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「うちの洗濯機の使い方ね」家事のこだわりが強い夫。だが、夫が実際に洗濯機を回した結果

  • 2026.7.24

扉の下から届いた一枚の紙

夫が体調を崩し、寝室にこもって数日を過ごすことになった。

うつさないための隔離だと分かっていたから、私は家事を一手に引き受けた。

問題は、夫が“自分の担当”と決めていた洗濯だった。

熱で寝ているはずなのに、扉の向こうから細かい指示が次々と飛んでくる。

「コースは三番、柔軟剤は線ちょうどね」

ある朝、部屋の前に立つと、パソコンで作ったらしい書類がテーブルに置かれていた。

表題は、うちの洗濯機の使い方。

手順が一から十まで、番号を振って印刷されている。

「うちの洗濯機の使い方ね」

熱があってもこれだけは伝えたかったのか、と私はしばらく紙を眺めていた。

柔軟剤の量、コースの番号、干す向き。

そこに書かれたルールは、どれも夫だけのこだわりで、私にはどれが必要なのか見当もつかなかった。

それでも寝込む相手を責める気にはなれず、その週はマニュアルどおりに回し続けた。

担当をまるごと返した日

隔離が明けてリビングに現れた夫は、開口一番こう言った。

「マニュアル、ちゃんと見た?」

私は洗いたてのシャツを手渡して、静かに答えた。

「もう全部あなたにお任せ」

あなたの手順が正解なら、あなたがやるのが一番いい。

私では、あの十項目を完璧にはこなせないから。

そう言い添えると、夫はきょとんとした顔になった。

翌日から、洗濯は宣言どおり夫だけの仕事になった。

ところが本人がやってみると、自分で決めたルールが足かせになる。

仕分けに手間取り、干す順番に迷い、洗濯物は一向に片づかない。

休みの日が、洗濯機の前だけで半分終わっていく。

自分で作った第一項から第十項を、律儀に守ろうとするほど手が止まる。

タオルを先に、色物は分けて、柔軟剤は線ちょうど。指示していた頃には気づかなかった手間が、いちどきに肩へのしかかっていた。

「なんでこんなに時間かかるんだ…」

洗濯かごの前で、夫が言葉を詰まらせた。得意げだった顔が、みるみる曇っていく。

「その第五項、いる?」

私が横から尋ねると、夫は自分のマニュアルを見つめたまま、何も言い返せなかった。

数日後、夫はあの印刷した紙を、そっと引き出しの奥にしまった。

マイルール夫が黙り込んだ理由は、たった一人で全部を回してみて、初めて分かったのだと思う。

それからの夫は、私のやり方に口を出さなくなった。

「どっちでもいいよ」が、すっかり口ぐせになっている。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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