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「君の部屋、ちょっと見てみたいな」食事に誘ってきた職場の男。だが、しつこい態度に着信拒否をした

  • 2026.7.16

悪びれない同僚

職場でときどき話す男性から、仕事帰りに食事に誘われた。

自由な雰囲気の人だと思っていたので、軽い気持ちで応じた。

席につくと、男は自分の暮らしぶりを、隠すでもなく語りはじめた。

「自分、いまネットカフェ暮らしなんですよ」

「え、そうなんですか」

「前の会社を辞めたとき、色々あって家に住んでないんですよね!」

男はどこか誇らしげですらあった。

定まった住まいもないのに、その暮らしをまるで自慢するように語る。

話が進むほどに、私の中の違和感はふくらんでいった。

「でも縛られないって、最高じゃないですか。ノマドですよ、ノマド」

聞こえのいい言葉で包んでしまう。

その神経に、私はうすら寒いものを感じた。

着信拒否にした夜

食事のあと、駅へ歩く道すがら、男はぐいぐいと距離を詰めてきた。

ふいに手を握ろうとしてきたので、私はストールを両手で持ち直し、そっとかわした。

それでも男は、まるで意に介さない。にやけた顔で、ふいにこう口にした。

「君の部屋、ちょっと見てみたいな」

「どうして、そんな話になるんですか」

「いいじゃない、減るものでもないし」

私の住まいを、しきりに知りたがる。

冗談めかしてはいるが、目は笑っていなかった。こちらが言葉を濁すほど、男は前のめりになって食い下がってくる。

その必死さが、かえって薄気味悪かった。

「悪いけど、今日は帰ります」

私は足を止め、はっきりとそう言い切った。

愛想笑いは、もうしなかった。

「そんな冷たくしなくても」

「これで失礼します」

男は一瞬ひるみ、「あ、いや、そんなつもりじゃ」と言い訳を並べはじめた。

けれど、その顔からは余裕が消えていた。さっきまでの押しの強さは、どこかへ消えてしまっている。

私はそれ以上取り合わず、改札を抜けて一人で電車に乗った。

背後で男がまだ何か言っていたが、振り返らなかった。もちろん、帰る方向は本当の家とは逆へ。

家に着いてから、私は男の連絡先を着信拒否に設定した。

少しの迷いもなかった。少しでも情に流されれば、相手はそこにつけ込んでくる。そういう手合いだと、もう分かっていた。

翌日からは、職場で必要な受け答えをするだけにとどめた。

二人きりで会うことは、二度となかった。

もしあのとき流されていたら、住まいを知られ、押しかけられていたかもしれない。そう思うと、今でもぞっとする。

自分の身は自分で守るしかないのだと、骨身にしみた出来事だった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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