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離婚した50代女性→「夫の年金の半分がもらえる」と思いきや…後日、年金事務所で見込み額を確認して“立ち尽くしたワケ”

  • 2026.8.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで年金や離婚時のお金の相談を数多く受けてきた柴田です。

「離婚したら、夫の年金の半分がもらえるんですよね?」。この質問、私は年に何度も受けます。

答えは「半分もらえる、は誤解です」。今回は、その誤解を生活設計の柱にしてしまった50代のAさんのお話です。

「年金の半分」を頼りに家を出た

Aさん(50代・女性)は、長年の結婚生活に区切りをつけようと決意し、離婚を切り出して家を出ました。長くパート勤めだったAさんの頭にあったのは、どこかで聞いた「離婚時の年金分割」の知識です。

「夫は厚生年金にずっと入っていたから、年金の半分をもらえるはず。月20万円なら10万円。それなら一人でも、なんとか暮らしていける」。離婚後の家計表も、その「月10万円」を前提に組み立てていました。

ところが、年金事務所で分割後の見込み額を確認したAさんは、その場で立ち尽くしました。増えるのは月3万円ほど。想像していた「半分」には、遠く及ばない数字でした。

分割されるのは「年金の半分」ではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

肩を落として相談に来られたAさんに、私は制度の仕組みを整理してお伝えしました。年金分割で分けられるのは、夫の年金額そのものではありません。対象は「婚姻期間中の厚生年金(報酬比例部分)の記録」だけです。

まず、誰もが受け取る老齢基礎年金の部分は分割の対象外。そして、結婚する前に夫が働いていた期間の記録も対象外です。つまり「夫の年金月20万円」のうち、分けられるのはその一部分のみ。厚生労働省の統計でも、分割で増える額は月3万円前後という人が多く、「半分」という言葉のイメージと実額には大きなギャップがあります。

制度としては、夫婦の合意(または裁判所の決定)で最大2分の1まで分ける「合意分割」と、2008年4月以降の専業主婦(主夫)期間について相手の合意なしで半分にできる「3号分割」の2種類があります。どちらも「婚姻期間中の厚生年金記録」という土俵の上での話です。

さらに見落とされがちな点をひとつ。合意分割では、夫の記録だけを一方的にもらうのではなく、婚姻期間中の夫婦2人分の記録を合算したうえで分け合います。Aさんのようにパートで厚生年金に入っていた期間がある場合、自分の記録も計算に入るため、増え幅はその分さらに小さくなります。

「私の取り分が夫の半分」ではなく「2人の合計を分け直す」という違いも、実額が想像より小さくなる理由のひとつです。

請求期限にも注意

もうひとつ大事なのが期限です。年金分割の請求期限は、原則として離婚の翌日から2年とされてきました。2026年4月以降に成立した離婚からは5年に延長されましたが、それ以前の離婚は2年のままです。

「落ち着いてから手続きしよう」と先延ばしにして、権利ごと失うのが最悪のパターンです。期限を過ぎてしまうと、どれだけ事情があっても原則として請求はできません。

まとめ

これから離婚を考える方は、まず年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を取り寄せましょう。この通知書は離婚前でも請求でき、配偶者に知られずに取り寄せる方法もあります。

50歳以上なら、分割後の年金見込み額も試算してもらえます。その数字を見てから、住まいと仕事と生活費の計画を立てる。「半分もらえるはず」で家を出るのと、「月3万円増える」を知って備えるのとでは、その後の人生の安定がまるで違います。年金分割は離婚の「おまけ」ではなく、老後設計の柱の一本として認識しておきましょう。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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