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『マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking-Beauty, Dream, Love』 ──10年ぶりとなる大規模巡回展を徹底リポート

  • 2026.7.14
MITSUYUKI NAKAJIMA

フィンランドで1951年に創業して以来、デザイナーのアイデアや思想に重きを置いたものづくりを続けてきたマリメッコ。これまで発表されたプリントデザインは3,500種類以上にのぼる。特筆すべきは、常に新しいデザインを生み出すだけでなく、過去のアーカイブの配色だけでなく、柄のサイズなどもを再構築することで、時代を超越したタイムレスな魅力を発信し続けてきた点だ。

京都文化博物館でスタートした『マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking-Beauty, Dream, Love』では、創業者アルミ・ラティアが遺した言葉を手がかりに、歴史的なドレスやアートワーク、ファブリックを通じてその創造の美学をひも解いていく。



MITSUYUKI NAKAJIMA

ブランドの美を体現する歴史とドレスの展示

展覧会の鍵となるのは、1926年に14歳のアルミ・ラティアが日記に記した言葉だ。

「ただひとつの責任は 美

ただひとつの現実は 夢

ただひとつの強さは 愛。」

1917年にロシアの支配下から独立し、未来へのエネルギーに満ちあふれていたフィンランド。この時代に紡がれた言葉は、彼女のクリエイションの基盤となり、後のマリメッコ誕生の原動力となった。

〈写真〉展覧会は、75年に及ぶヒストリーから幕を開ける。貴重な資料や初期のテキスタイルとともに、ブランドの歩みを追体験できる。

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〈写真〉1960年代に、ジョン・F・ケネディの妻、ジャクリーン・ケネディがマリメッコのドレスを着用したことをきっかけに、ブランドの名は世界に知られることになった。会場では当時のカタログや雑誌記事も展示されている。

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〈写真〉アルミ・ラティアは「私は服を売っているわけではない。ライフスタイルを売っているのだ。それはデザインであって、ファッションではない……私はドレスではなく思想を売っている」という言葉を残している。彼女にとって、マリメッコはデザインの力で人々の暮らしと心を豊かにする存在だった。ファッションの枠に留まらず、陶器やホームコレクションと幅広く展開する現在のマリメッコの背景には、この哲学が息づいている。

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〈写真〉1950年代から現在までにつくられたドレス約70点が一堂に会する。

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〈写真〉1970~1980年代に発表されたドレス。










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〈写真〉フラットスクリーン印刷で制作されたテキスタイルは、マリメッコの特徴の一つ。色ごとに版を重ねる過程で生まれる微細なズレやインクの重なり、それらが醸し出す独特の揺らぎや温かみを、ドレスのディテールから感じ取ることができる。

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〈写真〉ブランドのアイコン的存在である「ウニッコ」の展示は、これまでの歴史的なシリーズやカラーバリエーションを、グラフィカルに一望できる構成になっている。

MITSUYUKI NAKAJIMA

テキスタイルメイキングの世界へ

テーマは、マリメッコの心臓部ともいえるプリント・ファクトリーだ。ヘルシンキ郊外にあるファクトリーは本社に隣接しており、デザイナーやブランドのスタッフ、そしてテキスタイルを手掛ける職人が密にコミュニケーションを取りながら制作できる環境が整っている。会場では、実際に制作に使われている巨大なプリント版や、デザイナーの手描きの原図を展示。さらにアートユニット、プラプラックスが手掛けた映像インスタレーションが、大胆で自由なクリエイションが生まれる空間を鮮やかに再現している。

〈写真〉正面に展示されているのは、実際にテキスタイルのプリントに使われる版。

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〈写真〉人気パターン「シイルトラプータルハ」を手掛けるマイヤ・ロウエカリによるデザイン案。

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〈写真〉plaplax(プラプラックス)によるインスタレーションでは、「ウニッコ」をはじめとする6つのカテゴリーの映像作品を上映。フラットスクリーン印刷機をテーマにした映像の中でテキスタイルが次々と刷り上がり、空間全体が色彩で満たされていくダイナミックな演出は圧巻だ。現地フィンランドで収録された鳥の鳴き声やピアノ、声などを交えたサウンドが、北欧の心地よい空気感を立体的に浮かび上がらせる。

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未来へ向けて、皆川明によるインスタレーション

第三章で焦点を当てるのは、常に新たなクリエイターとのコラボレーションによって作品を生み出してきたマリメッコの系譜だ。本展では「ミナ ペルホネン」のデザイナー、皆川明との特別な展示が行われている。これまでに発表されてきたテキスタイルアーカイブが大きな輪となって繋がり、未来へ続いていく様子をダイナミックに表現。中には皆川が本展のために描き下ろした新作テキスタイルも含まれている。

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ファッションやテキスタイルの枠を超え、人々の暮らしに、豊かさをもたらしてきたマリメッコ。時代を超えて愛され続けるデザインの力をぜひ会場で体感してほしい。

〈写真〉中央を飾るのは、皆川によるテキスタイル「TUULLA」。フィンランド語で「風が吹く」という意味が込められている。

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『マリメッコ展 模様のちからMarimekko: Art of Print making―Beauty, Dream, Love』


会期/2026年7月4日(土)~9月6日(日)
会場/京都文化博物館 4・3階展示室(京都府京都市中京区三条高倉)
時間/l10:00~18:00(金曜は19:30まで。入場はいずれも閉室の30分前まで)
休館日/月曜(7月20日は開館、翌21日休館)
tel. 075-222-0888

<巡回予定>
東京都庭園美術館会期/2026年10月3日(土)~12月20日(日) ひろしま美術館 会期/2027年1月30日(土)~3月28日(日)
北九州、富山、名古屋、長崎ほか




〈写真〉展覧会のキーヴィジュアルは、アンニカ・リマラ、ペンッティ・リンタ、アンッティ・ケッキの3人のデザイナーが手掛けたファブリックパターンを使って構成。展覧会ではアートカードやマスキングテープ、うちわや扇子などさまざまなオリジナルグッズを展開。

Hearst Owned

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HISAI KOBAYASHI
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