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“退職金1,800万円”を受け取った60代父→「一気に返してあげよう」娘の奨学金300万円に充てようとするが…判明した“意外な事実”

  • 2026.9.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

子どもの奨学金が残っていると、「親に余裕ができたら返してあげたい」と考える家庭もあるでしょう。退職金などまとまったお金が入れば、数百万円を一括で返し、子どもの負担を軽くしてあげたいと思うかもしれません。

ただし、そこで注意したいのが贈与税です。

大学のために借りた奨学金だからといって、卒業後に親が代わりに返しても、必ず「教育費だから非課税」になるとは限りません。

今回は、29歳の娘に残る奨学金約300万円を退職金から返そうとした、63歳のSさんの事例から見ていきます。

※プライバシー保護のため、事例の一部を調整しています。

退職金1,800万円から300万円を返済。「これで娘も楽になる」と考えた父

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Sさんは63歳。長年勤めた会社を退職し、約1,800万円の退職金を受け取りました。

住宅ローンはすでに完済しており、夫婦の預貯金も約1,200万円あります。Sさんは「老後のお金を残しても、少し余裕はありそうだ」と考えていました。

そこで気になったのが、29歳になる娘の奨学金です。

娘は大学時代に奨学金を利用し、卒業後は会社員として約6年間返済を続けていました。現在の年収は約430万円。毎月2万円台を返していますが、まだ約300万円が残っています。

娘からは「この返済がなければ、その分を貯金に回せるのに」と聞いていました。

そこでSさんは、退職金から300万円を出して、一気に返してあげようと考えます。

退職金1,800万円から300万円を出しても、1,500万円は残ります。

「大学に行くためのお金だったのだから、親が返しても学費を払うのと同じですよね」

Sさんはそう考えていました。

しかし、ここで確認したいのは、「何のために借りたお金か」だけではありません。

大切なのは、今、その返済をする義務が誰にあるのかです。

国税庁では、他人が負っている借金を代わりに無償で返した場合、原則として、返してもらった人がその金額分の贈与を受けたものとして扱います。

今回でいえば、娘が返すはずだった奨学金300万円をSさんが代わりに返せば、原則として父から娘への贈与とみなされます。

Sさんは「教育費なら税金は関係ないと思っていました」と驚きました。

「大学の学費」と「卒業後の奨学金返済」は同じではない

親が子どもの大学の授業料や教材費などを負担する場合、通常必要と認められる教育費であれば、贈与税がかからないケースがあります。

ただし、ポイントは、必要なときにその教育費へ直接使うことです。

一方、卒業後に残っている奨学金は、すでに娘本人が返すべきお金です。

そのため、

「もともと大学のために借りたお金」

だから

「卒業後に親が返しても教育費として非課税」

と単純に考えるのは避けたいところです。

ただし、親が返したら必ず贈与税がかかるわけでもありません。

たとえば、子どもが資力を失って自分で返済することが難しい場合には、返済が困難な部分について、贈与とみなされないことがあります。

そのため、実際には子どもの収入や貯金、返済できる状況にあるかなども含めて判断する必要があります。

FP視点 300万円を返す前に税金まで確認する

仮にSさんが奨学金300万円を返し、その全額が贈与として扱われ、通常の暦年課税を使う場合を考えてみます。

その年に娘がほかの贈与を受けていなければ、年間110万円の基礎控除を差し引きます。

300万円-110万円=190万円

この190万円が税金を計算する対象です。

今回のように、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子が、父母などの直系尊属から贈与を受けた場合は「特例税率」を使います。190万円の場合は税率10%なので、単純計算では贈与税は19万円です。

「それなら毎年110万円以下に分ければいい」と思う人もいるかもしれません。

ただし、暦年課税では、110万円は父からもらった金額だけではなく、娘が1年間に受けた贈与の合計で考えます。

また、最初から「3年間にわたり毎年100万円を渡す」と約束している場合には、その約束をした年に、複数年にわたってお金を受け取る権利の贈与を受けたものとして、贈与税がかかることがあります。

子どものために返してあげたいという気持ちがあっても、数百万円をまとめて負担する場合は税金の確認も必要です。

「教育費だから大丈夫」と考えて先に返してしまうのではなく、贈与にあたるかを確認してから動くことが大切です。

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