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「息子くん、いま大変なんだってね」なぜか知られていた私の家庭事情。ママ友の悪気のない笑顔に恐怖

  • 2026.7.22

園の門で呼び止められた朝

登園の列に並んでいると、別のグループのママが横に来ました。

挨拶くらいしかしたことのない相手です。

「息子くん、いま大変なんだってね」

何の話か分からず、私は聞き返しました。

「大変って、何がですか」

「おうちで口をきいてくれないって聞いたから。うちもそうだったよ」

血の気が引きました。

その話を口にした相手は、たった一人だけです。

数日前、送り迎えで一緒になるママ友に、私はこぼしていました。

息子が返事をしてくれない、自分の言い方が悪いのかもしれない、と。

彼女はいつも聞き役に回る人で、相談すると必ず最後まで聞いてくれるのです。

「朝から一言も返してくれないんです」

「あらあら。今だけよ、そういうのは」

「ですよね。誰にも言えなくて」

「うんうん。いつでも聞くから」

そのやりとりだけが、あの週の救いでした。

「どなたから聞かれたんですか」

「んー、誰だったかな。何人かから同じ話が回ってきたのよ」

その場では笑って返しましたが、門をくぐるまで足元がふわふわしていました。

悪気のない答え

帰りに、私は本人へ確かめました。

「この前の話、どなたかにされました?」

彼女は少しも慌てませんでした。

「3人にだけ、話を聞いてもらったの」

「3人、ですか」

「そう。子育ての先輩ばっかりよ。心配だったから」

あとから数えたら、同じ話を知っている人は5人いました。

止めようがありません。誰が誰に伝えたのかをたどれたとしても、その先でどう言い換えられたかまでは分からないのです。

「どうして、私に一度も聞かずに」

「聞いたら断るでしょう。困ってる人ほど遠慮するんだから」

叱られている顔でも、ごまかしている顔でもありません。彼女にとっては、これはまぎれもない善行でした。

「もう大丈夫ですので」

「うん。でも無理しないでね。いつでも聞くから」

その声は、最初に打ち明けたときと寸分違わない優しさだったのです。

次の朝から、私は彼女に天気の話しかしなくなりました。

「冷えますね」

「ほんとね。今日は風が強いって」

それだけ言って、子どもと門をくぐります。彼女は変わらず笑顔で、何かがなくなったことにも気づいていない様子でした。

誰も怒鳴らず、誰も責めず、誰も謝らないまま、我が家の話だけが園の中を歩いていったのです。あの笑顔を信じて明日また打ち明ける人がいると思うと、門の前の空気が少し冷たく感じます。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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