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夏の『車中泊』で半日以上スケジュールが狂った30代夫婦…観光もキャンセルせざる得なかった“思わぬ事態”

  • 2026.8.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

夏休みやお盆、アウトドアシーズンになると、車中泊を楽しむ人が増えます。ポータブル電源の普及によって、扇風機や冷蔵庫、スマートフォンなどを快適に使えるようになりました。

しかし、「ポータブル電源があるから車のバッテリーは減らない」と思い込んでいると、思わぬトラブルにつながることがあります。今回は、私が自動車整備工場に勤務していた頃にロードサービスで搬送されてきた30代のご夫婦のお客様の事例をご紹介します。

「ポータブル電源があるから大丈夫」のはずが

私が自動車整備工場で勤務していた頃、ロードサービスで搬送されてきたお客様の中に、30代のご夫婦がいらっしゃいました。お二人は夏休みを利用して数日間の車中泊旅行を楽しんでいたそうです。

「ポータブル電源も持ってきたので、電気の心配はしていませんでした」

そう話してくださったご主人。夜は車内で扇風機を回し、LED照明を点灯。ポータブル冷蔵庫やスマートフォンの充電も行い、快適な車中泊を満喫していたそうです。ところが翌朝、出発しようとエンジンをかけると異変が起きました。

「セルがほとんど回らない」

もう一度キーを回しても、「カチッ」という音がするだけでした。何度試してもエンジンは始動せず、旅行先でロードサービスを呼ぶことになりました。予定していたcるを得ず、ご夫婦は半日以上スケジュールが狂ってしまったそうです。

原因は「一部だけ車から給電していた」ことだった

入庫後に点検すると、原因はバッテリーの電圧低下でした。詳しくお話を伺うと、扇風機や一部の家電はポータブル電源から給電していましたが、スマートフォンの充電や一部のUSB機器、シガーソケット対応の機器は、そのまま車両側から電源を取っていたことが分かりました。さらに、夜間には何度もドアを開閉し、室内灯も点灯させていたとのこと。

「ポータブル電源があるから、車のバッテリーは使っていないと思っていました」

ご主人は驚いた様子で話されていました。

実際には、シガーソケットやUSBポートが車両バッテリーから給電される仕組みの車種も多くあります。また、ドアの開閉やルームランプの点灯もバッテリーの電力を消費します。そこへ夏の高温が重なると、バッテリーは通常より性能が低下しやすくなります。暑さによって自己放電や内部の劣化が進み、同じ電力消費でも始動できなくなるケースは決して珍しくありません。

幸い今回はバッテリー交換のみで復旧し、エンジンも問題なく始動しました。しかし、旅行中の貴重な時間を失ったことは、お客様にとって大きな痛手となりました。

車中泊で本当に気を付けたいのは「車から給電しない」こと

最近はポータブル電源を活用する方が増えていますが、「ポータブル電源を持っている=安心」というわけではありません。重要なのは、エンジンを停止した状態では、車両側からの給電をできるだけ行わないことです。ポータブル電源を用意していても、一部だけシガーソケットやUSBポートを使ってしまえば、その分だけ車のバッテリーは消耗していきます。

「少しくらいなら大丈夫」と思っていても、スマートフォンの充電、扇風機、照明、冷蔵庫などが積み重なると、想像以上に電力を消費することがあります。車中泊では、できる限り電装品はポータブル電源だけで完結させることをおすすめします。

また、車種によってはシガーソケットがACC電源だったり常時電源だったりするため、自分の車の仕様を把握しておくことも大切です。ただし、ACC電源だから長時間使っても安心という意味ではありません。エンジン停止中は種類にかかわらず、使い続ければバッテリーは消耗します。

さらに、夏場はバッテリーへの負担が一年の中でも特に大きくなります。使用開始から2〜3年以上経過している場合や、最近セルモーターの回り方が弱く感じる場合は、旅行前に点検を受けておくと安心です。車中泊は自由で楽しい旅のスタイルですが、快適さばかりを優先すると、翌朝エンジンがかからず予定が大きく狂ってしまうこともあります。

「翌朝も確実に出発できる状態を残しておくこと」

それも、安全で楽しい車中泊に欠かせない準備の一つなのです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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