました。

「そうよ。あなたの通帳から先に見せてもらいましょう」

座敷が笑いに包まれて、叔父は頭をかきながらそうめんに箸を伸ばします。それきり、家計の話は一度も出ませんでした。

帰り際、玄関で靴を履いていると、叔父が横に立ちました。

「さっきは悪かったな。聞きすぎた」

「心配してくれてるのは、分かってますから」

叔父はうなずいて、それ以上は何も聞かずに、妻の荷物を車まで運んでくれました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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