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駅員「あ…」猛暑のホームで“車椅子介助”の待機中、気づいた『制帽』の思わぬメリットに「意味があるのだな」

  • 2026.8.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に体験した「猛暑日のヒヤリハット」を紹介します。

制帽のルールと駅員の本音

多くの鉄道会社では、駅員の制服に帽子も含まれていると思います。

私が勤めていた会社では、制帽はきっぷ売り場や改札室の中では着用せず、改札室を出て改札口に立っているときを含めて屋外にいるときは着用する、という決まりでした。

しかし、ずっと改札室の中にいるわけではなく、反対にずっと外にいるわけでもないので、制帽は頻繁に着脱します。無意識のうちに面倒だと思っていたのか、列車到着時のお迎えのために改札室を出るときに制帽を忘れかけることが何度かありました。

制帽を保管している場所が改札室の奥だったというのも、制帽をよく忘れる原因のひとつかもしれません。

改札口は暑すぎる!

改札室の中に立っていれば、制帽をかぶらないままでも問題ありません。

ところがお客さまへのサービス向上として、会社から「少なくとも列車が到着したときは、改札担当の駅員は改札室の外に立って降車したお客さまをお迎えすること」と言われていました。

改札口は夏になると外気がそのまま入り、非常に暑くなります。

当時の私は、『これでは非効率では?本当にお客さまへのサービス向上につながるのだろうか』と疑問に思うこともありました。

しかし、後にこの過酷な環境が、私にある気づきを与えてくれることになります。

スロープよし、無線機よし、待機位置よし…

ある暑い夏の夕方、車いすをご利用のお客さまの降車介助の連絡を受けました。お客さまが列車から車いすでそのまま降りるのは危険なので、駅員がスロープをかけるのです。列車の到着5分前、私はホームへ向かいました。

ホームに到着すると、私は介助業務用のメモを再度確認します。私は小さく声に出しながら指をさして確認していました。

「列車の到着は1番ホーム、ここは1番ホーム。お客さまがいるのは列車の最後部、いま待機している場所は列車の最後部が止まる場所。スロープと、いざというときの無線機も持ってきた…」

順調に確認が終わり、あとは2、3分もすればやってくるであろう列車を待つだけとなったとき、私はやっと気づきます。

「あ…帽子」

制帽を改札室に忘れてきてしまっていました。

このホーム、なにか変

本来ならば絶対にあってはならないミスに顔から血の気が引きましたが、今から取りに戻れば介助に間に合わない恐れがあります。私は冷や汗をかきながら、そのまま待機する苦渋の決断をしました。

ところが、このホームが異常なほどに蒸し暑いのです。この駅のホームには屋根と壁がありましたが、地下鉄ではないので密閉されているわけではありませんし、空調もありません。線路側から熱気がそのまま入り込みます。しかも壁は透明な素材なので、夕方になって傾いた日差しが直撃。まるで蒸し焼きのように暑苦しい環境ができあがってしまいました。

ホームでの待機時間は数分なので熱中症の恐れはなく、お客さまの降車介助にも影響はありません。

一方で私は列車をホームで待つ間、制帽があることのメリットのひとつに気づきました。

低くなった太陽は、まっすぐ前を向いて目を開けられなくなるほどまぶしかったのです。

もしこの状態でお客さまの車いすの降車介助を行えば、列車とホームの隙間や段差が見えにくくなり、重大な事故につながる恐れがありました。制帽があれば、ツバを少し目深にかぶることで視界を確保し、安全に介助ができたはずです。

結論:制帽は飾りではなかった

昼間の太陽は空高くに昇っているので、見上げない限り視線に入ることはありません。ところがこのときはちょうど待機位置と線路の正面が西だったらしく、線路側を向くと、すぐに太陽が視界に入ってきてしまいました。

屋根がないなどで常にホームや改札口が日差しにさらされるような構造の駅舎なら、日中の日差し対策や安全確認のためとして当然、制帽が必要となるでしょう。

その日は問題なく安全に介助を終えることができましたが、着用しているものにはしっかりと意味があるのだなと感じた出来事でした。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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