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「何かあったときのため」父から“金地金”をもらった娘→30年後、買取店に持っていくと…“査定額”を見て「こんな金額になるとは…」

  • 2026.9.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

昔、親からもらった金や貴金属を、自宅で長く保管している人もいるのではないでしょうか。金価格が上がると、「今売れば、まとまった老後資金になる」と考える人もいるでしょう。

ただ、金を売るときに確認したいのは、現在の査定額だけではありません。売却して利益が出ると税金がかかる場合があり、その計算では「その金をいくらで手に入れたのか」も重要です。

特に分かりにくいのが、親からもらった金です。今回は、約30年前に父からもらった金に約300万円の査定額がつき、「300万円がそのまま老後資金になる」と考えた女性の事例から見ていきます。

「300万円もあるなら使えそう」30年前にもらった金を査定へ

64歳のFさんは、30代のころ、父から金地金をもらいました。当時は金の価格を気にしておらず、父からも「何かあったときのために持っておきなさい」と言われた程度でした。

そのまま約30年間、自宅で保管していました。60代になり老後資金を整理していたところ、金価格が大きく上がっていることを知ります。

そこで買取店に持ち込んだところ、査定額は約300万円でした。

「こんな金額になるとは思わなかった。旅行や家の修繕にも使えそう」

Fさんは、300万円近いお金がそのまま手元に残るような感覚で、売却を考え始めました。ところが、売却前の相談でFPが確認したのは、現在の金価格ではありませんでした。

「お父さまが、この金をいくらで買ったか分かりますか」

Fさんは少し驚いた様子でした。金を買ったのは父です。しかも何十年も前の話で、父はすでに亡くなっています。

自宅を探しても、購入時の領収書や取引明細は見つかりませんでした。Fさんが意外に感じたのは、「今いくらで売れるか」だけでなく、「父がいくらで買ったか」も税金に関係するという点でした。

300万円全部に税金がかかるわけではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

個人が金地金を売って利益が出た場合、原則として譲渡所得になります。

ただし、300万円で売れたからといって、300万円すべてに税金がかかるわけではありません。簡単にいうと、「売った金額-買ったときの金額-売却にかかった費用」で利益を計算します。

この「買ったときの金額」にあたるのが取得費です。親から贈与された資産では、原則として、親がその資産を取得したときの金額を引き継いで考えます。

つまりFさんの場合、30年前にもらったときの金価格ではなく、父がその金を購入したときの金額が重要です。しかし今回は、その金額が分かる資料が残っていません。

国税庁の所得税基本通達では、土地や建物など以外の資産について、売却額の5%相当額を取得費として計算している場合、その計算を認める取扱いが示されています。

そこで今回は、この取扱いを使った場合で試算してみます。

仮に300万円で売却した場合、5%は15万円です。

つまり、300万円-15万円=285万円となります。

売却にかかった費用がないものとすると、まず285万円が譲渡による利益になります。ただし、この285万円すべてがそのまま課税対象になるわけではありません。

30年以上持っていた金なら、さらに計算が変わる

金地金の譲渡所得には、ほかの総合課税の譲渡所得と合わせて年間最高50万円の特別控除があります。さらに、5年を超えて持っていた資産の場合、特別控除を差し引いた後の金額の2分の1が、課税される譲渡所得の金額になります。

今回、ほかに総合課税の譲渡所得がなく、売却費用もないものとして計算すると、

285万円-50万円=235万円

さらに、

235万円÷2=117万5,000円です。

※上記は、ほかに総合課税の譲渡所得がなく、売却費用もないものとして簡略化した試算です。実際の申告では、取得費を確認できる資料や取引状況などによって計算が変わる場合があります。

ここで注意したいのは、117万5,000円が「払う税金」ではないことです。

この117万5,000円を給与や年金など、ほかの所得と合わせて税額を計算します。そのため、実際に支払う所得税や住民税は人によって異なります。

また、親から贈与された資産では、原則として取得した時期も引き継ぎます。Fさんの場合は、父から金をもらってからすでに約30年経っています。そのため今回の事例では、5年を超えて持っていた資産として考えることになります。

金を売るときは、「今いくらになっているか」に目が向きやすいものです。しかし税金まで考えるなら、「いくらで取得したのか」も重要です。

たとえば、父が100万円で購入したことが分かる資料が見つかれば、取得費を15万円として計算した場合より利益は小さくなります。

親からもらった金や古い貴金属を売る予定があるなら、査定額を見てすぐに決めるのではなく、購入時の領収書や取引明細などが残っていないか一度確認してみてください。

「300万円で売れる」と「300万円をそのまま使える」は同じではありません。老後資金として考えるなら、売却後の税金まで確認したうえで、実際に手元に残るお金を考えることが大切です。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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