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「各自100万円以上にはなるだろ」四十九日の席で遺産の話を始めた親戚。だが、長男の一言で黙り込んだ

  • 2026.7.27

静かな四十九日の席

親戚の四十九日の法要に参列してまいりました。

故人とは長い付き合いで、私も六十を過ぎた身として、しめやかに手を合わせてきたのです。

読経が終わると、二十人ほどの親族が、会食の席へと移りました。

膳を前にして、皆それぞれに、故人との思い出を静かに語り合っていたのです。

生前どんな人だったか、どれほど世話になったか。そんな話に、あちこちで皆がうなずき合っていました。

穏やかで、あたたかな時間でした。

故人を惜しむ皆の気持ちが、そのまま、その場のやわらかな空気になっているようでした。

酒とともに崩れた場

ところが、席の一角から、少しずつ雲行きが怪しくなってきました。

五十代後半の親戚の男が、盃を重ねるうちに、だんだんと声を大きくしていったのです。

はじめは他愛のない世間話でした。

それが酒の回るにつれて、しだいに不穏な方向へと流れていきました。

まわりも最初は調子を合わせて聞いていたのですが、その内容が、だんだんと聞き捨てならないものになっていったのです。

「まあ、故人も高齢だったし、これで相続もすんなり片づいて、かえってよかったんじゃないか」

そう言い放つと、男はさらに続けました。

まとまった土地があるのだからと、指を折りながら、こんな言葉まで口にしたのです。

「各自100万円以上にはなるだろ」

故人を悼むための席で、分け前の金額が飛び出す。

あまりの品のなさに、和やかだった場が、しんと凍りつきました。だれもが箸を止め、気まずそうにうつむいてしまったのです。

長男の毅然とした一言

そのとき、上座に座っていた施主の長男が、静かに盃を置きました。

声を荒げるでも、相手をにらむでもありません。ただまっすぐに背筋を伸ばし、その男のほうへ体を向けたのです。

「今日は、故人を静かに送る日です」

短く、それでいて揺るぎのない一言でした。

長男は続けて、「お金の話は、日をあらためましょう」と、あくまで穏やかに告げたのです。

男は、はっとした顔で口をつぐみ、ばつが悪そうに盃を置きました。凍りついていた空気が、そこからゆっくりとほどけていきます。

それからは、また故人を偲ぶ静かな語らいが戻ってきました。長男の落ち着いた振る舞いに、私は胸のうちで深くうなずいたものです。旅立った故人も、あの毅然とした一言に、きっと救われたにちがいありません。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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