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真夏の病棟で「クーラーが効かないんです」訴える患者→夜勤中にリモコンを見たナースが「思わず二度見」した理由

  • 2026.8.16
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。現役看護師ライターのこてゆきです。
夏の病棟では、熱中症対策や空調管理が欠かせません。

そんなある夏の日、病棟内で「クーラーが壊れているかもしれない」という話が持ち上がりました。

患者さんからの訴えをきっかけに始まったこの騒動ですが、調べていくうちに思いもよらない真相が見えてきたのです。」今回は、猛暑の病棟で実際に経験した、思わずほっこりしてしまった夏のエピソードをご紹介します。

「クーラーが効かないんです」

その年の7月は、連日の猛暑が続いていました。入院していたAさんは、高齢の男性です。

ある日の朝、ナースステーションにやって来たAさんが言いました。

「看護師さん、この部屋暑いんですよ」

「そうですか?エアコンはついていると思いますけど…」

「いやいや、全然効いてないんです」

その日は特に気に留めませんでした。しかし翌日も、その翌日も同じ訴えが続きます。

「昨日も暑くて眠れなかった」「クーラー壊れてるんじゃないですか?」

さらに数日後には同室の患者さんまで言い始めました。

「なんか最近暑いですよね」「私も夜中に目が覚めました」

複数の患者さんが同じことを訴え始めたことで、スタッフも無視できなくなりました。

本当に故障しているのか?

スタッフは病室の温度を確認しました。

温度計を見ると、確かにやや高めの日もありました。とはいえ、完全に冷房が効いていないわけではありませんでした。

「故障かな?」「設備担当に見てもらった方がいいかも」

そんな話も出始めました。ところが不思議なことがありました。確認するたびにエアコンの設定が違うのです。

ある日は冷房25度。別の日は送風。また別の日は暖房28度。

「誰か触ってる?」「ヘルパーさんかな?」

スタッフ同士で首をかしげました。

しかし決定的な証拠はありません。

Aさんに聞いても、「僕は触ってませんよ」と答えるだけでした。

それでもなぜか設定だけは頻繁に変わっていたのです。

夜勤中に見つけた意外な光景

真相が分かったのは夜勤の日でした。

消灯後の巡視中、病室の前を通りかかった私は、Aさんがベッドから起き上がる姿を見ました。

体調でも悪いのかと思い様子を見ていると、Aさんはゆっくりと壁際へ向かいました。

「Aさん、どうしました?」

私が声をかけると、

「あ、ちょっと暑くてね」

そう言いながらボタンを押しました。

ピッ。

液晶画面を見ると、「暖房」の文字が表示されました。

私は思わず二度見しました。

「Aさん、それ暖房になってますよ」

「え?」

「冷房じゃなくて暖房です」

「えっ!?そうなんですか?」

Aさんは本気で驚いた表情をしていました。どうやら本人は温度を下げているつもりだったようです。さらに話を聞くと、

「暑いから数字を大きくした方が冷えると思ってた」

とのこと。

確かにエアコンに慣れていない人にとっては、そう考えても不思議ではありません。しかし実際には28度の暖房設定。暑くなるはずです。

故障ではなく善意の行動だった

翌日、スタッフで情報共有すると、病棟は安堵と温かい空気に包まれました。

「あれだけ調べて原因それだったの?」

「設備担当呼ばなくて良かったね」

もちろんAさんを責める人はいませんでした。

Aさん自身も、「ごめんなさい。良かれと思ってやってました」と苦笑いしていました。

後日、同室の患者さんにも説明すると、「ああ、それで暑かったのか」と納得。

病棟を騒がせたエアコン故障騒動は無事解決となりました。

医療現場では、患者さんの訴えを軽く扱わないことが大切です。今回も最初は「気のせいかな」と思っていました。

しかし実際には病室が暑くなっていたのは事実でした。

ただし原因は機械の故障ではなく、患者さんによる善意のリモコン操作だったのです。

病棟では、高齢化に伴い家電操作が苦手な患者さんも少なくありません。「こうした方が良いと思った」という善意の行動が思わぬ結果につながることもあります。

今回の出来事は、患者さんの話を鵜呑みにするのでも否定するのでもなく、実際に確認する大切さを改めて感じた経験でした。病棟中が「エアコン故障かもしれない」と大騒ぎした数日後に原因が判明した時の脱力感は、今でも忘れられません。

暑い夏になると、私は今でもAさんの「温度を上げたらもっと冷えると思ったんです」という言葉を思い出してしまいます。



ライター:こてゆき

精神科病院で6年勤務。現在は訪問看護師として高齢の方から小児の医療に従事。精神科で身につけたコミュニケーション力で、患者さんとその家族への説明や指導が得意。看護師としてのモットーは「その人に寄り添ったケアを」。


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