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「9月末なので今日中にお願いします」法人のお客様→急いでいたが…銀行員が思わず手を止めた“書類の不備”

  • 2026.9.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。くまえり銀行員です。

今日は、「9月末なので、今日中にお願いします」と手続きを急ぐ法人のお客様を、窓口で一度お止めしたときのことをお話しします。

来店されたのは、ある会社の経理を担当されている方でした。普段からその方が銀行に来店して振込などの手続きをされていたため、今回も同じように進められるとお考えだったのだと思います。

ところが、今回の手続きは、いつもの振込とは違いました。会社の代表者変更に加えて、住所変更も伴う手続きだったのです。

書類を確認していた私は、そこで一度手続きを止めました。

「いつも私が来ています」だけでは進められない

お客様は社員証をお持ちで、会社の履歴事項全部証明書も用意されていました。

一見すると、きちんと準備をして来店されたように見えます。

しかし、確認すると、履歴事項全部証明書は1年以上前のものでした。さらに、そこに記載されている代表者や役員ではなく、経理を担当されている方が来店されていました。

「いつも私が来て手続きしているし、社長から私は一任されています」と、お客様はおっしゃいました。

普段の振込などで同じ方が手続きをしていることは、私も分かっていました。

ただ、代表者変更は、いつもの振込とは確認する内容が異なります。

今回、私が確認したかったのは、「この方が会社に在籍しているか」だけではありません。この会社の現在の状態はどうなっているのか、来店された方は会社とどのような関係にあるのか、そして実際に手続きをしている本人が誰なのか、ということでした。

社員証があったとしても、それだけで代表者変更の手続きを任されていることを確認できるわけではありません。

銀行員が確認しているのは「誰が来たか」だけではない

そこで、今回の手続きをその場で完了させるのではなく、必要な書類をそろえていただくようお願いしました。

必要だったのは、新しい代表取締役からの委任状、新代表者の本人確認資料の写し、最新の履歴事項全部証明書、そして来店された経理担当者の本人確認資料です。

法人の手続きでは、会社の実態を確認するだけではありません。

会社と来店者との関係性、そして実際に手続きをする来店者本人についても確認する必要があります。

今回でいえば、履歴事項全部証明書で現在の会社の状況を確認し、新代表者の本人確認資料で新しい代表者を確認します。さらに委任状によって、新代表者から来店者に手続きが委ねられていることを確認し、来店者本人の確認も行うという流れです。

履歴事項全部証明書についても、金融機関によって有効とされる発行からの期間は異なりますが、発行から6か月以内のものを求めている銀行があります。今回お持ちいただいたものは古かったため、そのままでは手続きを進めることができませんでした。

お客様は「面倒ね」とおっしゃりながらも、必要な書類についてご納得くださり、後日、書類をそろえて改めて手続きをされました。

「今日中に」よりも、早めの相談を

窓口では、お客様のご希望をできるだけかなえられるようにしたいと思っています。

だからといって、「今日中にお願いします」と言われたからと、確認を省いて手続きを進めることはできません。

銀行には、会社の情報や大切な資産を守るために、確認しなければならないことがあります。「いつもこの人が来ているから大丈夫」というだけでは進められない手続きもあるのです。

今回のように、代表者変更など重要な手続きでは、必要な書類をそろえるまでに時間がかかることもあります。

「期日が迫っているから、窓口で何とかお願いすればいい」ではなく、「期日があるからこそ、早めに銀行へ相談する」。

急いでいるときほど、確認に時間がかかることを見越して準備しておく。それが、結果的に手続きをスムーズに進めることにつながるのだと思います。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中。


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