1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 『大腸がんになりやすい人』には“便の形”に共通点があった…。見逃してはいけない「危険なサイン」とは?【医師が解説】

『大腸がんになりやすい人』には“便の形”に共通点があった…。見逃してはいけない「危険なサイン」とは?【医師が解説】

  • 2026.8.7
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

大腸がんは、現代の日本において多くの人が関心を持つ、身近な病気の一つです。しかし、「自分は大丈夫だろう」と見過ごしてしまったり、体からの重要なサインを「よくあること」と片付けたりしていませんか?

「便が細くなった気がする」「便秘と下痢を繰り返すのはなぜ?」といった日常の些細な変化には、実は腸からのSOSが隠されているかもしれません。

今回は、大腸がんが発生する原因から、見逃してはいけない便の危険なサイン、そしてその具体的なメカニズムまで、医師の松岡雄治さんに詳しく解説していただきました。自分の体を守るために、今私たちが知っておくべきこととは何でしょうか。

食生活の乱れやお酒・たばこが原因?大腸がんのリスクを高める要因とは

---大腸がんが発生する根本的な原因には、どのようなものがあるのでしょうか。日々の生活習慣がどのように影響しているのか教えてください。

松岡雄治さん:

「大腸は盲腸から肛門まで続くしなやかな一本の管です。その内側にがんという『コブ』ができると、便の通り道が狭まり形が変化します。このがんが発生する根本原因には、『食の欧米化』や『生活習慣の乱れ』が関わっています。

例えば、赤肉や高脂肪な食事は腸内で発がん物質を増やすと考えられています。運動不足に伴う『肥満』も大腸がんのリスクを引き上げます。これに加え、国のガイドラインで確実なリスクと指摘されているのが『飲酒』と『喫煙』です。

国立がん研究センターによれば、1日2合以上の飲酒と喫煙の両方の習慣がある人は、大腸がんのリスクが3.0倍に跳ね上がります。お酒の有害物質はDNA修復を妨げ、肺から吸い込んだたばこの煙は血液を介して腸の粘膜を傷つけてしまいます。

日々の食生活と嗜好品の蓄積が、腸の壁を傷つけ、通り道を塞ぐコブを育ててしまうのです。
まずは『休肝日を作る』『肉を魚に変える』など無理のない範囲で始めましょう。

なぜ便が細くなり、血が混ざるのか?「細便」と「粘血便」のメカニズム

undefined

---大腸がんの兆候として「細い便」や「血の混じった便」が出ることがあると聞きます。これらはなぜ起こるのでしょうか。痔との違いも教えてください。

松岡雄治さん:

「大腸という一本の管にできたがんは、便の通り道を物理的に塞ぐと同時に、『非常に血が出やすい』という厄介な特徴を持ちます。これが、鉛筆のように細い『細便』と、血と粘液が混じった『粘血便』を引き起こす理由です。

がんは成長するために自ら周囲に無数の新しい血管(新生血管)を張り巡らせます。しかし、この血管は『突貫工事』で作られるため壁が非常に脆く、崩れやすい構造をしています。

【細便と粘血便が起こるメカニズム】

  1. 物理的な圧縮:がんが内側に突き出して道を狭めるため、固形の便が押し潰されて細くなります。
  2. 脆い血管の破綻:細くなった便が通過する際、がん表面の脆い血管をこすって削り取ります。
  3. 粘血便の排出:傷ついたがんからにじみ出た『血液』と、炎症による『粘液』が便と混ざり排出されます。

『血がついてるけど、痔だろう』と自己判断するのは危険です。痔の出血と異なり、大腸がんによる出血は便の内部や粘液とドロっと混ざり合うことがあります。

『細い便が1週間以上続く』『赤い粘液が混じる』といった場合は、すぐに消化器内科を受診してください。早期に内視鏡検査を受ければ、ポリープの段階で日帰り切除することもできます。」

便秘と下痢を繰り返すのは危険信号?自宅でできるセルフチェックと検査の重要性

---便の状態をどのようにチェックすればよいでしょうか。また、特に注意すべき便の変化や、受けるべき検査について教えてください。

松岡雄治さん:

大腸がんの兆候に気づく第一歩は、排便後に便器をのぞき込む『5秒間の流す前チェック』です。

理想的な便は適度な硬さのバナナ状ですが、特に危険なサインは、頑固な『便秘』と水のような『下痢』を不自然に繰り返すパターンです。これは、狭くなった腸に対する体の必死の抵抗のおそれがあります。

【便秘と下痢を繰り返すメカニズム】

  1. 固形便の大渋滞(便秘):がんのコブで腸の管が狭くなり、固形便が引っかかって手前で大渋滞を起こします。
  2. 手前での液状化(下痢の準備):腸が詰まりを解消しようと分泌液を大量に出し、便を液体状に分解します。
  3. 隙間のすり抜け(下痢の排出):液状になった便だけが、がんの横の隙間を通り抜け、激しい下痢として一気に排出されます。
  4. 再びの閉塞(便秘):次に流れてきた固形便がまた狭い場所に引っかかり、再び便秘に戻ります。

毎回神経質に観察する必要はありません。『調子がいつもと違うな』と感じたら、便の様子(硬さ・太さ・粘血の有無)を確認し、スマホに記録として残しておきましょう。

また、40歳を過ぎたら、便潜血検査と必要に応じて大腸内視鏡検査を受けましょう。大腸内視鏡検査では、便潜血検査では見つけられないほどの小さな病変を見つけられることもあります。おかしいな、と思ったときの行動でその後は大きく変わるかもしれません。」

「5秒間のチェック」と定期的な検査で、大切な腸の健康を守ろう

お酒やたばこ、食生活の乱れといった日々の積み重ねがリスクとなる大腸がん。便が細くなる、血が混ざる、便秘と下痢を不自然に繰り返すといった症状は、がんという「コブ」が腸の通り道を塞ごうとしている体からのサインかもしれません。

まずは、毎日の排便後に「5秒間の流す前チェック」を行い、違和感があればスマホに記録することから始めてみましょう。そして40歳を過ぎたら、便潜血検査や、小さな病変も見つけられる大腸内視鏡検査を検討することが大切です。「おかしいな」と感じたときの一歩が、あなたの未来を大きく変えるきっかけになります。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ