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歯科医「避けてください」→実は『歯を失う』原因になっている…見落としがちな“3つの原因”とは?

  • 2026.8.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「毎日きちんと磨いているのに、どうして虫歯ができるのだろう?」「いつまでも自分の歯を健康に保つには、どんなケアをすればいいの?」とお悩みではありませんか?

実は、一生懸命に磨いているつもりでも、普段の食習慣や磨き方、歯磨き粉の選び方そのものが、気づかないうちに歯を失うリスクを高めてしまっていることがあります。

そこで今回は、歯科医師の鷹巣多紀さんに、私たちが歯を失ってしまう本当の原因と、お口の健康を長く保つための正しいケアについて詳しく教えていただきました。明日からすぐに実践できる、目からウロコのセルフケア術を解説します。

毎日磨いているのに歯を失う?見落としがちな3つの原因

---毎日しっかり磨いている人でも、歯を失ってしまうのはなぜでしょうか?考えられる主な原因を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「日本の全国調査で抜歯の原因を見ると、歯周病が37%、むし歯が29%、そして歯が割れる『破折』が18%。破折の多くは、むし歯治療で神経を取った歯に起きています。つまり、今むし歯を作らないことが、20年後に歯を割らないことにもつながるわけです。

そのうえでまず見直していただきたいのが、食べ方・飲み方です。『甘い物は控えています』とおっしゃる方でも、砂糖入りのカフェラテを机に置いて少しずつ飲んでいたり、飴をなめる習慣があったりします。糖が口に入るたびに歯垢の中の細菌が酸を作りますから、量そのものより回数が問題になる。甘い物を禁止する必要はありません。『間食は3時に一度』と時間を決めるだけでも、歯が酸にさらされる時間はかなり減ります。WHOも、食品や飲み物に加えられた糖、蜂蜜・シロップ・果汁の糖を、むし歯の主要なリスク因子に挙げています。

次に、口の乾きです。唾液は食べかすを流し、酸を中和し、溶け出したミネラルを歯に戻してくれます。薬の副作用や病気で唾液が減っている方は、同じように磨いていてもむし歯ができやすくなります。口がねばつく、飲み込みにくいという状態が続くようなら、歯科医師や主治医に一度ご相談ください。ただし、自己判断で薬をやめるのは避けてください。

歯周病で見過ごせないのは、喫煙と糖尿病です。たばこは歯周病を悪化させるうえ、治療をしても治りを悪くします。糖尿病のある方は歯周病が進みやすいので、血糖の管理と歯科での管理は両輪だとお考えください。

もう一つ、口の中の『環境』の問題があります。歯並びが重なっている、詰め物が合っていない、歯石が付いている、こうした場所は、どれだけ丁寧に磨いても汚れが残ります。しかも歯周病は痛みのないまま進み、歯と歯の間のむし歯はご自分では見えません。自分に合った磨き方を教わり、届いていない場所を定期的に確認してもらう。そこまで含めて『歯を守る習慣』だと考えていただきたいと思います。」

高い歯磨き粉のほうが安全?知っておきたい製品選びと磨き方の真実

---市販の歯磨き粉は価格帯も様々ですが、やはり高価な製品のほうが安全性や効果に優れているのでしょうか?また、正しいブラッシングについても教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「あります。ただし、『高い歯磨き粉なら安全で、安いものは劣る』ということではありません。価格の高さと、安全性や効果は必ずしも一致しないのです。見るべきは値段ではなく、成分がご自分の目的に合っているか、そしてどんな力で、どのくらいの頻度で使うかです。

たとえばホワイトニングをうたう歯磨き粉の多くは、研磨成分で歯の表面の着色を落とすもので、歯そのものの色を変える処置とは別物です。話題の活性炭配合の製品については、白く見せる効果を報告した研究がある一方で、研磨性が高い傾向も指摘されています。ただ、これらは実際に人が使って確かめたものではなく、抜いた歯などを用いて実験室で調べた研究が中心です。製品による差も大きいので、『活性炭入りはすべて歯を傷つける』と決めつけられるほどのデータではありません。むしろ気をつけたいのは使い方のほうです。研磨性のある製品を、硬い歯ブラシと強い力で何年も使い続けると、露出した歯の根元や、酸で弱った歯面がすり減り、しみる原因になることがあります。

力任せのブラッシングも同じです。歯ぐきが下がる『歯肉退縮』の原因は一つではなく、歯周病、歯ぐきや骨の薄さ、歯の位置なども関わります。強く磨いたことだけが原因だと言い切れる長期の証拠は、実のところまだ十分ではありません。とはいえ、乱暴な磨き方が歯ぐきの傷や歯の根元の摩耗に関わることは報告されています。目安は、毛先が大きく広がらない程度の力。やわらかめの歯ブラシを鉛筆のように持ち、歯と歯ぐきの境目に軽く当てて、小刻みに動かしてください。

歯ぐきから血が出たときの対応も、両極端になりがちです。『汚れているせいだ』とさらに強くこするのも、『傷つけたくない』とその部分を避けるのも、どちらもよくありません。多くは炎症による出血ですから、やさしく清掃を続けながら、原因を歯科で確かめるのが正解です。なお、洗口液や歯磨き粉だけでは、こびりついた歯垢や歯石は落とせません。日常用の歯磨き粉を選ぶなら、成人はまずフッ化物イオン濃度1,400~1,500ppm(ppmは100万分の1を表す濃度の単位)かどうかを確認し、そのうえで知覚過敏や着色など、お悩みに合う成分を足していく。この順番で考えてください。」

明日から実践!寝る前の「フッ素を残す」新習慣

---私たちが明日からすぐに変えられる、最も効果的なお口のケア方法を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「明日から一つだけ変えるとしたら、寝る前の歯みがきで『フッ素を口の中に残す』ことです。眠っている間は唾液が減り、口の中を洗い流す力が弱まります。だからこそ、寝る前に汚れを落としきり、酸から歯を守ってくれるフッ素を残しておく。ここが一日のうちで一番大事な時間帯です。

成人の方なら、パッケージに『高濃度フッ素1450ppm』などと書かれた歯みがき粉を、歯ブラシの毛先全体に1.5~2cmほど。磨き終わったら泡を吐き出すだけにして、すすぐなら少量の水で1回にしてください。何度もうがいをすると、せっかくのフッ素まで流れてしまいます。高価な製品である必要はありません。表示を確かめて、毎晩無理なく使えるものを選ぶほうがずっと大切です。

歯ブラシは強く押し当てず、毛先が歯の表面にきちんと触れているかを意識してください。『外側、内側、かむ面』と毎回同じ順番で回ると、奥歯の裏側のような磨き忘れが減ります。歯と歯の間は毛先が入りませんから、夜だけでもデンタルフロスや歯間ブラシを足してみてください。すき間が狭い場所にはフロス、広い場所には歯間ブラシが向いています。無理に押し込むと歯ぐきを傷つけることがありますので、迷ったときは歯科医院で自分に合う種類と使い方を教えてもらうと安心です。

ただ、どれだけ丁寧に磨いても、固まった歯石や、歯と歯の間にできたむし歯をご自分で見つけるのは難しいものです。歯周病も、初めのうちは痛みがないまま進みます。症状がなくても定期的に歯科医院で確認してもらい、受診の間隔はお口の状態に合わせて決めてもらってください。寝る前のケアと歯科医院でのチェック、この二つを組み合わせることが、将来も自分の歯で食べ続けるための現実的な方法です。」

正しいケアと定期的なプロの目で、将来も自分の歯で食べるために

毎日どれだけ丁寧に磨いていても、食習慣や磨き方のクセ、お口の中の環境などによって、知らず知らずのうちにむし歯や歯周病のリスクは高まってしまいます。しかし、日々のセルフケアを少し見直すだけで、そのリスクは大幅に減らすことができます。

まずは今夜から、寝る前の歯磨きで「高濃度フッ素をお口に残す」習慣を始めてみましょう。そして、自己流のケアだけに頼るのではなく、自分に合った磨き方を歯科医院で教わり、定期的にプロの目でチェックしてもらう。この「寝る前のケア」と「歯科医院でのチェック」というふたつの習慣を組み合わせることこそが、将来も自分の歯で美味しく食べ続けるための、最も現実的で確実な方法です。


※高濃度フッ素(1,450ppm)配合の歯磨き粉は成人向けです。歯の発育期にある6歳未満のお子様への使用は避け、年齢に応じた適切な濃度(500〜1000ppm未満)および量の製品をご使用ください。

監修者:鷹巣 多紀 歯科医師ママkiki

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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