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60代男性「旅行に行くから半年分出して」お盆に急増する要望…薬剤師が丁寧に“お断り”するワケ

  • 2026.8.15
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

お盆前の薬局では「長く処方してほしい」というご要望が急増します。

旅行や帰省を控えた患者さんの気持ちはよくわかりますが、処方日数にはルールがあり、薬剤師の一存で変えることはできません。

今回は60代男性とのやり取りや、ご家族分の処方に関するエピソードを通じて、休み前をスムーズに乗り切るための備えをご紹介します。

お盆前になると増える「長期処方希望」

夏の連休が近づくと、投薬カウンターでよく耳にするのが「多めに出してほしい」というお声です。

気持ちはわかる、でもルールがある

長期の旅行や帰省中に薬が切れてしまうのは不安なもの。

ただ、処方日数は医師の判断のもと、薬の種類や患者さんの状態に応じて決められています。

薬剤師が独自に増やすことはできず、その理由をどうお伝えするかが腕の見せどころでもあります。

エピソード①:60代男性「旅行だから半年分出して」

ある日、常連の60代男性から「今度、長い旅行に行くから半年分まとめて出してよ」とのご要望が。

処方日数が決められている理由

高血圧の薬を服用中のこの方に、半年分をまとめて処方することは、いくつかの理由で難しいのが実情です。

まず、定期的な診察や検査を経て、体調に合わせて薬を調整する必要があること。

次に、薬によっては保険診療上、投与日数の上限が設けられているものもあります。

また、大量の薬を自宅で保管することで、飲み間違いや品質劣化のリスクも生じます。

事情をお伝えすると、「そういうことなら仕方ないな」と納得いただき、旅行前に一度受診されることになりました。

エピソード②:家族の分もまとめて欲しいという要望

別の日、70代の女性が「息子の分もついでにもらえない?同じ薬なんだけど」とご相談。

本人以外への処方はなぜ難しいのか

処方箋は、医師が特定の患者さん一人を診察したうえで発行するもの。

たとえ同じ薬であっても、他の方に流用することはできません。

同じ「花粉症の薬」でも、その方の体調・体重・併用薬・アレルギー歴によって適切な選択は変わります。

「息子さんもぜひ一度受診なさってくださいね」とお伝えし、ご理解いただきました。

ご家族を思う優しいお気持ちだからこそ、丁寧にお応えしたい場面です。

スムーズに休み前を乗り切るための準備

慌ただしい連休前を穏やかに過ごすには、少し早めの行動がカギです。

かかりつけ医への早めの相談がカギ

「連休中に薬が切れそう」と気づいたら、できるだけ早めにかかりつけ医に相談を。

旅行の予定があることを伝えれば、医師が可能な範囲で処方日数を調整してくれることもあります。

また、旅行先で急に体調を崩した際に備え、お薬手帳(またはアプリ)を必ず携帯しておくと安心です。

連休前の一手間が、休暇中の安心につながります。


ライター:下田篤男

京都大学薬学部総合薬学科を卒業後、調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務してきました。総合病院の門前店舗では管理薬剤師を務め、たくさんの患者さんと向き合う日々の中で、「薬を渡す」だけではない、人と人との関わりの大切さを実感しています。現在は薬剤師として現場に立ちながら、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントとしても活動中。読者の皆さまに、薬局がもっと身近で頼れる場所になるような情報をお届けしていきたいと思っています。


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