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妊活と「朝食」の意外な関係…体内時計を整えることの大切さ

  • 2026.7.23
出典:シティリビングWeb
最新研究でわかった「朝食を食べる人」の生児出生率

こんにちは。産婦人科医の齊藤英和です。

忙しい朝、つい朝食を抜いていませんか?実は「朝食抜き」による体内のリズムの乱れが、妊活や不妊治療(補助生殖医療:ART)の成果に影響するという最新研究が発表されました。今回はからだのリズム「概日リズム」と妊活に大切な朝食についてお話しします。

今日から実践したい! 未来のための朝食習慣
出典:シティリビングWeb

みなさんは概日リズム(サーカディアンリズム)をご存じですか?

厚生労働省のホームページ( https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-006 )によると、概日リズムとは、私たちの大部分の生体機能を司る約24時間周期のリズムのことと説明されています。

私たちは毎日ほぼ同じ時刻に眠り、また目を覚ましています。「出勤や登校の時刻があるから」「目覚まし時計のおかげでなんとか起床している」と思われるかもしれませんが、時刻を知る手がかりのまったくない、例えば洞窟のような隔離された環境で生活しても、私たちの睡眠リズムは約24時間周期で規則正しく現れているといわれています。

さらにこのような規則性は睡眠に限ったことだけではなく、体温、血圧や心拍、多くのホルモン分泌、免疫機能、代謝など大部分の生体機能には約24時間周期のリズムが認められ、このような約1日の周期をもつリズムのことを概日リズム(サーカディアンリズム)であると説明されています。また、何らかの原因で体内時計の機能が障害されると、体のいろいろな臓器に障害が起こるといわれています。

睡眠障害はその代表的な例ですが、最近、“朝食を抜く”という不規則な食習慣による概日リズムの乱れが補助生殖医療(ART)の成績に対し、どのような影響を及ぼすかについて検討した研究結果(Ono M, et al. Nutrition. 2024;127:112555.) が発表されたので、この研究結果についてお話しします。

近年、定期的に朝食を摂取する人の割合は減少しており、観察研究からは、朝食欠食が肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、脳卒中、冠動脈性心疾患のリスク増加と関連することが示されています。また、朝食を抜くことや不規則な食習慣は、栄養不足を引き起こし、ホルモンレベル、子宮の概日リズムに影響を及ぼす可能性があります。基礎研究(マウス)では、摂食が子宮の時計遺伝子の発現リズムを直接調節し、摂食リズムの異常が生殖機能を直接乱す可能性があることが明らかになっています。

今回紹介する研究では、食事回数とART転帰との関連を検討しています。2022年2月から2024年1月までARTを受けた症例117例で実施されました。質問票から抽出された要因には、ART前12カ月間、喫煙状況、飲酒状況が含まれています。その他の要因(年齢、BMI、抗ミュラー管ホルモン〔AMH〕値、出産歴)は医療記録から取得されています。

この研究での朝食欠食の定義は、週6〜7回の朝食摂取を「習慣的に朝食を食べる群」とし、週0〜5回の朝食摂取を「非毎日朝食群」と分類し、両群のデータを分析しています。

また、臨床転帰には、臨床妊娠、継続妊娠、生児出産、流産などが含まれています。臨床妊娠は、胚移植3週間後の経腟超音波検査で子宮内胎嚢が1つ以上確認された場合と定義され、継続妊娠は妊娠10週を超えて妊娠が継続している状態と定義されています。先行研究に基づき、年齢、BMI、喫煙、飲酒、AMH、既往出産数を交絡因子としています。統計解析には、Student t 検定、Fisher検定、多変量ロジスティック回帰を用いています。

その結果、朝食摂取頻度(週 6–7 回 vs. 週 0–5 回)とART転帰の間には、関連性を認め、朝食を週 6~7 回摂取していた患者では、週 0–5 回摂取の患者に比較し、ART治療により生児出生率が有意に高くなり、流産率が有意に低値となりました。

よって、ART治療前から朝食をきちんと摂ることは、ART成功率の上昇につながることより、規則的な朝食摂取は健康のためだけでなく、ART治療よる成功のためにも、重要であることわかりました。

出典:シティリビングWeb

PROFILE齊藤英和先生

1953年東京生まれ。梅ヶ丘産婦人科ARTセンター長。昭和大学医学部客員教授。近畿大学先端技術総合研究所客員教授。国立成育医療研究センター臨床研究員。浅田レディースクリニック顧問。専門分野は生殖医学、特に不妊症学、生殖内分泌学。

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