1. トップ
  2. “レトルトの女王、缶詰の達人”に聞いた非常食アレンジレシピ3選【日常編】

“レトルトの女王、缶詰の達人”に聞いた非常食アレンジレシピ3選【日常編】

  • 2026.7.17

「ローリングストックといってもどう備えていいかわからない」、「買ってはみたものの同じようなレトルトで飽きてしまう」。そんな疑問や悩みはありませんか? 今回は、長年防災と災害食を研究し、数々のレシピや商品開発に携わってきた今泉マユ子さんに備蓄食材を使った普段の食卓で活用できるレシピやローリングストックのコツについて伺いました。

東日本大震災をきっかけに災害食をとことん研究

——今泉さんは、普段どのような活動をされているのですか?

管理栄養士・防災士・日本災害食学会災害食専門員として、災害時の食支援やレシピ・商品開発を行っています。また、防災食アドバイザーとして全国で講演したり、テレビやラジオなどを通じて災害の備えについて発信したりしています。

——メディアでは「レトルトの女王」「缶詰の達人」と紹介されることも多いと聞きました。

きっかけは東日本大震災です。保育園の管理栄養士だった私にも日本栄養士会から被災地支援の要請がありましたが、子どもを置いて行けずもどかしさが残りました。

そんな中、災害で親が帰宅困難に陥り、自宅に帰れず子どもだけになった場合、子どもだけで食事を用意するのは難しいと気づき、防災・災害食の研究を始めました。市販の非常食は高価で続けにくかったため、普段使いできる缶詰やレトルト食品に着目しました。食べ比べるうちに詳しくなり、2015年の缶詰レシピ本以降、防災やSDGsをテーマにした本を23冊執筆しています。

<こちらの記事もよく読まれています!>→2026年 大地震は増えている?南海トラフ地震や巨大地震との関係は

<こちらの記事もよく読まれています!>→全国各地でクマ出没! 15年間被害ゼロの軽井沢に学ぶ、共存のための知恵

普段の食卓に使えるレトルト・缶詰のアレンジレシピ3選

今回、常備食としてストックしやすいレトルト食品や缶詰を使ったアレンジレシピを今泉さんに教えていただきました。それぞれのレシピと筆者が実際に作ってみた感想をご紹介します。普段の食卓ですぐに活用できるレシピばかりなので、ぜひ作ってみてください。

◆なんちゃってラザニア(餃子のラザニア) 調理時間10分

(材料1~2人分)
冷凍(またはチルド)餃子…12個
レトルトミートソース…1食分(約140g)
ピザ用チーズ…30g
カットレタス…30g
お好みでパセリみじん切りやドライパセリ…適宜

(作り方)
①グラタン皿にゆでた冷凍(チルド)餃子を並べ、ミートソース、カットレタス、ピザ用チーズをのせる。

②トースターで①を焦げ目がつくまで焼く。お好みでパセリのみじん切りやドライパセリを散らす。

【今泉さんのワンポイント】
テレビ番組で紹介したら反響の大きかったわが家の定番レシピです。耐熱のキャセロールでたっぷり作れば、パーティーにもぴったり! みんなでワイワイ取り分けて食べると楽しめます。

【作ってみました】
トースターで焼く前に餃子をゆでたことで皮がもちもちになって食べ応えもあり、ラザニアっぽさがアップしました。もっと餃子の匂いや味がするかなと思っていましたが、ミートソースとチーズで、思っていた以上にラザニアでした! 大きな容器いっぱいに作って食べたい一品です。

◆レンチン鶏むね肉明太子ロール 調理時間12分

(材料2人分)
鶏むね肉… 1枚(約250~300g)
オクラ…4本
赤パプリカ…1/4個
明太子パスタソース(加熱不要のあえるタイプ)…1食分(約25g)
サラダ菜…適量

(作り方)
①鶏むね肉は厚さが均等になるように数ヶ所切り込みを入れて開き、オクラはガクを切りおとす。赤パプリカはヘタと種を取り除き縦に細切りにする。

②①の鶏肉の皮目を下にして置き、明太子パスタソースを全体に塗る。手前に①のオクラと赤パプリカを並べて手前から奥に向かって肉を巻く。

③ラップで②を包み、電子レンジ(500W)で3分加熱し、上下を返してさらに3分加熱する。鶏肉は中心まで火が通っていることを確認する(※電子レンジの機種や肉の厚みにより、加熱時間を調整)。粗熱が取れたらラップをはずし食べやすい大きさに切り、サラダ菜を敷いた皿に盛る。

【今泉さんのワンポイント】
「電子レンジでこんなに簡単に作れるんだ!」と知ってほしい、いちおしレシピです。明太子ソースの代わりにたらこソースで作ってもおいしく仕上がります。パスタソースは意外といろいろなアレンジができて、明太子ソースで作る炊き込みご飯もすごく簡単でおいしいですよ!

【作ってみました】
わが家は家族の人数に合わせて2本作りました。1本目は加熱中にラップが破裂してお肉が開いてしまったので、2本目はひっくり返して再加熱する際に、ラップを少しゆるめて空気を逃したらうまくいきました。彩りもよく、明太子のピリッとした辛味がアクセントになっておいしかったです。個包装のあえるタイプのパスタソースはソースの数と家族の人数が合わず中途半端に余ってしまうことが多いので、余ったソースの消費にもぴったりだと思いました。

◆さばみそドライカレー 調理時間7分

(材料2人分)
さばみそ煮…1缶(約150g)
まいたけ…1パック(約80g)
玉ねぎ…中1/2個(約100g)
しょうが、にんにく…各1かけ分
サラダ油…大さじ1
カレー粉…大さじ1
温かいごはん…お茶碗2杯分
三つ葉(ざく切り)…1束(10~20g)

(作り方)
①まいたけ、玉ねぎは粗みじん切り、しょうが、にんにくはみじん切りにする。

②フライパンにサラダ油と①を入れて中火で3分炒め、カレー粉、汁ごとさばみそ煮を入れて木べらなどでくずしながら中火で2分炒める。

③ごはんを器に盛り、②のカレーをかけ、三つ葉を添える。

【今泉さんのワンポイント】
三つ葉の代わりにパクチー、水菜、かいわれ大根、豆苗などでもOK。酢やラー油、白ごまなどをちょい足ししてもおいしいです。このレシピに限らず、魚の缶詰は酢を加えると臭いや味のクセが気にならなくなってぐんと食べやすくなるのでおすすめです。

【作ってみました】
「さばみそでカレー?」と思いながら作りましたが、生臭さもなく暑い季節でも食欲がアップしそうな味でした。添えた三つ葉もアクセントになっておいしかったです! カレー粉の辛味が結構あるので、小さいお子さんや辛いものが苦手な方がいるご家庭は、好みの味にアレンジするといいかもしれません。わが家ではケチャップを少し足してみたところ、子どもも食べやすいマイルドな味になりました。

「ローリングストック」のコツを今泉さんに聞いてみました

——災害時の在宅避難に備えて「ローリングストックが大切」と耳にします。でも気づいたら非常食が賞味期限切れになってしまったり、逆にカップ麺などは知らないうちに家族が食べてしまったり……。なかなかうまくいきません。気負わずにローリングストックを実践するためのコツを教えてください。

まず知っていただきたいのが「フェーズフリー」という考え方です。日常時と非常時を分けずに、普段使っているものを災害時にも役立てようという考え方です。フェーズフリーを実践する方法のひとつとして「ローリングストック」があります。

15年間防災に取り組む中で感じているのは、備えを「特別なもの」にすると続きにくいということです。「いつも」と「もしも」を分けず、日々の暮らしを便利にしておくのが大切です。

たとえば、パックごはんやレトルト食品、缶詰、フリーズドライのみそ汁など、普段から使える食品を少し多めに用意しておき、食べた分を買い足す。これがローリングストックです。賞味期限を見える化しておけば、家族が食べてしまっても「食べながら」回すことができます。

わが家では、本棚にレトルト食品を並べ、賞味期限が近いものを左側に置くようにしています。これで家族全員が在庫を把握できます。下段に水や缶詰など重いものを置けば、地震時の転倒防止にもなります。

こうした備えは災害時だけでなく、体調不良の時や忙しい時にも役立つ「フェーズフリー」な工夫です。

何を備えるかに正解はない。決めるのは自分

——今泉さんはご自宅でいろいろな種類の食品をストックされていますが、たとえば主食もバリエーションがあるのでしょうか?

はい。お米、お餅、スパゲティ、インスタントラーメン、パックごはん、アルファ化米、パンの缶詰などさまざまです。食べ慣れていることと、選択肢があることが大事です。

災害時に「これしかない。これを食べなくては」と思うとストレスになりますが、自分で選べるものがあれば、気持ちも少し前向きになります。災害時の食事は「いつもの自分」を取り戻す支えにもなるので、好みに合わせていろいろな種類を備えておいてくださいとお伝えしています。

——専門家の方には、何をどれくらい準備すればいいのかつい聞きたくなってしまいます。

それは本当によく聞かれますが、正解はないんです。家族でも好みはそれぞれ違いますし、普段から料理をするかどうかでも用意するものは変わってきます。

だから一般的なチェックリストを参考にしながらも、「自分はどうか」を考えてほしいのです。遠足のしおりを思い出してください。しおりに沿って持ち物を準備しますが、お弁当やお菓子は「何を何個」とは書かれていません。好きなものを、自分が食べられる量で準備する。それが大事で、決めるのは自分です。好みも予算も人それぞれ。災害の備えも一緒です。

<こちらの記事もよく読まれています!>→洪水情報が変わる!新設される河川氾濫警報について解説

<こちらの記事もよく読まれています!>→「青切符」導入で見直す自転車ヘルメット 毎日の安全対策がいざというときの備えに

<取材協力・レシピ監修>
今泉マユ子(いまいずみ・まゆこ)
株式会社オフィスRM代表取締役。管理栄養士・防災士・日本災害食学会災害食専門員。フェーズフリーアクションパートナー、フェーズフリーミート実行委員。日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)リーダー。
1969年徳島県生まれ、横浜市在住。大手企業の社員食堂、病院、保育園に長年勤務後、2014年に管理栄養士の会社を設立。レシピ開発、商品開発、執筆、講演のほか、防災食・災害時の食支援、フェーズフリーの普及に取り組む。東京消防庁から感謝状を11回受領。TBS「マツコの知らない世界」、NHK「あさイチ」などメディア出演多数。著書は『もしもごはん』(清流出版)、『SDGsクッキング』シリーズ、『こどものための防災教室』シリーズ(ともに理論社)など23冊。東京消防庁機関誌『東京消防※』で「マユ子さんのぼうさいキッチン」を連載中(本記事で紹介したレシピは、過去にこちらで紹介したものです)。
公式サイト:https://office-rm.com
※東京消防庁職員・OBの他、消防関係機関に配布されるものです。一般販売はありません。

<執筆者プロフィル>
那須 あさみ
フリーランスライター。小学生、中学生の4児の母。さまざまな年齢の子どもと一緒に家庭で備えられる防災を模索中。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ