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お盆に義父母が泊まった初日の夜、5,100万円の我が家の洗面所に起きた“異変”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「お盆に義父母が泊まった初日の夜、義父がお風呂に入っているあいだ、脱衣所を兼ねた洗面所に誰も入れなくて。翌朝は翌朝で、5人の洗面が大渋滞…。水回りって、人が増えるとこんなに詰まるんですね」

そう話すのは、3年前、郊外の住宅地に、地元の工務店で注文住宅(4LDK・延床約116㎡/土地約205㎡、約5,100万円)を建てたAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

部屋数にはゆとりがあり、義父母の泊まる客間も用意できました。設計の打ち合わせでは「洗面所と脱衣所を分ける間取りもありますよ」という提案も受けていましたが、面積と費用は部屋の広さに回して、洗面所は標準的なひと部屋に。ふだんの3人暮らしでは、それで何も困らなかったのです。

洗面所の正体は「洗面室」ではなく「洗面脱衣室」

日本の住宅の洗面所は、多くの場合、洗面台・脱衣スペース・洗濯機置き場がひとつの部屋にまとまった「洗面脱衣室」です。水回りをまとめれば配管は短く、面積も節約できて、入浴前後の着替えや洗濯の動線もコンパクト。毎日の暮らしには合理的な、日本の標準の形です。

ただしこの部屋には、ひとつの性質があります。誰かがお風呂に入っているあいだ、ここは「脱衣室」として使用中になる、ということです。

兼用の弱点は、夜の入浴時と泊まり客の朝に表面化する

家族だけなら、入浴中の洗面所に入るのはお互いさまで済みます。ところが泊まり客がいると、この部屋は急に使いにくくなります。義父の入浴中に洗面所へ入るのは気が引ける。逆にお客さんの側も、家族が歯磨きしている部屋で服を脱ぐわけにはいかない。遠慮が二重にかかるのです。

しかも朝は、洗顔・歯磨き・ドライヤーが同じ時間帯に集中します。5人の朝の身支度を1台の洗面台と1つの部屋でさばくことになり、Aさんの家の渋滞は必然でした。実際、「誰かの入浴中に洗面所が使えない」ことは兼用間取りの代表的な不満とされ、洗面と脱衣を分ける間取りが選ばれる理由になっています。

Aさん夫婦はどう対応したのか

義父母を見送ったあと、Aさん夫婦が付けたのは、一枚の仕切りです。洗面台と脱衣スペースの間に、突っ張り式のロールスクリーンを取り付けました。ネジも工事も不要で、費用は数千円。天井近くに突っ張り棒を渡して布を下ろすだけの、30分の模様替えです。

浴室のドアに加えて、もう一枚仕切りを設けて視線を遮れると、入浴中の人がいても「ひと声かけて洗面台だけ使う」ことができます。ふだんの3人暮らしでも、子どもの歯磨きと親の入浴が重なる夜に、さっそく効き目がありました。「次に建てるなら、洗面と脱衣は分けたいねと夫婦で話しています。年末にまた泊まってもらうときは、この一枚が気兼ねを減らしてくれるはずです」とAさんは話します。

洗面脱衣室は「泊まり客の朝」を想像して

洗面脱衣室は、着替えも洗濯も入浴もひとつながりでこなせる、面積効率のいい日本の定番です。配管がまとまるぶん、建築費にもやさしい形です。一方で、誰かの入浴中は部屋ごと「使用中」になる性質があり、その不便さは泊まり客がいる時にはっきり表れます。以下を用意しておくと安心です。

・家づくりでは、洗面・脱衣の分離や洗面台の2ボウルを「泊まり客の朝」を想像して検討する
・いまの家なら、突っ張り式ロールスクリーンで洗面と脱衣をゆるく仕切る(数千円・工事不要)
・朝の洗面の順番は、お客さんが来る前にゆるく決めておく

洗面所は「入浴中は部屋ごとふさがる」場所だと知って、一枚の仕切りと朝の順番の取り決めを用意しておけば、夜の気まずさと朝の大渋滞は軽減できます。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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