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母が私の好物の「からあげ」を作らなくなった。実家に帰るたび膨らんでいく寂しさ

  • 2026.7.25
ハウコレ

実家の食卓に並んでいたのは、湯気の立つ手の込んだ料理ばかりで、私が一番好きだった「からあげ」は、どこにもありませんでした。

話しかけても鍋から目を離さない母の横顔に、私は遠ざけられている気がしてきました。

変わっていく実家の食卓

私が実家を出て、1人で暮らすようになって数年が経ちます。仕事の合間をぬって帰るたび、母は台所に立って私を迎えてくれました。子どものころから私の一番の好物は、生姜をきかせた母のからあげでした。帰省すると必ず食卓の真ん中にあって、それを食べると帰ってきたのだと実感できました。ところがここ最近、その皿が食卓から消えました。代わりに並ぶのは、聞いたこともない名前の煮込みや、きれいに盛りつけられた魚料理ばかりです。

素っ気なくなった母

母は新しい料理をおぼえることに夢中のようでした。私が話しかけても、鍋から目を離さずに短く返すだけです。そういえば少し前に帰ったとき、食卓を見て「お母さんの料理って、昔から変わらないよね。」と言ったことがあります。ただの世間話のつもりでした。あの一言と関係があるのかもしれないと思いつつ、母の背中はもう次の料理に向かっていて、私は何も聞けませんでした。

思いきって言った一言

その日も食卓には手の込んだ料理が並び、母は私の取り皿にそれを取り分けてくれました。おいしいねと言いながら、私はやっぱり、あの「からあげ」がないことがさびしくて仕方ありませんでした。思いきって、「お母さんのからあげ、また食べたいな。」と言ってみました。母は取り分けるのをやめて、こちらを見ました。そして、「なんだ。作らないほうがいいのかと思ってた。」と言ったのです。母が私を遠ざけていたわけではなかったのだと、そのとき初めてわかりました。

そして...

次に帰る日、母は久しぶりにからあげを揚げてくれるそうです。私は台所に立つ母の隣で、下ごしらえを教わることにしました。昔から変わらないと思っていたその味を、今度は自分の手でおぼえたいと思っています。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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