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ローンの支払いに困ったら「自然災害債務整理ガイドライン」の利用を考えよう【前編】(災害時の「お金と法律」第9回)

  • 2026.7.14

災害時の債務整理の切り札

大きな災害によって収入や資産を失ってしまったり、生活や医療費などの出費が増えてしまったりすれば、これまで問題がなかったローン(債務)の支払いが、重い負担となってのしかかってくるかもしれません。また、義援金や公的給付金の支援を受けた場合、それらをすべてローン返済に回すのではなく、再建資金として少しでも多く手元に残しておきたいところです。住宅ローン、リフォームローン、自動車のローン、奨学金、個人事業のローン、その他あらゆる個人名義のローンの支払いが困難になってしまったときは、「自然災害債務整理ガイドライン」を思い出し、その利用について相談をするようにしましょう。通称、被災ローン減免制度などと呼ばれています。破産手続きなどとはちがい、被災者にメリットの多い債務整理が可能となります。相談先は、専門家である弁護士をおすすめします。弁護士は大災害時には、弁護士会を通じて電話や対面の無料相談窓口を開くことが多いので、ぜひ活用してください。どんな些細な疑問や不安でも構いません。情報収集のつもりで連絡をしてみてください。

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自然災害債務整理ガイドラインとは何か

自然災害債務整理ガイドラインは、「災害救助法」という法律が適用された自然災害の影響により、住宅ローンなどもともと抱えていたローン(既往ローン)を弁済できなくなり、破産手続きなどの法的倒産手続きの要件に該当することになった「個人の」債務者が利用できる制度です。個人事業者も利用できますが、法人は利用できません。通称名である「被災ローン減免制度」という名前も一緒に覚えておいてください。

ガイドラインにそって、債権者と債務者が、一定金額の弁済(弁済額をゼロとする場合もあります)や、残る債務についての減免(全額免除になる場合もあります)の約束をすることで、債務整理をすることができます。裁判所の特定調停手続きを利用して最終合意に至ります。ローンの種類に限定はありません。

ガイドラインは法律ではありませんが、政府、金融業界、裁判所、学術界、法曹業界、その他関係機関が協議を重ねて作られたルール(準則)です。ガイドラインの利用条件を満たす限り、金融機関などの債権者はこのガイドラインに従うことになっているものです。

ただし、債務者であれば誰でも条件を満たすわけではなく、手続き開始の条件があります。十分な収入があったり、他に多くの資産を保有していて弁済に余力があったりするような方は利用できません。とはいえ、債務者自身が自ら条件を判断することは難しいと思いますので、まずは弁護士による無料相談を受けることをおすすめします。

自然災害債務整理ガイドラインには大きなメリット

自然災害債務整理ガイドラインには、破産手続きと比較して非常に有利な点があります。ここでは5つのメリットを紹介します。

【メリット1】ブラックリストに登録されない
自然災害債務整理ガイドラインを利用しても、信用情報(ブラックリスト)への登録はされません。新たな借入に影響が及ばないのです。破産を選択できない最大の理由の1つが信用情報登録により次の住宅ローンや事業ローンの借り入れができなくなることでした。ガイドラインはこのデメリットがないのです。

【メリット2】連帯保証人への請求がなされない
主債務者が破産したり債務支払不能になったりすると、債権者は代わりに連帯保証人に請求するのが通常です。ガイドラインを利用した場合は、原則として連帯保証人に対しても請求しない取扱いとなっています。「連帯保証人に迷惑をかけるわけにはいかない」という思いから債務整理に踏み切れない方にとって大きなメリットです。

【メリット3】登録支援専門家弁護士の無料支援がある
弁護士資格を有する登録支援専門家が、債権者と債務者の間にたち、中立かつ公正な立場で手続き支援を行います。債権者が金融機関で、債務者が個人の場合は、どうしても知識の不足などにより書類準備の負担が大きくなりがちです。そのような場合に登録支援専門家が無料で助言できるしくみになっています。

【メリット4】現金や預金500万円など、破産よりも資金を残せる
破産手続きをした場合に残せる現金や預金は概ね100万円程度です。しかし、ガイドラインを利用した場合は、現金や預金を500万円まで手元に残すことができます。債務が残っていても、この分は支払いに回さなくてもよいのです。また、仮に破産手続きをしたとしても、差し押さえ禁止財産となる自然災害義援金、被災者生活再建支援金、災害弔慰金などは、債務の支払いに回さなくてよい資金になります。そのため、生活再建のための手元資金を確保することができるのです。

【メリット5】
ガイドライン利用の申し立て時の手数料は特にありません。合意が成立する段階になって、裁判所への特定調停申し立てをする場合の申し立て手数料のみを負担すれば足ります。なお、特定非常災害という大規模災害(東日本大震災や令和6年能登半島地震など)では、特定調停の申し立て手数料も一定期間内であれば無料になります。

自然災害債務整理ガイドラインを利用するには

自然災害債務整理ガイドラインを利用するには、最も多額のローンを借りている金融機関(いわゆるメインバンク)に対して、手続きを利用したい旨を申し出ることが必要です。金融機関は条件を満たしている限りは申し出に同意することになっています。事前に弁護士の無料相談を受けるなどして情報を整理しておくとよいでしょう。

次回は、自然災害債務整理ガイドラインを利用した場合に、どのような債務整理の合意(調停)が成立することになるのかモデルケースを紹介します。

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