1. トップ
  2. 住まい
  3. 「2階から花火が見える家」が決め手で約3,100万円も…30代夫婦が「勘弁してほしい」と後悔したワケ【一級建築士は見た】

「2階から花火が見える家」が決め手で約3,100万円も…30代夫婦が「勘弁してほしい」と後悔したワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.8.13
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

「『2階から花火が見える家』が決め手だったんです。今年が初めての大会当日で…花火は最高でした。でも家の前は人の波、車は出せない、翌朝は門の前にゴミ。年に1度だけ、住んでいる町が別の町になるんですね」

そう話すのは、昨年の秋、川沿いの住宅地に中古の一戸建て(築16年・4LDK・延床約101㎡/土地約142㎡、約3,100万円)を買ったRさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

内見のとき、2階の窓から川の方角が開けていて、担当者から「夏になれば、花火大会がここから見えますよ」と案内されたのが、決め手の一つでした。「当日は周辺で交通規制があります」という説明も受けています。ただ、「規制」という言葉から思い浮かべたのは、道が少し混む程度の景色。車を出せない一日が来るとは、想像していなかったのです。

「花火が見える」は、「会場に近い」ということ

花火大会の日、会場の周りでは歩行者の安全を守るため、広い範囲で車両通行止めなどの交通規制が敷かれます。自治体の案内を見ると、たとえば江戸川区の花火大会では夕方から夜まで規制区域への車の進入・通行ができず、鎌倉市の花火大会では規制時間中、規制道路沿いの駐車場から出庫もできないとされています。規制の範囲は年によって大きくは変わらないことが多く、開催前に規制図が公表されるのが通例です。

つまり、家から花火がよく見えるということは、多くの場合、その規制の輪の中か、すぐそばに住んでいるということ。「見える」の裏側には、「会場の近く」という現実が貼りついています。

初めての大会当日、Rさんの家に起きたこと

夕方、前面道路が通行止めに。家の車も、規制の間は駐車場から出せません。会場へ向かう人の流れが夜まで続き、門の前に腰を下ろして開始を待つ人もいました。仕事で車を出していた夫は、規制で自宅に戻れず、近くのコインパーキングも満車。少し離れた商業施設で買い物などをして時間をつぶし、規制が解けた夜遅くの帰宅になりました。翌朝は、門扉の前にペットボトルと菓子の袋がぽつり。ほとんどの人はマナーを守っていましたが、数千人が行き交えば、落とし物はどうしても出ます。

一方で、花火そのものは文句なしでした。2階の窓辺に家族で並び、音と光を独り占め。「来てよかった、と思える夜と、勘弁してほしい半日が、同じ日に来るんです」とRさんは笑います。

Rさん夫婦はどう対応したのか

来年に向けて決めたのは、「当日は車を使わない」ということです。大会公式や自治体のページで規制図を確かめ、自宅前の規制時間をカレンダーに書き込みました。買い出しは前日までに済ませ、夫は規制が始まる前に帰宅する段取りです。住民向けの通行案内や許可の仕組みは大会ごとに違い、全面通行止めの区域では住民でも車を通せない場合があるため、自分の町のルールを事前に確認しておくそうです。

翌朝のゴミは、ほうきでさっとひと掃き。同じように掃除に出てきたお隣と言葉を交わし、引っ越して1年目で一番の近所の会話になったそうです。そして来年は、双方の両親を招いて2階で観覧会を開く予定。特等席は、悩みの種から自慢の種に変わりつつあります。

「花火の見える家」は、年に1度の作法とセットで

家に居ながら夏の夜の特等席。子どもの記憶に残り、人を招く理由にもなる「花火の見える家」は、この住まいの確かな魅力です。一方で、会場に近いということは、年に1度、まちの使われ方が変わる日を受け入れるということでもあります。以下を確かめてみてください。

・物件の近くで大きな催しがあるなら、規制図の範囲と時間を大会公式や自治体のページで確認する
・当日は車を使わない前提で予定を組む(規制沿いの駐車場は出庫できないこともあります)
・住民向けの通行案内の有無や範囲は大会ごとに違うため、事前に確認する
・内見は時間帯や曜日を変えて、まちのいろいろな顔を歩いて確かめる

年に1度の作法さえ知っておけば、「花火の見える家」は、夏の特等席であり続けます。

参考:
当日の交通規制 江戸川区花火大会(江戸川区)
第78回鎌倉花火大会(鎌倉市)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ