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妻の陶芸を段ボールに詰めた俺が、飾り棚の完成日を切り出せなかった理由

  • 2026.7.21
ハウコレ

木箱が届く日まで、俺は図面を鞄の底に入れたままでした。

妻が箱を開けないのを、台所の隅から見ています。伝えるべき順番を、いつも間違えてしまいます。妻が帰ってくる前に、俺は棚の器を1つずつ緩衝材で包み直していました。

動線を変える計画のこと

妻が陶芸を続けてきた3年間、俺は隣で拙いながらも愛のこもった皿を見せてもらってきました。妊娠がわかってから、和室に赤ちゃんを寝かせるスペースを作る話が2人の間で出ていました。棚の器を安全に移すのが最後の課題でした。妻の作業机を作った職人に、同じ木で飾り棚を頼んだのが、1週間前です。木材の乾燥に時間がかかると言われ、届く日はまだ先でした。

「邪魔だから」と言ってしまった理由

玄関の音がして、妻が台所へ入ってきました。俺は米を研ぐ手を止められずにいました。「私の作品たちは、どうしたの?」と聞かれ、口から出たのは「邪魔だから」の一言でした。振り向いた妻の顔を横目で見た瞬間、順番を間違えたと悟りました。図面を先に見せて、器を移す相談をしてから包むべきだった。そう思っても、米を研ぐ手だけが動いていました。

箱を開けない妻の横顔

その夜、妻は玄関から1度出て、しばらく戻ってきませんでした。翌日、仕事から帰ると、妻は廊下の箱の前に座っていました。開けない妻の横顔を見て、俺は蛇口を開いたまま、水が流れる音を聞いていました。図面を渡すタイミングを何度も測って、そのたびに口を閉じました。木箱が届く日まで待つ、と自分に言い訳をしていたのです。

そして...

飾り棚が届いた日、俺は妻の前で梱包を解きました。妻は箱を開け、棚の中央に青い釉薬の湯呑みを置きました。

「割れたら危ないから」

最初に俺が言うべきだった一言を、妻の湯呑みに向かって口に出しました。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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