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「水を飲めば大丈夫だと思った」熱中症疑いの60代男性の救急要請…救急隊が「少し苦しい」の一言に“違和感”を感じたワケ

  • 2026.7.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターのとしです。

夏の屋外で汗をかき、体調を崩している人を見れば、熱中症を思い浮かべる人は多いでしょう。

周囲から水分を勧められ、「少し休めば大丈夫」と思われることもあります。

しかし、暑い場所で起きた体調不良が、すべて熱中症とは限りません。

今回は、水を飲むよう勧められていた60代男性に、救急隊が別の異変を感じた事案をご紹介します。

屋外で体調を崩した60代男性

救急要請が入ったのは、厳しい暑さが続いていた夏の日でした。

60代男性が屋外で体調を崩し、近くにいた人が救急車を呼んだのです。

現場に到着すると、男性は座り込んでおり、額や首元には汗が見られました。
周囲の人は熱中症を心配し、「水を飲めば大丈夫だと思った」と話していました。

実際に男性へ水を渡し、少しずつ飲むよう促していたそうです。

暑い場所で体調を崩している人を見れば、脱水を心配して水分補給を勧めるのは自然な対応でしょう。

周囲の人も、男性を助けたいという思いから行動していたのだと思います。

「少し苦しい」という言葉に感じた違和感

救急隊は男性の意識状態や体温、血圧、脈拍などを確認しました。

男性は受け答えができましたが、話す言葉が短く、呼吸も浅いように見えました。

詳しく尋ねると、男性は「少し苦しい」と答えました。
さらに確認すると、暑さやのどの渇きだけでなく、胸にも苦しさを感じていたのです。

周囲の人には、男性が胸の症状をうまく伝えられていなかったようでした。

汗をかいていることや夏の屋外という状況から、熱中症を疑われやすい場面です。

しかし、呼吸の浅さや胸の苦しさがある以上、水分不足だけで説明できるとは限りません。

救急隊は、心臓や呼吸器の病気が隠れている可能性も考えながら、観察を進めました。

酸素の値と心電図を確認すると

救急隊が血液中の酸素の値を測定すると、正常よりもやや低い数値が確認されました。

呼吸の回数や深さも確認しながら、胸の痛みがある場所や症状が始まった時刻、持病、服用している薬について聞き取ります。

さらに、心臓に異変が起きていないかを確認するため、救急車内で心電図も測定しました。
心電図だけで病気を断定することはできませんが、胸の苦しさや酸素の値の低下がある以上、心疾患などの可能性も考える必要があります。

男性は「少し苦しい」と控えめに話していましたが、症状の感じ方や伝え方には個人差があります。

本人の言葉が軽く聞こえても、実際には注意が必要な状態かもしれません。

周囲の人が勧めた水分補給は善意からのものでした。

ただ、呼吸や意識の状態によっては、無理に水を飲ませることが適切ではない場合もあります。

容体に変化なく医療機関へ

救急隊は、熱中症の可能性だけでなく、心疾患や呼吸器の病気も否定できないことを医療機関へ伝えました。

受け入れ先が決まったあと、男性の意識状態や呼吸、血圧、酸素の値、心電図などを確認しながら搬送しました。

幸い、搬送中に容体が大きく変化することはありませんでした。

そのまま医療機関へ到着し、無事に医師や看護師へ引き継ぐことができました。

夏場の体調不良では、暑さや発汗に目が向きやすくなります。
しかし、その陰に胸の症状や呼吸の異変、心臓の病気が隠れていることもあります。

「水を飲めば大丈夫」と決めつけず、本人の訴えや呼吸の様子を確認すること。

そして、周囲の善意を大切にしながらも、目の前の状態を一つずつ見極めることの重要性を感じた事案でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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