1. トップ
  2. エピソード
  3. 彼女の通知だけを切った僕が、最後まで言えなかった理由

彼女の通知だけを切った僕が、最後まで言えなかった理由

  • 2026.7.19
ハウコレ

彼女のメッセージが一番多かったから、通知をオフにしました。嫌だったわけではありません。なのにカフェで理由を伝えたら、彼女は「大丈夫」と笑って先に席を立ちました。

会議中にポケットの中で続けて震えたスマホを、上司の目が追っていました。

鳴りやまない通知

異動して3か月、新しいチームで結果を出したい時期でした。打ち合わせの最中にポケットの中でスマホが立て続けに震えました。会議のあと上司に言われました。

「集中できていないように見えるよ」

家に帰って通知の履歴を見ると、多くが彼女からでした。どれも読めば嬉しいメッセージです。でも仕事中に通知が続くと上司の視線が気になりました。そして俺は1番多い相手の通知を切れば仕事中は収まると考えました。

トーク画面

通知をオフにしてから、返信は遅くなりました。でも読んでいないわけではありません。まとめてトーク画面を開き、クロワッサンの写真を保存したり、パン屋の場所を確認したりしていました。

「いいね」返信は短くなりましたが、読んだ上での返信でした。彼女に説明しようかとも感じましたが、通知を切っただけでチャット自体を見ていないわけではない。わざわざ言うほどのことでもないと考えていました。

彼女からのメッセージが減っていることには気づいていました。忙しいのかもしれないと、そのときは考えていました。

「迷惑だったんだね」

数日後、駅前のカフェで彼女と向かい合いました。彼女はカップを両手で包んだまま切り出しました。

「通知、切ってるでしょ」

「私のだけ」

それだけ言って、彼女はこちらを見ていました。

「嫌だからとかじゃないんだ」

「一番多いの、君だったから」と俺は答えます。

彼女は少し間を置いて返しました。

「……そっか」

「迷惑だったんだね」

「迷惑とかじゃなくて」

そう続けようとしたとき、彼女はコーヒーを飲み干して「大丈夫」と笑いました。

そして...

「大丈夫」と笑った彼女がカフェを出ていくのを見送りました。嫌ではなかったし、全部読んでいた。言ったことに嘘はありません。でも彼女のトーク画面に並んでいるのが自分の吹き出しばかりだったら、同じことを思えただろうかと考えました。帰り道、設定を開いて彼女の通知をオンに戻しました。

(20代男性・システムエンジニア)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ