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医師から『食道がん』と宣告された50代男性→数年前から、身体に起きていた“恐ろしい異変”に「あの時、忠告を聞いていれば…」

  • 2026.8.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさん、こんにちは。麻酔科専門医の松岡雄治です。

「最近少し太ったせいか、食後に咳が出やすくて長引くんだよね」

「一度病院でしっかり診てもらったら?」という家族の助言を「市販の咳止めで治まるよ」と軽く受け流していた50代男性のEさん。

しかし数年後、彼を襲ったのは「食道がん」による食道の全摘出という酷な現実でした。現在は家族と楽しく食事をとることも叶わず、喉の通りづらさや食後の動悸・吐き気といった後遺症と闘っています。「あの時、忠告を聞いていれば…」と後悔を募らせる日々です。

今回は「ただの咳」と思われがちな変化が、なぜ食道全摘出に至る病態へつながるのか、そのメカニズムについて詳しく解説します。

胃酸の逆流が招く「バレット食道」とリスク

長引く咳の原因の多くは、咳喘息やアトピー性咳嗽などの呼吸器・耳鼻科系の疾患ですが、実は「胃食道逆流症(GERD)」が隠れているケースもあります。そしてこれを放置すると、「バレット食道」を経てリスクが高まる可能性があるのです。

【逆流と刺激のメカニズム】

  1. 酸の暴露:胃の入り口が緩んで胃液が逆流し、酸が気管支を刺激して収縮させることで「長引く咳」を引き起こします。
  2. 粘膜の変質:強烈な酸の暴露を長年受け続けた食道の粘膜(扁平上皮)は、身を守るために胃や腸のような粘膜へと変質するケースがあります(バレット食道)。
  3. がんの発生:この変質した粘膜を放置し続けることで、その一部から「食道腺がん」が発生し、発見が遅れれば食道の全摘出を余儀なくされることもあります。

「ただの咳」や「太り気味」に潜む危険な境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「仕事の付き合いでつい食べ過ぎてしまう」「疲れているから、食べてすぐ横になって休みたい」。毎日懸命に働く皆さんが、多少の咳を「いつものこと」とやり過ごしてしまうのは、ごく自然な心理です。

しかし、重症化を防ぐために知っておいてほしいポイントがあります。

「胸焼けがないから胃酸の逆流ではないはず」と思いがちですが、胃酸の逆流が原因の咳は、典型的な胸焼けの症状を伴わないことも少なくありません。また、肥満傾向があると腹圧が高まり、胃酸の逆流を誘発しやすくなります。

なお、日本人の食道がんの約90%は喫煙や飲酒が主な原因となる「扁平上皮がん」であり、「食道腺がん」は約7%と比較的少数派です。しかし、近年の食生活の欧米化や肥満の増加に伴い、バレット食道や食道腺がんのリスクは無視できないものとなっています。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

もし「太り気味」で、長引く咳がある場合、以下の3つのサインをご自身で確認してください。

1. 風邪薬を飲んでも「咳が長引く」

市販の風邪薬や一般的な咳止めで改善しない場合、胃酸による気管支への刺激や、その他の疾患が隠れている可能性があります。

2. 食後や就寝時に「酸っぱい胃酸が上がってくる(呑酸)」

胃酸が食道へ逆流している直接的なサインです。横になったり、お腹に力が入ったりするとより逆流しやすくなります。

3. 食べ物を飲み込むときに「胸の奥がつかえる・しみる」

慢性的な胃酸刺激によって食道粘膜に強い炎症が起きているか、何らかの病変によって食道が狭くなっている危険なサインです。

長引く咳や違和感を放置せず、適切な受診を

長引く咳には様々な原因が考えられますが、胃酸の逆流が原因である場合、放置するとバレット食道などを引き起こし、将来的なリスクを高めてしまうことがあります。

風邪薬を飲んでも収まらない咳、食後や横になった際に酸っぱいものが込み上げる症状、胸の奥につかえ感がある場合は、体が発しているサインかもしれません。初期段階で胃酸の分泌を抑える適切な治療を行えば、進行や重症化を防ぐことが十分に期待できます。

「ただの咳だから」「いつもの体調不良だろう」と自己判断せず、症状が続く場合はお近くの消化器内科や呼吸器内科などの医療機関へ早めに相談し、大切な体を守っていきましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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