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イワシ缶は“缶詰のスキンケア”!? 栄養士が解説する“サーディンマキシング”と食べ方

  • 2026.6.29
Getty Images

控えめな存在だったイワシがいま大きな注目を集めている、そう言っても過言ではないだろう。SNSをスクロールするたびに、この素朴な魚を美肌食材として称える新しいレシピが次々と目に飛び込んでくるからだ。

グーグルトレンドによれば、イワシの検索数は急増中。さらにここ数週間で、“サーディンマキシング(sardinemaxxing)”という新たなトレンドまで登場した。これは日々のイワシの摂取量を増やすことが輝く肌への秘訣であり、最も手軽な近道だと謳うムーブメントである。

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とはいえ、このイワシ旋風には科学的な裏付けがあるのだろうか。「SNSで話題になる数多の健康トレンドとは違って、イワシは本当に栄養豊富な食材です。良質なタンパク質、オメガ3脂肪酸、ビタミンD、セレン、ヨウ素に加えて、驚くほど豊富なカルシウムまで含んでいます」と語るのは、自然療法栄養士であり、『ザ ホルモンバランス ハンドブック』の著者でもあるジェシカ・シャンド氏だ。

イワシの人気が急上昇した理由を彼女はシンプルに説明する。「数ある栄養トレンドと同じく、イワシが人気を集めているのは、手軽さ、手頃な価格、そして高い栄養価。この3つが交わる地点にあるからです」

ウェルネス業界が自己最適化や高価なサプリメントや果てしなく続く健康ハックの転換点を迎えるなか、人々がイワシの缶詰という質素な食材、それもこれほど栄養的メリットの多い食材を進んで取り入れている。その光景はシャンド氏の目に新鮮で好ましいものと映っているようだ。

「この人気は次なる“奇跡の成分”を追い求める姿勢から脱却し、より伝統的なホールフード、つまり自然のままの食品へと関心が移りつつある流れを映していると思います。栄養士として、これは前向きな変化だと捉えています」

Edward Berthelot / Getty Images

サーディンマキシングとは

ネット上で関心を集め続けるなか、最新のトレンドとして台頭したのが“サーディンマキシング”だ。オメガ3脂肪酸の強力な補給から長期的な肌の健康維持まで、イワシが持つ栄養効果を最大限に引き出すべく、意識的にイワシの缶詰を頻繁に食べるというものである。

そして実際、イワシを定期的に食べることには確かな恩恵がある。「イワシはオメガ3脂肪酸、なかでもEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含んでいます。これらは心臓の健康や脳機能のサポートし、そして全身の炎症を抑える働きについて広く研究が重ねられてきた成分なんです」とシャンド氏は説明する。

タンパク源としてもイワシは優れた選択肢だ。「タンパク質は筋肉の維持、血糖値のバランス、ホルモンの生成、そして満腹感を得るために欠かせません。特に女性にとってはビタミンD、カルシウム、セレン、ヨウ素といった普段不足しがちな栄養素を補える点も心強いところ。これらはすべて全身の健康において重要な役割を担っています」とシャンド氏は続ける。

さらに彼女はホルモンバランスを整える観点からもイワシを薦めている。「甲状腺機能に神経系の健康、そして炎症バランスの維持をサポートする複数の栄養素をたったひとつのシンプルな食材でとれるのです」

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イワシの美肌効果には科学的な根拠はあるのか

ネット上のインフルエンサーたちが最も盛んに謳うメリットのひとつが、イワシの美肌効果だ。肌のバリア機能を支え、肌の調子を一気に高め、輝きと透明感に満ちた状態へと導いてくれると主張されている。実際、美肌を目指す“イワシファスティング(断食)”がネットで話題を呼び、イワシを“缶詰のスキンケア”と呼んで美容医療の注射の代替とみなす声まで見られるほどだ。

では、イワシは本当に美肌の秘訣となりうるのだろうか。「こうした主張には一定の科学的根拠があります。ただ、ソーシャルメディアで時に語られるような、劇的な効果というわけではないかもしれません」とシャンド氏。

その前提を踏まえた上で、イワシが肌全体の健康を支えてくれるのは確かだという。「最も有力なメカニズムは、イワシに含まれるオメガ3脂肪酸に関係しています。オメガ3脂肪酸は健康な細胞膜の維持を助け、体内の炎症反応を整える働きが期待できます。皮膚は人体で最大の臓器ですから、こうした脂肪酸は健やかな肌のバリア機能や水分保持、肌全体の機能の維持に貢献してくれます」と彼女は明かす。「イワシにはタンパク質も含まれていて、組織の修復を助けるアミノ酸を供給してくれます。加えて、肌の健康に欠かせないセレンやビタミンDといった栄養素もとれるのです」。

ただし、たったひとつの成分や食材だけで輝く肌が手に入るわけではない。「肌の健康は、もっと大きな全体像に左右されます。日々の食事に加えて血糖値のバランス、腸内環境、睡眠、ストレス、水分補給、そしてホルモンバランス。その一つひとつが影響しているのです」と彼女は釘を刺す。

実際、イワシはどれくらい食べればいいのか

どんなトレンドにも言えることだが、ここに大切な注意点がある。効果を得るために、毎食イワシを無理に組み込む必要はないということだ。「現在の指針では一般的に、少なくとも週2食分の魚、そのうち1食分は脂の乗った青魚をとることが推奨されています。イワシはその目標を達成するうえで間違いなく力になってくれます」とシャンド氏は付け加える。

「ほとんどの人にとっては、バラエティに富んだ食事の一環として週に1〜3回イワシを食べるのが賢明かつ現実的なアプローチです。多ければ多いほどよいとは限りません。栄養の万能薬としてどれかひとつの食材に頼るのではなく、私はいつも多様な食材を摂ることを薦めています」と彼女は念を押す。さらにシャンド氏は、イワシばかりに集中するのではなくサーモンやサバ、ニシン、マスといった他の魚も食事に取り入れることを推奨している。

あらゆるウェルネス習慣がそうであるように、たいていは控えめがちょうどいい。そしてシャンド氏が指摘するように、目指すべきはイワシを詰め込むことではなく、多様性に富んだ一皿を心がけることだ。「イワシは食事に素晴らしいものを添えてくれる食材です。けれど本当の魔法は、体全体を支える栄養豊富なホールフードを幅広く、そして継続的に食べ続けることから生まれるのです」と締めくくった。

Realization : Amelia Bell Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

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