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夕方の買い物、車に乗せた子どもが「あちち」カーポートを見送った30代夫婦を襲った“誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「夕方、買い物に出ようと車に乗せたら、チャイルドシートが熱々で、子どもが『あちち』と泣くんです。金具は触れないほど熱くて…。家の前の駐車場に屋根がないだけで、こんなに大変だとは思いませんでした」

そう話すのは、2年前、都市部の住宅地に、地元の工務店で注文住宅(3LDK・延床約114㎡/土地約110㎡、約5,000万円)を建てたMさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

駐車場は、家の前の土間コンクリート。カーポートは、あとからでも付けられるだろうと考えて、予算の都合でいったん見送っていました。引き渡しのとき、敷地の建ぺい率いっぱいに建てた家だという説明は受けていましたが、それがカーポートに関わる話だとは思っていなかったのです。

炎天下の車内は、55℃を超える

JAFのテストでは、外気温35℃の炎天下に締め切った車を置くと、車内温度は30分で約45℃に達し、やがて55℃を超えました。しかも、ダッシュボードやハンドルなど直射日光の当たる面は、車内の空気よりさらに高温になり、やけどに注意が要るほどになります。

チャイルドシートも同じです。樹脂の座面や金具は熱をため込み、体の小さな子どもにとって、真夏のチャイルドシートはひときわ過酷な場所になります。言うまでもなく、短い時間でも子どもを車内に残すのは危険です。真夏の青空駐車は、乗り込むその瞬間から勝負が始まっているのです。

「カーポートはあとから」に、建ぺい率の壁

そこで考えるのが、後付けのカーポートです。ところが、ここに盲点があります。柱と屋根だけに見えるカーポートも、建築基準法の上では「建築物」。屋根の下は建築面積に数えられ、敷地の建ぺい率の枠を使います(開放的なつくりへの緩和もありますが、条件と地域によります)。市販のカーポートは1台用でも12㎡前後あり、建てる前の確認申請も原則必要です。

Mさんの敷地は約110㎡で、建ぺい率は60%。建てられる建築面積は66㎡までで、家がすでに約57㎡を使っています。残りは9㎡ほど。1台分のカーポートは、入らない計算でした。「あとからでも」は、敷地に枠が残っていれば、の話だったのです。

Mさん夫婦はどう対応したのか

カーポートをあきらめたMさん夫婦は、「触れる場所を熱くしない」対策に切り替えました。

まず、フロントガラスのサンシェードです。数百円からあり、車内の空気の温度はあまり下がらないものの、直射日光を遮る効果が高いことは、JAFのテストでも確かめられています。直射日光が当たらなければ、シートや金具が焼けるのを抑えられるのです。同じ理屈で、チャイルドシートには、車を降りるときに白いタオルや専用の日よけカバーをかけておき、直射日光を当てないようにしました。

乗る前は、30秒の熱抜きです。対角線上にあるドアと窓を開けて熱気を逃がし、走り出しは窓を開けたまま外気でエアコンを回して、こもった熱を追い出してから窓を閉めます。そして、座らせる前に金具とベルトを大人の手で触って確かめるのを、家族の約束にしました。

「数百円のシェードとタオル1枚で、『あちち』はなくなりました」とMさんは話します。

駐車場の屋根は「建ぺい率の残り」から

屋根のない青空駐車は、費用がかからず、敷地を広く使える身軽な形です。見通しがよく、子どもの乗り降りを見守りやすい良さもあります。一方で、真夏の車内は50℃を超える暑さになり、後付けの屋根には、建ぺい率の制限や確認申請といった法的な手続きが伴います。以下を押さえておくと安心です。

・家づくりや土地選びの段階で、カーポート分の建ぺい率まで見込んでおく
・後付けするなら、建ぺい率の残りと確認申請の要否を、役所や設計者に確かめてから
・今すぐの暑さには、サンシェード+チャイルドシートの日よけ+乗車前30秒の熱抜き
・小さな子は座らせる前に、金具やベルトの温度を大人の手で確かめる

車の屋根も家と同じ「建築」の話だと知っておけば、真夏の「あちち」は数百円で防ぎながら、カーポートは正しい手順で進められます。

参考:真夏の炎天下の車内はどのくらい温度が高くなりますか?(JAF)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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