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災害支援コンビニって何? もしもの時の頼れる存在に

  • 2026.7.15

災害時に頼る場所といえば、多くの方がまず思い浮かべるのが避難所や学校、行政の拠点ではないでしょうか。でも実は、もっと身近で、自分の普段の暮らしの中で利用している場所が災害時の頼れる場所になろうとしています。日本中で、人々の暮らしの一端を支えているコンビニです。

2017年には、災害対策基本法に基づく指定公共機関に大手コンビニ3社(セブンイレブン・ファミリーマート・ローソン)が指定されました。コンビニは、各自治体や国と災害時物資支援協定を結び、行政の要請に応じて食料や生活必需品を被災地に優先供給するなど、災害時に重要な社会インフラとしての機能を担うことが期待され、東日本大震災や能登半島地震などでも大きな役割を果たしてきました。

大規模地震に備えて、平時だけでなく非常時も

株式会社ローソン(以下、ローソン)とKDDI株式会社(以下、KDDI)は、災害発生時に「災害情報の受発信」「水・食料の供給」「通信・電力の確保」などの機能で地域の支援を行うほか、通信復旧活動の拠点としての役割を担う災害支援ローソンの1号店を2026年2月24日、千葉県富津市にオープンしました。

ローソンとKDDIは、南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備えて、平時は買い物拠点、災害時は地域住民への支援の拠点となる場所として、災害支援ローソンを2030年度までに全国に100店舗設置することを目指しています。

太陽光発電、大型蓄電池、衛星通信機器…

2024年1月1日に発生した能登半島地震で、KDDIは約700台の衛星通信端末を被災地に運び込んだといいます。しかし、すべての避難所に届くまでには、発災から約10日を要し、その間、通信の復旧に当たるチームは現地の携帯ショップの駐車場を拠点に活動したものの、自分たち自身の食料も水もなく、トイレも使えない状況。この時の経験が、災害支援ローソン構想の原点になっているといいます。もしコンビニに衛星通信端末があれば、発災直後から被災地での通信の維持が可能になる上に、食料も水もトイレもある。コンビニが復旧チームの活動拠点、地域住民の支援拠点として機能することができるのではないかという想いと、被災地での実体験から災害支援コンビニ1号店の富津湊店は誕生しました。

災害支援コンビニ1号店には太陽光パネルと蓄電池が実装されているほか、社用車として電動車が導入され、停電しても照明、レジ、炊飯器、通信機器を動かし店舗の継続と通信の維持が可能に。さらに、衛星通信のための機器が倉庫に常備されており、災害時には店の外に出してフリーの無線通信として開放されます。最大128台の端末が同時に接続でき、来店した住民は自分のスマートフォンでインターネットに接続が可能。KDDIの超小型携帯電話基地局も店内に設置されており、地上基地局が壊れても衛星通信を経由して携帯電話の音声通話や110番・119番への緊急通報ができる仕組みです。

さらに、敷地内の井戸には手動のポンプが取り付けてあり、断水時には生活用水を無料で提供します。井戸は富津市の「災害時協力井戸」として登録済みだそうですが、井戸については富津湊店独自のもので今後展開が予定されるすべての災害支援コンビニに配置されるものではないようです。

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“マチに明かりを灯し続ける” 大切な使命

ローソンのリスク統括部で災害対応を主管する石合(いしあい)大悟さんに、災害支援コンビニについてお話を伺いました。

-なぜ、1号店はここ富津湊店になったのですか。

ここは半島部の付け根で高速のインターも近く、立地的な条件がいいということが一つあります。この場所は海抜約50メートルの高台に位置し、津波のリスクが極めて低い。沿岸部の低い土地にお住まいの方も多いので、避難してきた方の助けになることができる立地であることも大きかったです。

―災害支援コンビニの店舗の特徴を教えてください。

コンビニなので、もちろん生活必需品や食糧などの販売をしているのですが、蓄電池などを配備して非常用電源でPOSレジや店内照明を保つことができるようにしています。マルチコンセントで電源を出して携帯のチャージャーをつないだり、炊飯器を稼働させたりすることなどを想定しています。あとは通信面の充実です。災害時に皆さんが必要とするものの一つが情報だと思います。万が一携帯電話の電波が失われてもSNSがつながるように衛星通信サービス「スターリンク」の機器を常備して、地域住民の方々にフリーWi-Fiを開放したり、au回線で電話ができるような体制を整えたりしています。そのほか、災害用トイレも備えています。

-災害発生時、災害支援コンビニに切り替わると平時と何が変わるのでしょうか。

発災時には、店内の大型画面が商品広告から災害情報に切り替わり、備蓄していた飲料水1,500リットル以上が住民に提供されることになっています。さらに、倉庫にある備蓄米を家庭用の炊飯器で炊いたご飯をラップで包んで販売する「店炊きごはん」という災害専用メニューまでレジに登録されています。炊飯などにも対応できるよう、他店舗よりも多めに、ローリングストックで2~3か月分ぐらいの水の在庫を持つようにしています。

-運用を始めて見えてきた課題などはありますか?

まだ運用を始めて間もないので、災害時の実際の課題などは見えてきていませんが、ハード面とともにソフト面の充実は今後の課題だと思います。現場力の向上は今後の課題の一つですね。実際に現場で対応する人たちが有事でも安心して対応できるようなマニュアル整備を進めたいと思っています。もちろん人命第一なので、スタッフが自分のいのちと安全を守った上で、対応をしていくのが大前提です。

-今後の展開にあたり、大切にしていきたいことは。

大切なのはやはり日ごろからの、地域のみなさんとのコミュニケーション。自治体と連携して一緒に訓練をしたり、設備の見学会をしたり、地域のみなさまに認知を拡大していく方法を検討していきたいと思っています。平時に利用していただけるから有事にも頼っていただける。そのあたりを今後も意識していきたいですね。弊社の災害対応の出発点は阪神・淡路大震災。明かりを灯し続ける、ということを大切にしてきました。災害後、地域のお客様からも「コンビニの電気が消えていると気持ちが滅入る」という声も聞きました。 “マチに明かりを灯し続ける”ということも我々の大切な使命の一つかなと思っています。

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ベネズエラ、日本と6月の後半は大きな地震が相次ぎました。いつどこで地震が起こるのかは誰にもわかりませんが、あらためて、日々の防災・減災の取り組みが大切だと痛感します。嵐の夜の航海に、灯台の一筋の光が航海者たちに希望を与えるように災害直後の暗闇で、光を放つコンビニの存在は、本当にありがたいものだろうなと感じます。多くの人の身近にある “いつもの場所”を、いざという時にも機能する存在にしていくこと。社会全体でそういったインフラを整え、認知を広げていくことも大切ではないでしょうか。

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<執筆者プロフィル>
水野佳
保健師 / オートキャンプ歴9年

学生時代にはバックパックを担いでフィールドワークや旅に出かけ、バングラデシュでの井戸掘りなども経験。旅やアウトドアでの知識や経験を防災活動に繋げる。産業保健師として企業勤務時に、救命講習やBCPなどの企画・運営にも関わった経験も持つ。

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