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「1口しか食べてないから、交換してくれる?」落としたアイスの交換を迫った親。だが、店長が返した思わぬサービスとは

  • 2026.7.31
「1口しか食べてないから、交換してくれる?」落としたアイスの交換を迫った親。だが、店長が返した思わぬサービスとは

列の先で落ちたコーン

休日の午後、商店街のアイスクリームの店に並んでいました。ガラスケースの前は家族連れでいっぱいです。

私の三つ前に、小さな男の子と親御さんが立っていました。

「どれにする?」

「みどりの」

コーンを受け取った男の子は、両手で大事そうに抱えて店の外へ出ていきます。

ひと口かじって、うれしそうに目を細めていました。

その直後でした。歩道の段差でつまずいた拍子に、コーンが手から離れたのです。

アイスが、あっという間にアスファルトへ広がりました。

男の子は声も出せずに、その場に立ちつくしています。

誰が見ても、ただの事故でした。

カウンターに響いた声

親御さんは男の子の手を引いて、まっすぐカウンターに戻ってきました。

「すみません、これ落としちゃって」

「あら、大変でしたね」

応対したのは、髪をきっちりまとめた女性の店員さんでした。

「1口しか食べてないから、交換してくれる?」

店内の空気が、すっと止まりました。

列に並んでいた人たちが、いっせいにそちらを向きます。

「申し訳ございません。お落としになったぶんのお取り替えは、いたしかねます」

「まだほとんど残ってたじゃない」

「重ねて、申し訳ございません」

「融通がきかないのね。この子が困ってるのが見えないの」

男の子は泣いてなどいませんでした。うつむいて、親御さんの服の裾を小さく引いています。

店員さんの声が、少しずつ細くなっていくのが分かりました。

店長が差し出した小さなカップ

奥から、エプロン姿の男性が出てきました。この店の店長さんです。

「お待たせいたしました」

そう言って、男の子の目線の高さまでしゃがみました。

手には、手のひらに乗るほどの小さなカップがあります。

「お子さまには、こちらの小さなカップをひとつサービスさせてください」

親御さんが口を開きかけました。店長さんは顔を上げて、静かに続けます。

「ただしこれは交換ではなく、私どもの気持ちです」

男の子はカップと店長さんの顔を見比べて、それから小さく頭を下げました。

「ありがとう」

列のどこかで、小さな笑い声が起こりました。

前に立っていた年配の女性が、目尻を下げてうなずいています。

親御さんは、文句を言うきっかけを失っていました。

「……どうも」

短く頭を下げて、男の子の手を引いて店を出ていきます。さっきまでの勢いは、どこにもありませんでした。

店長さんは立ち上がると、店員さんに何か一言かけました。

彼女の肩から力が抜けるのが、離れた場所からでも見えたのです。

「お待たせしました。ご注文をどうぞ」

列がまた、静かに動きはじめます。私の番が来たとき、店員さんの表情はもう、いつもの穏やかなものに戻っていました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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