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「通帳は全部、父に預けてあったから」妻の年収に見合わない貯金額。義父の優しさに心温まった瞬間

  • 2026.7.25

残高を出し合った休みの午後

結婚して数か月が過ぎた休みの日、そろそろ家計の形を決めようという話になりました。

まずはお互いにいくら持っているのかを出し合うことにします。

私のほうはすぐ済みました。

給与の口座と、少しずつ積んでいた分。

合わせても、胸を張れる額ではありません。

妻が出したのは、紙に書いた数字でした。

620万円とあります。

「よくこんなに貯められたね」

「通帳は全部、父に預けてあったから」

手元にないんですかと聞き返すと、妻はうなずきました。

就職した年に、義父が言ったのだそうです。

使う口座と置いておく口座は分けたほうがいいと。

義父が10年続けていたこと

給料が入るたび、決めた額を別の通帳へ移す。

それを義父が毎月やっていました。

年に一度、残高を紙に書いて妻に渡していたそうです。

「数字を並べられると、途中で頭が止まっちゃって」

「じゃあ、任せたほうが早いって思ったんだ」

「うん。父もそのほうが安心だったみたい」

翌週、二人で義父の家へ伺いました。

通帳と印鑑、それに年ごとの残高を書いたノートが、卓袱台の上にきちんと並んでいます。

10年ぶんの記録でした。

「本人が困らんようにと思って、預かっていただけだから」

「これからは、こちらで見ます」

「そうしてもらえると助かるよ。歳をとると、こういうのがだんだんおっくうでね」

義父は笑って、ノートの最後の行を指でなぞりました。

ページの端は何度もめくったせいで、少しやわらかくなっています。

それから、妻のほうを向きました。

「使わなかったのは、娘なんでね」

得意なほうが持てばいい

帰りの電車で、妻がぽつりと言いました。

「数字を見るのは、あなたのほうが早いね」

「そのかわり、献立とか考えるのは苦手だからね」

その日から、家計は私が持っています。

生活費は私の口座からまとめて出し、620万円はもしものときのために置いたまま。

妻はそこに手をつけません。

得意なことが違うだけの話でした。

誰が正しかったかを決める必要はなくて、決めたのは誰が持つかということだけです。

あの日の紙に書かれた数字は、妻が10年かけて手をつけずにきた結果でもあります。

管理していなかったのではなく、託せる相手を選んでいたということなのだと思います。

ノートは今、うちの引き出しに入っています。行が一つ増えるたび、義父に見せに行く口実ができます。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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