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人工甘味料の常用者では、「自制に関わる脳領域」が甘味に強く反応する

  • 2026.7.14
人工甘味料の常用者に見られる脳反応とは / Credit:Canva

砂糖を控えるため、人工甘味料入りの飲料や食品を選んでいる人は少なくありません。

そんな人工甘味料を含む非栄養性甘味料の常用者では、甘味を口にしたとき、注意や食行動の自己調整に関わる前頭前野の一部が、砂糖の常用者より強く反応する可能性が示されました。

さらに空腹時には、砂糖の有無にかかわらず、甘さそのものがより魅力的に感じられることも明らかになっています。

中国の江南大学(Jiangnan University)による研究は、2026年5月20日付で学術誌『Food Quality and Safety』に掲載されました。

目次

  • 空腹は「カロリー」より先に「甘さ」へ引きつけられる
  • 人工甘味料の常用者では、甘味に対する「脳の反応」が異なる

空腹は「カロリー」より先に「甘さ」へ引きつけられる

砂糖の過剰摂取は、肥満や2型糖尿病、心血管疾患などのリスクと関連します。

そこで広く使われているのが、ほとんどエネルギーを含まずに甘味を与える「非栄養性の人工甘味料」です。

しかし、甘いのに十分なカロリーが入ってこない経験を繰り返すと、甘味の好みや、食べ物を評価する脳の働きが変化する可能性も指摘されています。

実際、過去の研究では、強い甘味を好むようになった、好みが弱まった、変化しなかったと結果が分かれていました。

研究チームは、この不一致には「空腹か満腹か」という体の状態も関係しているのではないかと考えました。

そこで今回の実験には19~27歳の30人が参加し、自己申告した食習慣をもとに、砂糖入り製品をよくとる15人と、人工甘味料入り製品をよくとる15人に分けられました。

全員が、3時間半以上絶食した空腹時と、十分な食事を終えてから1時間以内の満腹時の両方で実験に参加しています。

参加者が味わったのは、砂糖を6%含む溶液、砂糖を半分に減らして人工甘味料を加えた溶液、砂糖を使わず人工甘味料だけで甘くした溶液の3種類です。

3つは甘さの強さと持続時間が近くなるよう調整され、別の58人による事前試験でも、明確には区別できませんでした。

また参加者は味の好みや感情を回答し、研究チームは心電図に加えて、fNIRSで前頭前野の酸素化ヘモグロビンの変化を測定しました。

こうした実験の結果、空腹時には3種類すべての甘味への好感度が上昇しました。

さらに、人工甘味料の常用者では、左背外側前頭前野付近で、砂糖の常用者より大きな反応が見られました。

この違いが何を意味するのか、より詳細な結果を次項で見ていきます。

人工甘味料の常用者では、甘味に対する「脳の反応」が異なる

研究者たちは当初、空腹時には体がエネルギーを求めるため、カロリーを含む砂糖の溶液が特に好まれると予想していました。

ところが実際には、好感度は全砂糖、半砂糖、ゼロ砂糖のすべてで、満腹時より約0.47~0.70ポイント高くなりました。

つまり、空腹は砂糖だけを特別に魅力的にしたのではなく、甘さという感覚そのものの魅力を高めたのです。

これは、舌で感じる甘味にはすぐ反応できる一方、砂糖を飲んだ後に生じる代謝信号が評価へ影響するまでには、より時間が必要だからかもしれません。

心電図でも、空腹時には心拍間隔が短くなり、心拍数が平均で約0.82~1.03回/分上昇しました。

空腹時に甘味を味わうと、満腹時より生理的な覚醒がわずかに強まった可能性があります。

一方、脳活動では、人工甘味料の常用者において、左背外側前頭前野付近の血液中の酸素の変化が砂糖常用者より大きくなりました。

この領域は、注意の配分や判断、食行動の自己調整などに関わります。

そのため、人工甘味料の常用者では、甘味の評価において、注意や食行動の調整といった自制的な認知処理が、より強く働いていた可能性があります。

ただしこの結果だけでは、人工甘味料によって自制心が鍛えられたと結論することはできません。

もともと食事管理への意識が高い人ほど、人工甘味料を選んでいた可能性もあるからです。

また参加者は30人と少なく、脳活動を分析できたのは21人だけで、有意差が確認されたのも8つの測定チャンネルのうち1つでした。

女性が多いこと、食習慣が自己申告であること、実際の食品ではなく単純な甘味溶液を使ったことも今回の研究の限界です。

それでもこの研究は、空腹になるとカロリーの有無を問わず甘味の魅力が増すこと、そして人工甘味料の習慣と甘味を評価する前頭前野の働きに関連がある可能性を示しています。

参考文献

Hunger makes all sweetness more rewarding, but artificial sweetener users show unique brain responses
https://www.psypost.org/hunger-makes-all-sweetness-more-rewarding-but-artificial-sweetener-users-show-unique-brain-responses/

元論文

An exploratory study of sweetness preference for habitual sugar and non-nutritive sweetener consumers revealed by explicit and implicit measures
https://doi.org/10.1093/fqsafe/fyag046

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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