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食べる量が同じでも夜型は朝方に比べお腹に脂肪が偏りやすい

  • 2026.7.19
Credit:OpenAI,ナゾロジー編集部

よく「夜遅くに食べると太りやすい」「夜食は控えた方がよい」と言われますが、夜型の人は夜中にお腹が空いて、ついつい何かつまんでしまうということは多いかも知れません。

そんな夜に多く食べる人は、1日の食べる量に大きな差がなくても、夜はあまり食べない人と比べて体脂肪のつき方に違いが見られるのでしょうか。

ニュージーランドのマッセー大学(Massey University)のカリアン・ファン・デル・メルウェ(Carlien van der Merwe)氏らの研究チームは、ニュージランドの女性を対象に睡眠の時間帯から被験者を夜型と朝型に分け、食事の内容と時刻、体脂肪、血液中の代謝指標の関係を調べました。

すると、夜型の女性は朝型・中間型の女性より朝の摂取量が少なく、午後8時以降の摂取量が多い傾向にあり、体脂肪率や腹部側に脂肪が偏る度合いが高くなっていることがわかったのです。

両者の一日の総摂取カロリー量に違いはありませんでした。

この結果は夜型の人は、食事時間も遅い時間に偏る傾向があり、それが体脂肪率や、脂肪が身体のどこに付きやすいかにも影響している可能性を示唆するものです。

この研究の詳細は、2026年7月7日付で科学誌『Frontiers in Nutrition』に掲載されています。

目次

  • 夜型は朝に少なく、夜に多く食べてしまう
  • なぜ夜型だとお腹側に脂肪が偏るのか

夜型は朝に少なく、夜に多く食べてしまう

人の睡眠時間の傾向は、一般に「朝型」「夜型」などと表現されます。

専門的には、このような眠る時刻や起きる時刻の個人差をクロノタイプ(chronotype)と呼びます。

過去の研究では、夜型の人は食事の時刻も遅く、朝食を抜きやすいことや、野菜や果物の摂取が少ない傾向が報告されていました。

一方で、食事を取る時間帯が、詳しい体脂肪の分布や血液中の代謝指標とどのように関係するのかは、十分に調べられていませんでした。

そこで研究チームは、ニュージーランドに住む18~45歳の健康な女性287人を対象に、睡眠、食事、体組成、血液指標をまとめた調査を行ったのです。

研究チームは、過去4週間の就寝・起床時刻の中央にあたる「睡眠中央時刻」を基準として、これが午前3時より前なら朝型、午前3時から5時までなら中間型、午前5時より後なら夜型と分類しました。

たとえば、午前1時30分に眠り、午前9時30分に起きる人は、単純な睡眠中央時刻は午前5時30分となるため、夜型に分類されます。

研究チームは参加者287人を、朝型35人、中間型155人、夜型97人に分類しました。朝型の人数が少なかったため、主要な分析では朝型と中間型を合わせた190人と、夜型97人を比較しています。

各参加者には、平日3日と週末2日の計5日間、食べた食品や量、時刻を記録してもらい、管理栄養士が内容を確認しました。

研究チームはその記録を、午前10時前、午前10時から午後3時前、午後3時から8時前、午後8時以降の4つの時間帯に整理しました。

さらに、X線を使ったDXAという装置で体脂肪率と脂肪の分布を測定し、空腹時の血液から中性脂肪、インスリン、HbA1cなども調べました。

こうして研究チームは、朝型・中間型と夜型で、食べる時間帯、体脂肪、血液指標にどのような違いがあるのかを比較しました。

こうして分析した結果、1日の平均エネルギー摂取量は、夜型が8745キロジュール、朝型・中間型が8532キロジュールで、1日の総摂取カロリー量には大きな開きがありませんでした。

一方、食べる時間帯には明確な違いがありました。

食事の時間帯を比べると、朝型・中間型は午前10時までに1日のエネルギーの約15%、午後8時以降に約11%を取っていたのに対し、夜型女性は午前10時までが約9%、午後8時以降が約22.6%でした。

つまり、朝型・中間型は朝に、夜型は夜にエネルギー摂取が偏っており、タンパク質、炭水化物、脂質の摂取にも同様の傾向が見られました。

こうした差は体組成にも出ており、夜型女性の体脂肪率は平均36%、朝型・中間型は34%でした。

BMIの中央値は夜型が31.4、朝型・中間型が26.1で、腹部側に脂肪が偏る度合いも夜型の方が高くなっていました。

血液検査では、夜型女性の方が中性脂肪、インスリン、HbA1cなどが高く、HDLコレステロールは低いという違いも見られました。

また、夜型女性は食物繊維や葉酸、ビタミンA・E、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの摂取量も少ない傾向にありました。

夜型の人に栄養素の偏りやBMIが高い傾向が見られることは既存の研究でも示されていた点ですが、今回の研究の重要なポイントは、実際に夜型女性は体脂肪率が高く、脂肪も腹部側に偏る傾向が示されたことです。

一日のカロリー量が変わらなかったことから、食べる時間の偏りがこれらの差に影響していた可能性は高いと言えるでしょう。

なぜ夜型だとお腹側に脂肪が偏るのか

今回の研究の特徴的な点は、X線を使った装置で全身の脂肪を測定し、お腹側の脂肪と腰・お尻・太もも側の脂肪の割合まで比べていることです。

研究チームによると、睡眠のタイプと、この脂肪分布の指標との関係を調べた例は今回が初めてだと述べています。

今回の研究では、夜型女性は体脂肪率が高いだけでなく、下半身よりもお腹まわりに脂肪が偏る傾向も示されました。

では、なぜ夜型の人では脂肪がお腹側に偏る傾向があるのでしょうか。

既存の研究では、朝から日中はインスリンが比較的働きやすく、食事から取り込んだ糖を処理する能力も高いことが示されています。

一方、夜になると糖を処理する能力や、脂肪をエネルギーとして使う効率が低下します。そのため夜遅い時間に多く食べる生活が続くと、糖や脂質を処理しにくくなり余ったエネルギーが体脂肪として蓄積しやすくなります。

ただし、なぜ脂肪がお腹側に偏ったのかは、今回の研究では明らかになっていません。

今回の結果で注目すべきなのは、夜型女性では体脂肪の「量」だけでなく、「つく場所」にも違いが見られたことです。

では、夜型の人はどのように食生活を整えればよいのでしょうか。

今回の研究は食事時刻を変える実験ではないため、夕食を何時までに済ませればよいかという基準までは示していません。

ただ、研究結果とこれまでの知見を踏まえると、遅い時間に集中している食事の一部を、朝や昼へ移すことが現実的な改善策になると考えられます。

朝食を取ると一日を通してお腹が減りにくくなるという研究報告もあります。

そのため夜の食事を我慢するのではなく、日中の食事を充実させ、就寝直前や夜中にお腹が減るという状況を起こさないようにすることが無理のない方法になるのです。

論文が引用している模擬夜勤の研究でも、夜間ではなく日中に食事を取った場合、糖を処理する能力やインスリンの働きが良好だったと報告されています。

ただし、今回の研究は一時点の生活と体の状態を比べたものであり、夜の食事が体脂肪を増やしたと断定することはできません。

また、対象はニュージーランドの若い女性に限られ、夜型群には民族的・社会経済的背景の偏りもありました。

今後は、食事の時刻を実際に前へ移すことで、体脂肪率やお腹まわりの脂肪が変化するのかを長期的に確かめる必要があります。

それでも今回の研究は、健康管理では1日に食べた総量だけでなく、その食事が朝と夜のどちらに偏っているかにも目を向ける価値があることを示しています。

夜型の生活をすぐに変えることが難しくても、食事の重心を少し日中へ移すことなら、取り入れやすい工夫になるかもしれません。

参考文献

Night owls are at greater risk of poor metabolic health

Night owls are at greater risk of poor metabolic health
https://news.griffith.edu.au/2026/07/14/night-owls-are-at-greater-risk-of-poor-metabolic-health/

元論文

Chronotype and associations with dietary intake, meal timing, body composition, and metabolic biomarkers
https://doi.org/10.3389/fnut.2026.1862060

ライター

相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。

編集者

ナゾロジー 編集部

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