1. トップ
  2. 今秋にも誕生!「防災庁」ってなにをするところ?防災庁設置準備室に聞きました

今秋にも誕生!「防災庁」ってなにをするところ?防災庁設置準備室に聞きました

  • 2026.7.16

日本は世界有数の災害大国です。南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模災害がひとたび起きれば、その被害は甚大で、国難級ともいわれています。災害から国民の命や暮らしを守るための司令塔として、今秋にも防災庁が誕生する見込みです。いったいどんな組織なのでしょうか。防災庁設置準備室の参事官補佐、大山璃久(りく)さんに話を聞きました。

被災地の支援をしながら今後起こりうる大災害への備えを進める!

ーーなぜ防災庁を作ることになったのですか。

国の防災施策は、全体の取りまとめ役を内閣府の防災担当が行い、具体的な施策は各省庁が企画、立案して実施しています。例えば、国交省ならインフラ整備や建物の耐震化、厚労省なら高齢者への支援といった具合です。

日本は世界有数の災害大国で、毎年のように、各地で大きな地震が起きたり水害が発生したりしています。大災害が起きるたびに、内閣府の防災担当は各省庁や自治体などと連携しながら現場対応にあたってきました。一方で、懸念されている南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震、首都直下地震などでは、死者数や建物の全壊焼失棟数などの被害想定が、東日本大震災とは桁違いで、少しでも被害を減らすためには事前の備えが欠かせません。

けれども、内閣府の防災担当だけでは人数も少なく、十分な対応ができているとは言い切れません。例えば、2024年の能登半島地震の時には、ほとんどの内閣府の担当者が能登半島地震への対応にかかりきりになり、南海トラフ地震などに関する検討が一時的にストップしてしまうという事態に陥りました。どんな災害が起きても、今後切迫している大規模災害に対し、平時から「事前防災」を並行して行える態勢を構築することは不可欠です。そのために防災庁を設置し、強化することになったわけです。

ーー職員の数が大きく増えるのですか。

内閣府の防災担当は現在、約220人いますが、発展的に改組し、人員を増やして約350人体制の防災庁になります。一番大きいのは、意思決定を行う局長級の統括官がひとりから、4人に増える点です。意思決定が早くなるほか、被災地の現場対応と事前防災を並行して進めることができます。

役割も変わります。これまでは政府の各省庁の「とりまとめ役」でしたが、今後はそれに加え、防災施策の「司令塔」として防災相は各省庁に対して勧告権を持つようになり、個々の具体的な事業に対しても実施を促せるようになります。各大臣はそれを尊重する法的義務を負います。国の防災全体を俯瞰的に見渡したうえで、各省庁ににらみをきかすことで、政策の実効性が高まると考えています。

ーー「事前防災」に力を入れるということですが、どんなことをするのでしょうか。

最も重視しているのは、過去の災害から学び、反省や教訓を検証した上で、次に来る災害を地域ごとに具体的にシミュレーションし、災害リスクや弱点をあぶり出すこと。それを元に、被害を効率的に抑えられるよう防災対策や計画を作ります。計画を作る主体は各自治体になりますが、防災庁として全国の先進的な取り組みを他の地域に発信したり、予算面で支援をしたりしていくことを考えています。事前防災のアプローチには、ハード、ソフトの両面があります。地震が起きた時、直接亡くなる方を減らすには、建物の耐震化やインフラ整備が欠かせません。しかし、これにはお金と時間がかかります。そこで、行政、地域、個人といった様々な立場で、日ごろからの備蓄や訓練、関係者間でのネットワーク作りといったソフト面での備えが大事になってきます。ハード、ソフトの両面を強化して、総合的な防災力を高めていきます。

事前防災に加え、災害が発生した直後の初動対応も防災庁の大事な任務になります。デジタル技術などを使い、いち早く情報収集を行い、被災地に物資や人員を送り込む。被災地域が広域になればなるほど国の関与、コーディネーターとしての役割が重要になってくるので、積極的に関わっていきたいです。あと、被害の大きかった自治体に伴走し、困り事や悩みを一括して受け止めるワンストップ窓口を設けます。災害時は混沌としている上、省庁をまたぐような問題も多く、場合によってはたらい回しになりかねない状況。そういったことを防ぎ、防災庁が被災地のニーズをしっかりとくみ取り、対応できる部署にスピーディーにつなげていく。そういう支援にも力をいれていきたいと思っています。

<こちらの記事もよく読まれています!>→フライパンで♪ ホットケーキミックスでちぎりパン

<こちらの記事もよく読まれています!>→1000年前に房総沖で巨大地震が起きていた!津波の痕跡から被害想定へ

「自分の命は自分で守る」の意識で備えを

ーー防災庁ができることで私たちの暮らしはかわりますか?

ちょっと間接的かもしれませんけど、防災庁ができることで政府や自治体の防災力、災害対応力が上がれば、災害に強い地域が増え、安心安全を感じられる社会になるんじゃないかと期待しています。仮に災害が起きた場合、一番大事なのは、被災した皆さんが1日でも早く普段の生活に戻れるようにすることです。防災庁がスピーディーに動くことで、今まで以上に日常を早く取り戻せるようにしたいという思いはあります。

ーー私たちにできる事前防災ってありますか。

おすすめしている取り組みのひとつがローリングストックです。普段から食べているものを少し多めに買い置きし、食べた分だけ買い足すことが備蓄につながるという考え方です。僕も自分の好きなインスタントラーメンや水などを自宅に備えています。

もちろん、家具が倒れるのを防ぐための固定や、自分の住む地域のハザードマップを確認してどんな災害が発生しやすいのかをあらかじめ把握しておくことも重要。あと、地震直後は電気が原因となる火災が発生し、延焼するケースも多いため、強い揺れを感知した時に電気を遮断する感震ブレーカーの設置もおすすめしています。家族などと、どのタイミングでどこに避難するかや連絡方法を事前に話し合っておくことも大切ですね。「自分の命は自分で守る」という意識を持って、できることから始めてほしいです。

大災害のリアル、内閣府作成の啓発動画の迫力がすごい

ーー防災の大事さはわかっていても、「自分ごと」として捉え、実行に移すのは難しいと感じる人も多くいます。

大規模災害が起きた際、皆さんの住んでいる地域でどんな被害が起こりうるのかを、リアリティーを持ってお伝えすることで、切迫感を認識し、「自分ごと」としてとらえて頂けるようになるのではないでしょうか。

例えば、内閣府では、富士山の大規模噴火南海トラフ巨大地震首都直下地震が実際に起きたらどうなるのか、どんな被害が想定されているのかを、CGを駆使してビジュアルでわかりやすく伝える普及啓発動画を作成し、YouTube上で発信しています。ぜひ、一度見て頂きたい内容です。

また、地域全体で防災について考えてもらうため、これまで主に小、中学校など教育現場で実施されてきた防災教育を地域全体に広げ、「コミュニティー防災教育」を普及させていくつもりです。少子高齢化や単身者世帯の増加で地域力が低下し「共助」は難しいという声もありますが、コミュニティー防災教育を通じて人とつながり合い、地域の防災力を高めていってほしい。まずは、皆でその地域の被害想定などの実情を知るところから始めて頂ければ、地域防災や自助・共助のヒントが見つかるはずです。

それと、幼稚園や保育園の子どもたちを対象にした防災教育にも関係省庁と連携して力をいれていきます。小さな子どもを中心に、親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんも一緒になって防災について考えてもらえたら嬉しいです。

ーー防災庁の課題と共に、広く伝えたいメッセージがあれば教えてください。

防災庁の一番のミッションは、南海トラフ地震や首都直下地震など、国難級ともいえる大規模災害での死者や被災者をひとりでも多く減らし、社会経済活動を維持できるようにすることです。しかし、行政だけが頑張っても防災はなしえません。企業や団体、地域の方々など、産官学民みんなで一緒に頑張っていかないといけない。皆さんのご協力とご理解が一番重要です。

河川の氾濫が心配される地域で堤防を作ったり、道の狭い地域に緊急車両が入りやすいように道を広げたりするのにも、地域の皆さんの理解と協力が必要です。だからこそ、我々はどんな被害が想定されるのかや、防災の必要性、その効果などをわかりやすく丁寧に伝えていく必要があります。

日本は災害が多い上に、今後とんでもない規模の大規模自然災害が起きるといわれています。どうやったら効率的に着実に被害が減らせるのかを、防災庁は一生懸命考えていきます。だからぜひ、皆さんも一緒になって考えてみてほしいと思います。

<防災ニッポン編集長 板東玲子>

<こちらの記事もよく読まれています!>→1~2か月は常温保存可能なパン! カインズ、ダイソー、コンビニの“ロングライフパン”を食べ比べて本音レビュー

<こちらの記事もよく読まれています!>→全国各地でクマ出没! 15年間被害ゼロの軽井沢に学ぶ、共存のための知恵

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ