1. トップ
  2. エピソード
  3. 「洗濯物も、俺がやってるよな」義実家でだけイクメンを演じ続けた夫。だが、娘が暴いた嘘

「洗濯物も、俺がやってるよな」義実家でだけイクメンを演じ続けた夫。だが、娘が暴いた嘘

  • 2026.7.22
「洗濯物も、俺がやってるよな」義実家でだけイクメンを演じ続けた夫。だが、娘が暴いた嘘

親戚が集まる日だけの父親

フルタイムで働きながら、家のことはほとんど私がやっている。

夫が担当するのはゴミ出しだけ。それも、私が前の晩にまとめた袋を集積所まで運ぶだけだ。

「手伝おうか?」

台所に立つ私の背中に、夫はよくそう声をかける。手伝う、という言い方が、もう答えになっている。

「じゃあ、この鍋お願い」

返事の代わりに、スマホを見ながらソファへ沈む背中があった。

ところが、義実家に着いた途端、夫は別人になる。

玄関に上がるなり娘を抱き上げ、慣れた手つきでおむつ替えのシートを広げる。義母が「あらあら」と笑う。

「いつもこうなんだよ、な?」

同意を求められて、私は曖昧に笑うしかない。年に一度、親戚が集まるこの日だけ、夫は熱心な父親になる。

座卓に料理が並び、義父がビールを注いだあたりで、夫の口が滑らかになった。

「洗濯物も、俺がやってるよな」

こちらを見もせずに、夫は言った。

「保育園の準備だって、だいたい俺だし。共働きなんだから、当たり前だろ」

義母が感心したように箸を止める。ここで否定すれば、場が濁る。毎年そうやって飲み込んできた。

座卓の向こうから届いた声

そのとき、四歳の娘が顔を上げた。唐揚げを頬張ったまま、不思議そうに首をかしげる。

「パパ、おうちでやってるの見たことないよ」

座卓が、しんとした。

夫の箸が止まる。

「……いや、あれだよ。お前が寝てるときにやってるんだよ」

「ママがやってるよ。パパはソファでゲームしてるよ」

娘は悪気なく続けた。洗濯物はママといっしょにたたむ、パパはたたまない、と指を折って数えていく。

夫の顔から、笑いが引いていった。助けを求めるように義母を見て、それから義父を見る。

義父がビールのコップを置いた。

「子どもは、見てないようで見とるからな」

義母も、今度は笑わなかった。

「あなた、それ本当なの?」

夫は口を開けて、何も言えずに閉じた。耳まで赤くなっている。

「……ゴミ出しは、してる」

「ゴミ出しは、家事のうちの一つよ」

義母が静かにそう言うと、夫はうつむいて、コップの縁を指でなぞりはじめた。

「毎年、ここでだけよく働くと思ってたのよね」

義母の言葉に、義叔母が湯呑みの陰で小さく笑った。

その後、夫だけがやたらと娘の世話を焼いていたけれど、もう誰も感心しなかった。

帰りの車で、夫は信号待ちにようやく「悪かった」と一言だけ落とした。私は前を向いたまま、返事をしなかった。

翌朝、洗濯機の音で目が覚めた。ベランダで、夫が娘に干し方を聞きながら格闘していた。

あれから半年、靴下はまだ裏返しのまま干される。それでも夫はもう「手伝おうか」とは言わない。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ