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夏休みのほぼ満席の機内で…赤ちゃんの隣で“貧乏ゆすり”を始めるビジネスマン。ヒヤリとした空気を救ったCAの一言

  • 2026.8.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手航空会社で10年間、CAとして勤務しておりましたSAKURAです。

皆さんは、飛行機で隣にどんなお客様が座るかによって、機内での過ごしやすさを左右されてしまった経験はありませんか?

特に夏休みなどの繁忙期は、旅行を楽しむお客様とお仕事でお疲れの方が隣同士になることも珍しいことではありません。

そんな状況のとき、CAはどのように観察し、お客様が快適に過ごすための解決策を考えているのでしょうか。

今回は、夏休みのほぼ満席の機内で起きた「無言の貧乏ゆすり」をきっかけに、固定観念を捨てたCAの提案で双方のお客様が笑顔を取り戻した、あるエピソードをご紹介します。

ほぼ満席の機内で始まった「貧乏ゆすり」

それは、夏休みの羽田から地方へ向かう、満席に近い国内線の便での出来事でした。

機内の少し後方寄りの窓側と中央席には、赤ちゃんを膝に抱いたお母様と、その横に小さなお子様が並んで座り、通路側にはお疲れのご様子のビジネスマンの男性が着席されています。

そこには、どことなくピリピリとした空気が漂っており、私は内心ヒヤヒヤしていました。

上空へ達し、シートベルト着用サインが消灯すると、お子様がグズり始めたのをきっかけに、お母様は必死にあやし続け、通路側の男性は徐々に小刻みな貧乏ゆすりをし始めたのです。

私は、おもちゃや絵本を使ってお母様のお手伝いをしたものの、そう簡単に解決する問題ではありませんでした。

「どうにかできないか……」

他のCAと共に考えを巡らせるものの、ほぼ満席の機内で座席移動も難しいと思われていたそのときです。

先入観を捨てた「提案」が紡いだ、穏やかな時間

通路側の男性が機内後方のトイレへ向かい、順番待ちをしながらある一点を見つめていることに気づきました。

視線の先には、最後列に一席だけポツンと空席があったのです。

私は「ビジネスマンのお客様は早く降りられる前方寄りの席を好む」という先入観があり、後方への移動を提案するのは避けていました。

しかしその視線を見て、「最後列でも移動したいのでは……」と、ハッとしました。

そこで、空席の隣のお客様にも移動のご了承をいただきつつ、CAとして安全上問題ないことを確認した上で男性に「一番後ろの空席へ移動されますか?」と伺うと、やはり移動を希望されました。

そして男性は、「ここが空くので、どうぞ広く使ってください」と、お母様に優しく一言添えてから移動されたのです。

最後列でホッとしたご様子で目を閉じられた男性の姿に、「悪気があったわけではなく、ただお疲れで余裕がなかったのだ」と、気づかされた瞬間でした。

驚いたご様子だったお母様も、「実は、トイレに立つのも申し訳なくて我慢していたんです。本当に助かりました……」と、私に打ち明けてくださいました。

その後は緊張がほどけ、誰もが安心した表情で目的地へと向かうことができました。

視点を変えると見えてくるもの

機内という限られた空間では、お客様それぞれの状況や背景が異なるため、時には緊張感が生まれてしまうこともあります。

しかし今回の出来事は、お客様それぞれが実は抱いていた「思いやり」と、ビジネスのお客様に対して思い込んでいた「先入観」を捨ててみることの大切さを、私に教えてくれました。

思わぬ解決策が優しさの連鎖を生む

一見すると解決が難しそうな機内のイライラやトラブルも、一度フラットに捉え、一歩踏み込んでお客様の視線や小さなシグナルに気づくことで、思わぬ解決策が見つかることがあります。

そしてその一歩こそが、時として、思いがけない優しさの連鎖を生むきっかけになるのかもしれません。


ライター:SAKURA * 心を読む元国際線CA

日系大手航空会社にて10年間、客室乗務員(CA)として勤務。国内線・国際線を経験し、多種多様なお客様と接する中で「感情を読み解く力」を磨く。客室責任者としてVIP対応や後輩育成に携わる傍ら、社内の人材教育やグループ会社での業務にも携わり、多角的な視点から接客のあり方を見つめてきた。

現在は、その鋭い洞察力を活かし、言葉だけでない、「心理的・物理的アプローチによるクレーム回避術」を発信するライターとして活動中。国内線での細やかな気配りから国際線での難しい状況判断まで、現場での実体験に基づいた「心に届く接客のヒント」を言語化し、接客業にとどまらず、人と人とがよりよい関係を築けるサポートをしている。


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