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「薬はちゃんと飲んでいるのに…」尿が漏れてしまう60代女性→泌尿器科に受診すると、“起きた変化”に「早く相談すればよかった」

  • 2026.8.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「トイレが近くて、ちょっと我慢するともれてしまう」

年齢のせいだから仕方ない、そう思ってやり過ごしている方は少なくありません。過活動膀胱(かかつどうぼうこう)は、内服薬で症状が落ち着く方が多い病気です。でも、薬をきちんと飲んでいても、もれてしまう回数がなかなか減らないという方もいらっしゃいます。

今回は、過活動膀胱の内服薬を続けていても尿もれが改善しなかった方が、ボトックス治療を受けて症状が大きく良くなったエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

薬を飲んでいても寒くなるともれてしまう

68歳の女性、Dさんは、数年前から過活動膀胱でクリニックに通院していました。

処方された内服薬を毎日きちんと飲み、夏場はそれほど困ることもなかったそうです。ところが、少し肌寒くなってくる季節になると、トイレまで我慢できずに尿がもれてしまう日が増えていきました。

「薬はちゃんと飲んでいるのに、どうしてだろう」

Dさんはそう感じながらも、外出先でもれるのが心配で、行動範囲を狭めるようになっていました。友人との食事や旅行にも誘われるたびに「トイレの心配があるから」と断ることが増え、それも密かな悩みだったそうです。

診察の際にその悩みを打ち明けたところ、主治医の先生から「次の治療として、ボトックスという方法を検討してみませんか」とすすめられました。

内服薬が効きにくいときの選択肢

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

過活動膀胱の治療は、膀胱の過剰な収縮を抑える薬を内服するところから始めるのが一般的です。膀胱の筋肉の動きを調整するタイプの薬など、いくつかの種類があり、体質や副作用の出方に合わせて調整しながら使われます。多くの方はこれで症状が落ち着きますが、なかには薬を続けていても十分な効果が得られない方もいます。目安として、薬を飲んでいても間に合わない尿もれ(切迫性尿失禁)の状態が続く場合には、次の治療を検討することがあります。

そこで選択肢になるのが、ボトックス(ボツリヌス毒素)を膀胱の壁に注射する治療です。内視鏡を使って膀胱の中を見ながら、膀胱の筋肉に細い針で薬剤を通常20か所に分けて注入します。膀胱が過敏に収縮するのを抑える働きがあり、内服薬が効きにくい方でも症状の改善が期待できる治療として、近年広く行われるようになりました。

一方で、効果には個人差があり、まれに尿が出にくくなって一時的に自己導尿(じこどうにょう。カテーテルを使って自分で排尿する処置)が必要になることもあります。血尿や膀胱炎のリスクもゼロではありません。また効果は永続的ではなく、平均して6〜9か月ほどで薄れてくるため、症状が戻ってきたタイミングで再度治療を受けることが多い治療法です。治療は膀胱鏡(内視鏡)を使って行われるため大がかりな手術ではなく、日帰りや短期の通院で受けられることも、選択肢として検討しやすい点かもしれません。

ボトックス治療後、薬なしでもれなくなった

メリットとデメリットの説明を受けたDさんは、「薬を続けても改善しないなら」と治療を受ける決断をしました。治療は日帰りで行われ、思っていたより短時間で終わったといいます。

治療後しばらくすると、それまで悩んでいた尿もれがほとんどなくなりました。それまで毎日欠かさず飲んでいた薬をやめても、もれることなく過ごせるようになり、Dさんはとても満足している様子でした。「もっと早く相談すればよかった」と話してくださいました。効果が薄れてくるといわれる時期が近づいてきたら、また同じ治療を受けようと考えているそうです。

薬を飲んでも週1回以上もれるなら、次の一手を

過活動膀胱の治療は、内服薬だけがすべてではありません。きちんと薬を飲んでいるのに週に1回以上もれてしまう状態が続くようなら、それは治療を見直すサインかもしれません。ボトックス治療と聞くと身構えてしまう方もいらっしゃいますが、日帰りで受けられ、効果を実感している方も少なくありません。

「これくらい仕方ない」と諦める前に、一度主治医に相談してみてください。


執筆・監修:小内 友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士、女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。
【資格】医師/ 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

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