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「全部やる」と言った夫が、スマホを見る理由

  • 2026.7.22
ハウコレ

「俺が全部やるよ」と家事を引き受けてくれた夫が、いつしか私よりも別のものに視線を向けるようになっていました。夕食後、思い切って聞いた答えは……

食器のぶつかる音の間に、夫のスマホの通知音が続けて3度鳴りました。

家事のはずが、いつもスマホばかり

妊娠7ヶ月に入ったころ、夫は「俺が全部やるよ。無理しないで」と言って、家事のほとんどを引き受けてくれるようになりました。ごみ捨ても、食事作りも、洗濯も。最初の1ヶ月はありがたかったです。

数週間経つと、様子が変わってきたのです。台所に立ちながら片手にスマホを握り、洗濯物を畳みながらも、目線は画面から離れません。声をかけても「ん、ちょっと待って」と返ってくるだけで、こちらを見てくれません。焦げた匂いのする炒め物が食卓に並び、畳んだ洗濯物はソファに山積みになっていきました。

もしかして、と思い始めた自分がいて

いつからか、夫が家にいてもいないような感じがしていました。同じリビングで隣に座っているのに、私よりスマホの画面のほうを大事にしているようでした。

「浮気かもしれない」

1度そう考えると、想像は止まりませんでした。相手は誰だろう。会社の後輩か、学生時代の女友達か。動くのも億劫な私と違って、身軽に会える誰かがいるのかもしれない。

夫の入浴中、テーブルに置きっぱなしのスマホを見つめました。指先が画面に届く前に、浴室のドアが開く音がしました。

「そのスマホ、誰と何話してるの」

夕食後、洗い物をしながらまた画面を覗き込む夫に、私は聞きました。

「そのスマホ、誰と何話してるの」

思ったより低い声が出ました。夫は水を止めて、こちらを振り向きました。

「両親学級の動画、見てた」

そう言って、スマホの画面をこちらに向けました。産院の助産師が話す動画、赤ちゃんの沐浴の手順、陣痛が始まったときの対応の仕方。ブックマークの一覧には、育児サイトのタイトルがずらりと並んでいました。

「産まれる前に、全部覚えておきたくて」

うなずきながら、私は焦げた鍋のことを思い出していました。

そして...

夫が育児のために勉強していたことは、うれしいはずでした。それなのに、素直に受け止められない自分がいました。覚えたかったのは沐浴の手順で、見ておきたかったのは動画の助産師で、私ではなかった。妊娠中の私が今日どんな気分で、何が食べたくて、どこが辛いのか。それを聞いてほしかったのだと、伝えて初めて夫は気づいたようでした。

食卓の炒め物はもう焦げていません。夫が覚えかけの沐浴を私に見せてくれる日は、もう少し先です。

(30代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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