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バスツアーで高速道路を走行中…乗客「お酒を注いでほしい」→安全のためNGだがバスガイドがとった対応とは…

  • 2026.9.21
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

元バスガイドのくろちびです。

ツアーバスでは、ときどき「昔のバス旅行」を思わせるようなご希望をいただくことがあります。

その一つが、車内でのお酒のサービスです。

以前は、高速道路を走行中でも、バスガイドがお客様の席まで移動してお酒を注ぐことができた時代もありました。

しかし現在は、安全面への配慮から、高速道路を走行中に添乗員やバスガイドが車内を立ち歩くことはできません。

今回は、そんな昔ながらの旅行のイメージから「お酒を注いでほしい」とお願いされたときの出来事です。

「お酒を注いでほしい」と言われたら

あるツアーで、高速道路を走行中に、お客様から「お酒を注いでほしい」と声をかけられました。

おそらく以前のバス旅行では、ガイドがお客様の席まで行き、お酒を注ぐことも珍しくなかったのでしょう。

「昔はやってくれたのに」というお気持ちもあったのだと思います。

ただ、現在は安全上、高速道路を走行している間に車内を歩き回ることはできません。

もちろん「できません」と答えること自体は簡単です。

ですが、せっかく旅行を楽しんでいるお客様の気持ちを、頭ごなしに否定してしまうことにもなりかねません。

そこで私は、「できない」で終わらせるのではなく、「いつならできるのか」をお伝えすることにしました。

「できません」ではなく「ここならできます」

お客様には、高速道路走行中は安全上、お席までお酒を注ぎに行くことができないことを説明しました。

そのうえで、

「サービスエリアを出発する前でしたら対応できますので、そのタイミングでお注ぎしますね」

とご案内しました。

安全上できないことを曖昧にすることはできません。

一方で、ルールだけを伝えてお客様の楽しみを終わらせてしまうのではなく、できる範囲で別の方法を提案する。

それだけでも、お客様の受け止め方は変わります。

 「ダメです」と否定するのではなく、「このタイミングならできます」と代替案を提示する。

私は、お客様への案内では、この「できることを伝える」ことも大切だと考えていました。

「昔は良かったのに」の言葉の裏側

それでも、お客様からは「昔は良かったのに」と言われることがあります。

そんなときは、すぐにルールを説明して終わらせるのではなく、まず「そうですよね」と一度気持ちを受け止めるようにしていました。

昔の旅行を知っているお客様にとっては、今のルールが少し寂しく感じられることもあるからです。

ただ、そのときに私が考えるようになったのは、

「お客様が本当に望んでいることは何なのだろう?」

ということでした。

例えば「お酒を注いでほしい」というご希望があったとしても、必ずしも「バスガイドにお酒を注いでもらうこと」そのものだけが目的とは限りません。

周りのお客様との会話が途切れてしまい、少し時間を持て余している。

せっかくの旅行だから、車内でも楽しく過ごしたい。

そんな背景があるのかもしれません。

そう考えると、私にできることも変わってきます。

お客様が楽しく過ごせる時間をつくる

それからは、お酒を注いでほしいと言われたタイミングだけではなく、別の場面でもあえてお客様に声をかけるようになりました。

例えば、みんなで考えていただけるような簡単なクイズを案内に交えてみたり、

「この後の旅行先では何をしてみたいですか?」

「カラオケ大会では、どんな歌が人気だと思いますか?」

「今までどんな旅行先に行かれましたか?」

「これから行く場所は、行ったことがありますか?」

など、お客様同士が自然に会話を始められるような話題を提供することも意識しました。

バスガイドがずっと話し続けるのではなく、お客様同士がコミュニケーションを取りやすい方向へ、車内の雰囲気を少し変えていく。

それもガイドの役割の一つなのだと思うようになりました。

安全を守りながら、楽しさも守る

この経験を通して感じたのは、昔は当たり前だった旅行中のサービスも、時代とともに安全面から変わっていくということです。

「昔はできたのに」と言われたとき、ルールを一方的に説明するだけなら簡単です。

でも、お客様が本当に求めているものは何なのかを考えてみる。

「お酒を注いでほしい」という言葉の裏に、「旅行中、楽しく過ごしたい」という気持ちがあるのなら、安全上できないことを守りながら、その気持ちを満たす方法を考えることはできます。

ルールを守ることと、お客様に寄り添うことは、必ずしも反対ではありません。

できないことは、できないときちんと伝える。

そのうえで、「では、何ならできるのか」を考えてご案内する。

その伝え方こそが、バスガイドとして大切なのだと学んだ出来事でした。


ライター:くろちび

プロフィール
 バスガイドとして4年間、奈良・京都・大阪を中心に観光案内を担当。修学旅行や団体旅行、高齢者ツアーなど、さまざまなお客様をご案内してきました。現場で実際に経験した出来事や、旅行の裏側、接客を通して学んだことを、実体験をもとにお伝えしています。


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