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「ラスト3本?作る努力をしろよ」売り切れた揚げ物。だが、店長の説明に納得した瞬間

  • 2026.7.26
「ラスト3本?作る努力をしろよ」売り切れた揚げ物。だが、店長の説明に納得した瞬間

14時のショーケース

駅前の商店街にある揚げ物のテイクアウト店で、昼から夕方まで働いていました。ショーケースには唐揚げ、串カツ、手羽先が並びます。

手羽先だけは、朝に漬け込んだ分しか揚げられません。仕込みの数がその日の上限でした。

その日は昼の客足が伸びて、14時を回ったころにトレイの上が寂しくなりました。残りは3本です。

「手羽先、5本ちょうだい」

片手に上着をかけた男性のお客様でした。

「申し訳ありません。本日の分は、こちらでラストになります」

トングでトレイを指すと、残りの3本が並んでいるのが見えます。

作る努力をしろよ

「ラスト3本?作る努力をしろよ」

声が大きく、隣の花屋の前まで届きそうでした。

「ただいま揚げているものがなく、追加ができないんです」

「揚げりゃいいだろ。油はあるんだろ」

油はあります。けれど手羽先は前の日から漬け込むもので、冷蔵庫にあるのは3本ぶんの下ごしらえだけでした。

厨房の奥から、店長が手を拭きながら出てきました。怒鳴られている最中とは思えないほど落ち着いた声で、少しだけ作り方をお話しさせてください、と切り出します。

「手羽先は前の日の夜に漬けて、朝に一度だけ仕込みます。本日の分は、その仕込みの数で決まっているんです。今から漬けても、お出しできるのは明日になります」

「じゃあ、なんで足りなくなるんだ」

「多く漬ければ、売れ残った分を捨てることになります。数を決めているのは、そのためなんです」

ショーケースに置かれた札

男性の口が動きかけて、止まりました。

ショーケースの3本へ目をやり、それから店の看板を見上げます。

「……3本でいい」

後ろに並んでいた年配のお客様が、笑って口を挟みました。

「ここ、なくなるのが早いのよ。私も夕方に来て買えなかったことあるんだから」

紙袋を渡すと、男性は小さく頭を下げて帰っていきました。

その日から、ショーケースの手前に小さな札が置かれました。手羽先は仕込みの数だけ、と書いてあります。

「怒鳴られたのに、よく普通に話せますね」

「怒鳴られたからって、こちらまで態度を変える必要はないでしょう」

店長はそう言って、明日の分を漬けはじめました。

次の週、あの男性が昼前に店の前に立っていました。トレイの手羽先は、まだ十本以上あります。

「今日は早く来たよ。5本あるか」

はい、と答えて、トングを手に取りました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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