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「投資に回そう」夫の退職金2,000万円で新NISAを運用するが…→1年後、60代夫婦を襲った“贈与税の落とし穴”【元銀行員は見た】

  • 2026.8.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

新NISAの非課税投資枠は、年間で最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)です。

夫婦で非課税枠を共有することはできないものの、それぞれがNISA口座を開設して資産を運用した場合、合計すると年間で最大720万円の枠を活用できます。

しかし、夫婦間で投資資金を渡すことは「贈与」にあたるため注意が必要です。

今回は、退職金の運用に妻のNISA枠も活用しようと考えたものの、贈与税が発生することを知った男性の事例を紹介します。

退職金2,000万円を新NISAで運用することにした男性

60代の男性・Aさん(仮名)は、長年勤めた会社を定年退職し、退職金2,000万円を受け取りました。

これまでの貯蓄や相続により十分な預貯金を保有していたAさんは、「退職金は投資に回そう」と決めていたといいます。

まずは新NISAの非課税枠を最大限活用し、年間360万円を運用することにしました。

また、6歳年下のAさんの妻もNISA口座を開設していたものの、手つかずの状態で放置されていたそう。

「妻のNISA枠も活用すれば、退職金をさらに効率的に運用できるんじゃないか」

そう思ったAさんは、退職金から100万円を妻の口座に振り込み、妻のNISA口座で運用してもらうことに。

運用成果が好調なら、翌年からは妻のNISA枠も目一杯活用しようと考えていたそうです。

1年後、妻の口座に360万円を振り込もうとしたものの…

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

1年後、Aさん夫婦のNISA口座ではどちらも利益が出ており、退職金の残りもコツコツと非課税枠で運用していく予定でした。

「退職金の残りは、あと1,540万円。今年は夫婦それぞれが非課税枠を最大まで活用して、360万円ずつ運用しようと思っています」

しかし、Aさんが投資用の資金として妻の口座に360万円を振り込もうとしていたところ、Aさんの弟から「それは贈与に当たらないのか?」という指摘があったそうです。

「夫婦なんだから、贈与もなにもないだろう」

そう思いながらも銀行で尋ねてみると、まさかの回答が。

「投資資金を奥さまに振り込まれた場合、その資金移動は贈与にあたります。年間110万円の基礎控除を超えた分については贈与税の対象となり、申告が必要です。昨年分の資金移動は100万円なので問題ありませんが、今年分として360万円を投資用で振り込んだ場合、27万5,000円の贈与税がかかります」

「そんな…夫婦なのに贈与税がかかるなんて…」

担当者は続けます。

「贈与税の支払いを避けたい場合、方法は2つあります。1つはAさまから奥さまへの振り込みを基礎控除の年間110万円までに抑えること、もう1つは奥さまにはご自身の収入や貯蓄で投資をしてもらうことです」

Aさんの妻は現役で働いており、定年退職まであと5年間は仕事を続ける予定でした。

そのため、今後は妻のNISA枠で投資する資金は妻の収入から捻出し、その分生活費はAさんの退職金からも支払うことにしたそうです。

投資資金の提供は「夫婦間」でも慎重に

夫婦間であっても、投資資金の提供は贈与にあたります。

退職金や相続財産などでまとまったお金が入ってくると、Aさん夫婦のように「夫婦のNISA枠を効率よく活用しよう」と考える人も多いですが、年間110万円を超える投資資金の移動には贈与税が発生します。

「夫婦だから問題ないだろう」と思い込まず、それぞれの資産を分けて考えたうえで、NISA枠をうまく活用できるとよいでしょう。


監修・執筆:元銀行員・ikebu

元銀行員の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

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