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“尿道カテーテル”を入れて生活する80代父→「どうにかならないか」娘が泌尿器科を受診すると…医師から告げられた“意外な提案”

  • 2026.10.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「管をつけたままじゃ、どこにも出かける気になれない…」尿が出なくなり、尿道カテーテル(尿を体の外に出す管)を入れたまま生活している方は少なくありません。「もう仕方がない」とあきらめてしまう方もいます。

でも実は、別の選択肢が用意されていることもあるのです。今回は、カテーテルを外して笑顔を取り戻された80歳の男性のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

ある日突然、尿が出なくなった

Cさん(80歳・男性)は、数年前から尿の勢いが弱くなったと感じていらっしゃいました。

ある日、トイレに行ってもまったく尿が出ず、下腹部がパンパンに張って苦しくなり病院へ。

尿道から膀胱にカテーテルを入れて尿を出し、そのまま管と袋をつけた状態で帰宅されました。これを「留置カテーテル」といいます。

その後、飲み薬や手術などの治療を受けましたが、尿がすっきり出るようにはならず、カテーテルは外せないままでした。

大好きな銭湯にも行けなくなって

Cさんの楽しみは、近所の銭湯に通うこと。でも管と袋をつけたままでは、人目が気になって足が向きません。

「においもする気がして、いつも嫌な気分なんだよ」

同居する娘さんは、「父があんなに暗い顔をしているのは初めてでした」と振り返ります。どうにかならないかと、別の泌尿器科の医師に相談されました。

そもそも、なぜ尿が出なくなるの?

尿が出なくなる原因は、大きく2つあります。ひとつは、尿の出口が狭くなること。男性では前立腺肥大症が代表的です。

もうひとつは、膀胱が尿を押し出す力が弱くなること。加齢のほか、糖尿病や神経の病気などが関わることがあります。

出口の問題は薬や手術で改善が期待できますが、膀胱の力そのものが弱い場合は、出口を広げても十分に尿が出ないことがあります。

Cさんも、膀胱の力の低下が大きく影響していると考えられました。

「自己導尿をしてみませんか?」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

医師から提案されたのは、「自己導尿」という方法でした。

「1日に何回か、ご自分で細いカテーテルを尿道から入れて尿を出し、終わったらすぐ抜く方法です。管を入れっぱなしにしないので、ふだんは何もつけずに過ごせますよ」

管を入れたままにする留置カテーテルに比べて、膀胱の広がる、縮むのサイクルが保たれるため、もともとの膀胱の働きに近く、生活の制約も少ないのが特長です。

「そんなこと、素人の自分にできるのか」——Cさんも最初は不安だったそうです。でも、自己導尿は医療者のような無菌操作までは必要なく、「清潔」に行えば大丈夫とされています。手を洗い、尿道の出口を拭いて、潤滑剤をつけたカテーテルをゆっくり入れる。手先の動きや手順の理解に問題がなければ、ご高齢の方でも身につけられることが多い方法です。おおまかな基準として「耳かき」ができる方なら挑戦してみてもよいでしょう。(※ただし、尿道損傷や感染症を防ぐため、導入にあたっては必ず医療機関での適応判断と専門スタッフの指導のもとで行う必要があります。)

使うのは、使い捨てのカテーテルや、洗って繰り返し使えるタイプのカテーテル、潤滑剤、消毒綿など。月に1回ほど受診し、必要な物品を受け取る形が一般的です。

「自分でもびっくりするくらい、すんなり」

Cさんは看護師さんに教わりながら、病院で何回か練習されました。

「自分でもびっくりするくらい、すんなりできたんだよ」

その日のうちに留置カテーテルを外し、自己導尿での生活がスタート。まずは1日5回から始め、尿の量を見ながら回数を少しずつ調整していくことになりました。

今では月に1回受診してカテーテルを受け取り、大好きな銭湯通いも再開。娘さんは「表情が見違えるほど明るくなりました。こんな治療があったんですね」と話してくださいました。

「管があるから仕方ない」とあきらめる前に

留置カテーテルが必要な状況はもちろんありますが、自己導尿という選択肢があることも知っておいていただきたいと思います。向き不向きがあるため、まずは主治医に相談してみてください。ご本人がご自身で行うのが難しい場合でも、ご家族がサポートする「家族導尿(介護導尿)」という方法もあります。

自己導尿中に発熱や尿のにごり、血が混じる、カテーテルが入りにくいといったことがあれば、早めに受診しましょう。

管から解放されること——それは、その方らしい毎日を取り戻すことでもあるのです。

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