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モラハラ夫に洗脳され続けた女性が見つけた、動画配信収益化の希望と転落【著者インタビュー】

  • 2026.7.15

【漫画】本編を読む

誰でも気軽にSNSや動画で日常を配信できる今の時代、問題視されているのが親が子どもの写真や動画をアップする「シェアレンティング」だ。一度ネットに流れた写真や動画は、完全に削除するのが難しい。その危険性を、私たちは本当に理解しているだろうか。『子どもをネットにさらすのは罪ですか?』(まきりえこ/KADOKAWA)は、そんな社会問題に切り込んだセミフィクションのコミックエッセイだ。

主人公は、モラハラ夫との離婚を目論む山田あずさ。窮屈な日常から抜け出すため、動画配信サービス「デイチューブ」でこっそり配信を始めたところ、予想以上の反響を得た。もっと人気になりたい――。そう思うようになったあずさは、視聴者から好評だった娘・ふうかの出演を増やすように。歪んだ承認欲求は、やがて親子関係に暗い影を落としていく。

自身も母親である著者は、なぜこのテーマを描こうと思ったのか。また、作品を通して読者に伝えたかった想いとは…? 制作の裏側や親という立場であるからこそ感じた葛藤を、著者のまきりえこさんに伺った。

――主人公・あずさはモラハラな夫と離婚し自立して生きていくために、動画配信で収益を得る「デイチューバー」としてのし上がろうと思っている主婦です。どこにでもいそうな女性が主人公であるからこそ、本作からは誰でも当事者になり得る怖さが伝わってきました。

まきりえこさん(以下、まき):あずさは自分に自信がありません。夫から粗末に扱われながらも、自分が好きな料理や食事を大切にして娘を慈しんでいます。

情報発信は自分に足りない自信を手に入れるためのツールであることを認識しており、期待していた収益も「億万長者になる」などの莫大な額ではなく、「娘と暮らせるだけでいい」と考える、地に足がついていた女性だったんです。

――そうした人物だったのに、ネットの魔力によって彼女は衝撃的なラストを迎えてしまいますよね。

まき:あずさは、母親によって萎縮させられた“育ちきれていない大人”です。彼女が自信をつけていくにつれて、本人も知らなかった性格が出てきたイメージで描きました。

――勝手に転職したり、妻に無神経な言葉をぶつけたりするあずさの夫も印象的でした。

まき:あずさの夫は「有能な俺と無能なお前」という歪んだ考えを繰り返しあずさに刷り込みますが、実は自信がなく、社会的にもあまり評価されていない人なんです。

でも、家庭という密室で孤立しているあずさは、根拠のない「夫は万能説」を信じ込んでいます。動画配信サイトはあずさにとって、家庭という密室を突き破って外の風をつれてくる“窓”のような存在なんです。

――執筆中、描くのが苦しかったシーンはありましたか?

まき:あずさが夫に虐げられるシーンはもちろん苦しかったのですが、勇気を振り絞って料理家に面接を申し込んだあずさが面接すら受けられず、断られてしまうシーンはつらかったです。何者かになりたいと思うも、戦う武器がないあずさが感じた鈍い絶望と恥を想像したら、もう…。

あずさの苦しみは、彼女だけのせいではありません。あずさの母親が娘の勇気をくじく人であったこと、あずさが子育てによってキャリアを早々に手放さざるを得なかったことも関係しています。

取材・文=古川諭香

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