1. トップ
  2. エピソード
  3. 元カノとのアルバムを消していった俺が、最後まで消せなかった一枚

元カノとのアルバムを消していった俺が、最後まで消せなかった一枚

  • 2026.7.5
ハウコレ

別れた元カノに、半年ぶりの連絡をしました。長い文章は途中でやめて、送ったのは短い一言だけ。あの一枚が彼女に残るなら、それでいいと思ったのです。

全部消すつもりだった

写真共有のサービスが終わるという知らせが、消す作業のきっかけでした。残しておいても、近いうちにまとめて消えてしまいます。別れたとき、自分の端末からはとっくに消していました。それなのに共有先には、付き合っていたころの写真がそのまま残っていて、俺は一枚ずつ順番にたどっていきました。割り切って全部消すのが、いちばん早いはずでした。

消せなかった一枚があった

失敗したお好み焼きも、適当に撮った店の看板も、見ていると当時のことがよみがえってきました。それでも、最後まで消せなかったのは、彼女の横顔を撮った一枚でした。初めて二人で遠出した日、帰りの電車で撮ったものです。彼女は窓の外を流れていく海を見て笑っていました。「また来ようね」と言う、その少し前の顔です。声をかけずに撮ったので、本人はカメラに気づいていませんでした。

自分のカメラロールに移すことも、一瞬考えました。けれど、彼女に無断でその写真だけ持ち続けるのは、なんだか卑怯な気がしたのです。かといって、一枚だけ送れば、なぜこれを、と聞かれてしまいます。だから、この一枚を残すために、アルバムごと彼女のほうへ送ろうと決めました。俺の端末から消えても、彼女の手元に残ればいい。そう考えたら、気持ちが決まりました。

既読のあとの、長い沈黙

メッセージの入力欄を開いて、何を書くかでずいぶん迷いました。元気にしているか聞きたかったし、あのころのことを謝りたい気持ちもありました。でも長く書くほど、よりを戻したいのだと勘違いさせる気がしました。

結局、長い文章は全部やめて、送ったのは「これ、君のだから。」の一言だけです。既読はすぐにつきました。けれど、返事はなかなか届きませんでした。ようやく返ってきたのは、「うん、ありがとう。」でした。時間をかけて選んだ末の言葉なら、彼女はもう前を向いているのだろうと思いました。

そして...

俺のスマホに、二人の写真はもう残っていません。同じものが彼女のところにあると思えば、それで十分です。短い一言が冷たく見えたかどうかは、もう確かめようがありません。ただ、あの横顔の一枚だけは、残せてよかったと思っています。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる