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「相続税対策になる」父から“毎年110万円”を振り込まれ続け…→10年後、30代息子を待ち受けていた“生前贈与の落とし穴”

  • 2026.7.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「年間110万円までの贈与なら非課税だから、絶対に安心」

相続税対策として広く知られている生前贈与の暦年課税制度ですが、実は数字だけに気を取られていると、思いがけない落とし穴にはまってしまうことがあります。また、お金の相談といえば真っ先に思い浮かぶ「銀行」でも、税務に関する最終判断はできないという現実があります。

今回は、銀行員時代に窓口で実際によく出会った30代男性の相談エピソードをもとに、生前贈与で知っておくべき注意点と専門家へ確認することの重要性について解説します。

「毎年110万円なら非課税のはず」相続対策を続けるAさんの相談

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

30代男性・会社員のAさんは、お父さまから毎年110万円ずつ生前贈与を受けていました。

「相続税対策になると聞いていたので、もう10年近く続けています」

年間110万円までなら贈与税の基礎控除があることは知っており、「この方法なら問題ない」と考えていたそうです。

ある日、Aさんは、相続税対策として続けている生前贈与について確認したいことがあり、銀行へ相談に来店されました。ここからは、銀行員として窓口に立っていた私が、実際によく経験した光景です。

相談ブースへご案内すると、Aさんは少し安心したような表情で話し始めました。

「年間110万円までなら非課税だから、このまま続けても大丈夫ですよね?」

銀行員時代、この質問は本当によくいただきました。しかし、銀行員は税務について「大丈夫です」と判断することはできません。 税務上の判断は税理士や税務署の専門分野だからです。

そのため私は、「申し訳ありません。税務については銀行では判断できません。税理士の先生や税務署へご確認いただくのが確実です」 とお伝えしました。

「大丈夫」とは言えない銀行員と、電話越しにショックを受ける相談者

期待していた答えではなかったのか、Aさんは少し驚いたような表情を浮かべました。

「そうなんですね……」 そうつぶやくと、バッグからスマートフォンを取り出し、その場で税理士へ電話をかけ始めました。

私は席を少し外し、お話が終わるのを待ちました。数分後。 戻ってきたAさんの表情は、先ほどまでとは明らかに違っていました。

「毎年110万円なら安心だと思っていました……」静かな口調でしたが、その一言が今でも印象に残っています。

後から伺うと、税理士からは、「年間110万円という数字だけでは判断できません。贈与の方法や契約内容によっては、税務上の取り扱いが変わる可能性があります。一度詳しく確認しましょう」 と説明を受けたそうでした。

「知っているつもり」が一番怖い!お金の制度は専門家への確認が不可欠

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

銀行では税務について詳しくご案内することはできません。

「税務のことなら銀行で聞けば大丈夫」 そう思って来店されるお客様も少なくありませんでした。しかし、誤ったご案内をしてしまえば、お客様に不利益が生じる可能性があります。

だからこそ、期待される答えではなかったとしても、「銀行では税務判断はできません」と正確にお伝えし、専門家へおつなぎすることも、私たち銀行員の大切な役割でした。

銀行員として10年間、多くのお客様と接してきましたが、このような相談は一度や二度ではありませんでした。 「もっと早く相談していればよかった」そんな言葉を耳にするたびに、お金の制度は「知っているつもり」が一番怖いのだと感じます。

年間110万円という数字だけで判断するのではなく、ご自身の状況に合わせて税理士や税務署などの専門家へ確認することが、将来の安心につながるのではないでしょうか。


※本記事は銀行窓口で実際によく寄せられた相談内容をもとに再構成したものです。税務上の取り扱いは個別の事情によって異なります。生前贈与や相続税に関する具体的な判断については、税理士または所轄の税務署へご相談ください。

執筆:衣吹まどか
元銀行員。約10年間、金融機関の窓口で預金・資産運用・相続関連の相談業務に従事。生前贈与や相続税対策について相談を受ける機会も多く、「もっと早く専門家へ相談していれば……」という声を数多く耳にしてきた。

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