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「これ以上働くと手取りが減る」“月8.8万円内”で働く50代パート女性→年末調整の手続きで、総務に告げられた“想定外の事実”

  • 2026.9.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、10年以上パートとして働き、「106万円の壁」を意識してシフトを抑えてきた50代のAさんの体験談です。

「これ以上働くと手取りが減るから、シフトは増やせない」

そう考えていたAさんでしたが、2026年10月にその基準そのものがなくなると知ります。何が変わり、どの基準が残るのかをご紹介します。

「これ以上働くと、手取りが減る」と思っていた...

Aさん(50代)は、近所のスーパーで10年以上パートとして働いています。

勤め先の従業員は200人ほど。時給は1,100円で、週に18時間のシフトに入っています。

月の賃金は、8万5,800円ほどです(時給1,100円×週18時間×52週÷12か月)。

ここでいう月額賃金は、社会保険に加入するかどうかを判定するときに使うもので、週の所定労働時間で計算した賃金を、52週÷12か月で1か月あたりに直したものです。残業代や賞与は含みません。

「月に8万8,000円を超えると、社会保険に入ることになると聞いています」

Aさんは毎月、賃金が8万8,000円に届かないようにシフトを調整してきました。保険料を引かれて手取りが減ってしまう、と考えていたからです。

売り場からは「もう少しシフトに入ってほしい」と言われていましたが、断り続けてきました。

「その基準、なくなります」

年末調整の手続きについて確認していたとき、勤務先の総務担当者からこう説明されました。短時間で働く方が社会保険に加入するかどうかは、これまで主に次の4つの条件で判断されていました。

  • 所定内賃金が月額8万8,000円以上であること
  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 勤め先の厚生年金保険の加入者が51人以上であること
  • 学生でないこと

3つ目の人数は、その会社で厚生年金保険に加入している人の総数で数えます。ほかに、2か月を超えて雇用される見込みも必要です。

このうち、「所定内賃金が月額8万8,000円以上」という条件が、2026年10月からなくなる予定です。

「どうして、その条件がなくなるのですか」

Aさんが尋ねると、担当者は最低賃金の上昇が背景にあると説明しました。

全国すべての都道府県で最低賃金が時給1,016円を超えたことで、週20時間働けば、月額賃金はおおむね8万8,000円を超える水準になりました(時給1,016円×週20時間×52週÷12か月=8万8,053円)。

そのため、賃金額を基準に加入対象を分ける必要性が薄れ、この条件が撤廃されることになったのです。

残るのは「週20時間」という基準

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

条件がなくなると聞いて、Aさんは不安になりました。

「では、今のままでも保険料を引かれるのですか」

「いいえ。Aさんの場合、今の働き方のままであれば対象にはなりません」

今後も残る条件のひとつが、「週の所定労働時間が20時間以上」であることです。Aさんは週18時間の勤務ですので、この条件には当てはまりません。

「時給が上がっても、週20時間に届かなければいいのですね」

担当者はうなずきました。ただし、契約上は20時間未満でも、実際の労働時間が2か月続けて週20時間以上となり、その後も続く見込みであれば、3か月目から対象になります。

また、配偶者の扶養に入っている場合は、別の基準もあります。年収が130万円以上になると、週20時間未満でも扶養から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料が発生します。

気をつけたいのは、勤め先の企業規模です。この条件も段階的に広がり、2027年10月からは従業員36人以上、2029年10月からは21人以上の企業が対象になる予定です。今は対象外の職場でも、いずれ対象になる可能性があります。

引かれる額と、受け取れるもの

担当者は、社会保険に加入した場合の負担についても説明しました。

Aさんが労働時間を週22時間に増やすと、月収はおよそ10万5,000円になります(1,100円×22時間×52週÷12か月)。40歳から64歳までの方の場合、厚生年金と健康保険(介護保険分を含む)の保険料は、合わせて月におよそ1万5,500円。年間ではおよそ18万6,000円が差し引かれる計算です。

このほかに、雇用保険料や子ども・子育て支援金も引かれます。働く時間が増える分、手取りそのものは今より増えますが、収入の増加がそのまま手取りの増加になるわけではありません。

一方で、社会保険に加入することで、受けられる保障も増えます。

厚生年金に加入すれば、将来受け取る年金に厚生年金分が上乗せされます。また、健康保険では、業務外の病気やけがで仕事を休み、給与を受けられない場合などに、要件を満たせば傷病手当金を受け取ることができます。

「引かれる額しか見ていませんでした」

説明を聞いたAさんは、そう振り返りました。

社会保険料の負担だけを見るのではなく、将来の年金や、もしものときの保障まで含めて考えることが大切です。

今の働き方を続けるのか、それとも週20時間以上働いて社会保険に加入するのか。制度が変わる前に、自分の勤務時間や手取りがどう変わるのか、一度確認しておきましょう。


執筆・監修:中川 佳人

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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