1. トップ
  2. エピソード
  3. 猛暑の修学旅行中「先生に怒られるから飲み物を買えません…」生徒からSOS→バスガイドが取った対応とは…?

猛暑の修学旅行中「先生に怒られるから飲み物を買えません…」生徒からSOS→バスガイドが取った対応とは…?

  • 2026.8.31
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです。

元バスガイドのくろちびです。

夏の修学旅行では、歴史や文化を学ぶことはもちろんですが、私たちバスガイドが常に気を配っていたのが熱中症対策でした。観光に夢中になる子どもたちは、自分の体調の変化に気づきにくいこともあります。

今回は、学校のルールと生徒たちの安全、その両方を守るために判断した出来事をご紹介します。

「先生に怒られるから…」生徒たちの小さなSOS

夏の修学旅行では、バス会社でも熱中症対策として飲料水を用意したり、こまめな水分補給を呼びかけたりしていました。

私も車内では「喉が渇く前に少しずつ水分を摂りましょう」と、30分おきほどを目安にご案内していました。

そんな中、ある修学旅行で数人の生徒が私のところへ小声でやって来ました。

「飲み物がなくなってしまいました。でも先生に怒られるので買えません。」

その学校では、自由行動が始まるまで現金を使ってはいけないというルールがありました。しかし、その時点ではまだ観光地が2か所残っており、気温も高い日でした。

このままでは熱中症や体調不良につながる危険があると感じました。

学校のルールも先生の立場も守るための提案

私はまず、生徒たちを涼しいバス車内で待たせ、旅行会社の添乗員へ状況を報告しました。

「水分補給を優先しなければ危険です。ただ、学校のルールもあります。」

そこで私は、二つの対応案を提案しました。

一つ目は、この場だけ学校の判断で現金の使用を認めることです。

二つ目は、学校側でペットボトルの水をまとめて購入し、生徒全員へ配布することです。

相談に来た生徒だけに対応すると不公平感が生まれる可能性があります。また、他の生徒も同じように飲み物が少なくなっているかもしれません。全員を対象にすれば、安全面でも公平性でも最善だと考えました。

費用がかかる案ではありましたが、判断するのは学校です。私は選択肢を提示し、先生方が判断しやすい環境を整えることを意識しました。

安全を守るために必要なのは「選択肢」

最終的に学校側は、昼食会場でペットボトルの水を人数分購入し、生徒全員へ配布することを決断されました。

誰かだけが特別扱いされることもなく、学校の統率も保たれ、生徒たちも安心して午後の観光を続けることができました。

この出来事を通して改めて感じたのは、安全管理では「正しいことを伝える」だけでは足りないということです。相手の立場やルールを尊重しながら、複数の選択肢を提示することで、より良い判断につながることがあります。

安全を守るための提案もバスガイドの仕事

バスガイドは観光案内だけをする仕事ではありません。旅行中に起こるさまざまな出来事に目を配り、お客様や学校、添乗員、それぞれの立場を尊重しながら最善策を考えることも大切な役割です。

この日の経験から学んだのは、「ルールを守ること」と「命を守ること」は対立するものではなく、伝え方や提案の仕方によって両立できるということでした。現場で状況を見極め、一人ひとりが安心して旅行を続けられる環境をつくることこそ、バスガイドとして大切にしてきた仕事の一つです。


ライター:くろちび

プロフィール
 バスガイドとして4年間、奈良・京都・大阪を中心に観光案内を担当。修学旅行や団体旅行、高齢者ツアーなど、さまざまなお客様をご案内してきました。現場で実際に経験した出来事や、旅行の裏側、接客を通して学んだことを、実体験をもとにお伝えしています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ