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「お宅のトマト、昨日より2つ減ったわね」他人の庭の状況を把握しようとする隣人。だが、ダミーの防犯カメラを設置した結果

  • 2026.7.13

留守中の収穫まで知っている隣人

庭の片隅で、小さな家庭菜園をしている。トマトやきゅうりを植えて、実がなるのを楽しみに世話をするのが、私のささやかな趣味だった。

異変を感じたのは、隣の女性との立ち話だった。彼女は、我が家の野菜の育ち具合を、なぜか私よりも詳しく知っていた。

「お宅のトマト、昨日より2つ減ったわね」

ある朝、ゴミを出しに出た私に、彼女はそう声をかけてきた。たしかに前の日、私は赤く熟れたトマトを2つもいで、朝食に使った。けれど、それを彼女に話した覚えはない。

「え……なんで、ご存じなんですか」

「だって、いつも見てるもの。昨日は昼過ぎに、あなたお出かけしてたでしょう」

その日、私は昼から夕方まで外出していた。家には誰もいなかったはずだ。留守の間に、彼女は我が家の庭をのぞいて、実の数まで数えていたことになる。

「きゅうりも、そろそろ採り頃じゃない? 曲がってるのが一本あったわよ」

「そこまで、よく見てらっしゃるんですね」

まるで自分の畑のように、彼女は言う。背筋がすっと冷たくなった。留守中の庭を毎日のぞかれていると思うと、洗濯物を干すのもためらわれた。

玄関に付けた一台のカメラ

気味の悪さに耐えかねて、私はネット通販で防犯カメラを一台注文した。実は電源も入らない、見た目だけのダミーだ。それでも大きく目立つ本体を選び、玄関の軒先に、庭の方へ向けて取り付けた。

設置した翌日には、もう効果が表れた。庭に出た私に、隣の女性が近づいてくる。その視線は、まっすぐ軒先のカメラに向いていた。

「あら……あれ、いつ付けたの?」

声が、あきらかに上ずっていた。

「物騒なので、庭も映るようにしたんです」

私がそう答えると、彼女は一瞬、言葉に詰まった。

「そう……最近は、物騒だものね」

目が、しきりにレンズと私の間を行き来している。いつもの詮索めいた勢いは、すっかり影をひそめていた。彼女はそれだけ言うと、そそくさと自分の家へ引っ込んでいった。

その日を境に、あれほど毎日のように続いていた我が家の野菜の話は、彼女の口から一切出なくなった。庭で顔を合わせても、天気の話をして目を逸らすだけだ。

トマトが何個実ったかを私より先に言い当てる人は、もういない。留守中の庭を、心置きなく世話できる毎日が戻ってきた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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